マンション専有部分のトラブル!工事範囲に含まれない!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.8】
マンションで実施される大規模修繕は、主に建物の「共用部分」の劣化や損傷に対して工事が行われます。
つまり、各住戸の「専有部分」は大規模修繕の工事範囲に含まれないということです。
そこで、共用部分と間違いやすい専有部分の修繕費でトラブルが発生することがあります。
共用部分と専有部分の境目はマンションごとの管理規約で定められています。その境目は調べない限り教えてくれないので、何かとトラブルが起きやすいのです。
ということでこの記事では、専有部分がどの部分を指すのかの説明と、専有部分でよくあるトラブルについてお話していきます。
このページの目次
1. マンションの専有部分とは?共用部分との境目は理解しておこう!
2. 専有部分の修繕でよくあるトラブル
3. まとめ
1.マンションの専有部分とは?共用部分との境目は理解しておこう!
分譲マンションにおける専有部分とは、購入した方の個人の資産になる部分です。
購入した「住戸部分」が専有部分になります。
専有部分以外はすべて共用部分になりますが、共用部分はマンション所有者全員の共有資産になります。
そこで、専有部分と共用部分の境目の判断が難しいのです。
「境目」について詳しく説明すると、基本的に購入した住戸部分の空間にあるものは専有部分です。しかし、住戸内の床や壁、天井の躯体は共用部分になり、その表面上のクロスなどの仕上げ材が専有部分になります。
躯体(くたい)とは「建物を支える骨組みの部分」を指し、一般的に鉄筋コンクリートが使われています。
このように住戸内の空間にあるものは基本的に専有部分ですが、専有部分と勘違いしやすいグレーゾーンがあります。
グレーゾーンとは「個人使用が認められている共用部分」を指し、主なものを挙げてみましょう。
マンションの個人使用が認められている共用部分
・玄関ドア
・窓ガラスおよび窓枠
・バルコニーおよびルーフバルコニー
・1階の専用庭 など
玄関ドアや窓ガラス、バルコニーなど普通は専有部分と思われがちですが、実は共用部分なのです。
このような個人使用が認められた共用部分はマンションの管理規約で定められているので、壁や床のインテリアを変更したいときなどは、一度管理組合に確認することをおすすめします。もし、共用部分と知らずに工事をしてしまうと、管理規約によって原状回復が求められる可能性もあるので注意が必要です。
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2.専有部分の修繕でよくあるトラブル
マンションでは一般的に12年周期で大規模修繕が実施されますが、共用部分に対してのみ工事が行われ専有部分は工事範囲に含まれません。
基本的に大規模修繕は修繕積立金で賄われますが、専有部分に関しての修繕はもちろん個人で負担する必要があります。
2-1.共用部分と勘違いしやすい専有部分には注意が必要!
そこで前項とは逆のパターンで、共用部分と思っていたものが実は専有部分という箇所があり、その修繕費でトラブルが発生するのです。
その共用部分として最も間違いやすいのが「ガス給湯器」になります。
通常、ガス給湯機は外部の廊下に面した壁に設置してあるので、共用部分と思っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、給湯器は各家庭に1台ずつ設置され、その家庭専用で使われるものなので、共用部分の「専有部分に属する設備」になるのです。
ガス給湯器の耐用年数は、立地環境や利用頻度によって異なるものの10年程度が交換の目安と言われています。
実際、10年を過ぎた頃から故障するケースが多く、特に一番利用頻度の多い冬場に故障が多いといいます。
ガス給湯器の交換費用の目安は25~35万円程度になり、当然この費用は個人で負担しなければならず、管理組合に請求しても支払ってくれません。
ガス給湯器以外にも、室内のクロスの貼り替えや扉の修理などの費用ももちろん個人負担になるので、修繕積立金とは別に個人で修繕費を貯めておくことが大切です。
2-2.室内をリフォームするときは管理組合に届け出る!
室内の個人使用が認められた共用部分以外なら自由にリフォームはできます。
その際、室内をリフォームするときはマンションの管理組合に届け出る必要があり、勝手に工事を始めるのはNGです。
管理規約の中で個人が行うリフォームなどの工事について報告を義務付けられているほか、報告義務がなくても報告しておいた方がトラブル防止のためには良いでしょう。
勝手に工事を始めてしまうと管理組合から工事を止められる可能性もあるので、リフォーム内容や工事を行う業者名、予定期間などの報告は行いましょう。
また、リフォーム工事をするときは大規模修繕と時期が重ならないようにすることも重要です。
部屋のリフォームと大規模修繕が重なってしまうと、工事資材・機材の搬入などの工事車両がバッティングしてトラブルが発生する危険があります。
共用部分以外の専有部分は基本的に自由にリフォームできますが、管理組合に報告するほか大規模修繕と時期が重ならないように注意しておきましょう。
3.まとめ
マンションの専有部分は購入した住戸部分を指し、それ以外は共用部分になります。
住戸部分の空間にあるものは専有部分ですが躯体は共用部分になります。
表面のクロスなどの仕上げ材のリフォームなら問題ありませんが、壁に穴を空けるなど躯体に傷がつくような工事はNGです。
また、個人使用が認められた共用部分や、逆に共用部分のような専有部分もあるので、室内のリフォームを予定するときは管理組合に確認するとともに工事内容などは必ず報告しましょう。