マンション大規模修繕の「補修と修繕」「模様替と改修」の違いを解説

マンションの「補修と修繕」「模様替と改修」の違いを解説

大規模修繕の「補修と修繕」「模様替と改修」の違いを解説

マンションで行われる大規模修繕は、外壁などに生じた経年による劣化の修繕を主に行っていきます。

その大規模修繕に関して、建築基準法で規定されている定義として「修繕」「模様替」と、2つの工事に分けられています。
しかし、施工会社からの見積もりの中には、似たような言葉で「補修」「改修」という言葉が使われています。

詳しく知らない方は「修繕=補修」「模様替=改修」というイメージではないでしょうか?
このように感じている方もいるかと思いますが、厳密にはそれぞれの工事に違いがあるのです。

ここからは、大規模修繕で行われる「補修と修繕」「模様替と改修」の違いについてご紹介していきます。

1.マンション大規模修繕とは?行われる工事の違い

マンション大規模修繕とは?行われる工事の違い

マンションで行われる大規模修繕は実にさまざまな工事が行われます。
部位ごとに工事内容は異なりますが、「修繕」、「補修」、「模様替」、「改修」という言葉が使われ、違いが何なのか疑問を感じるのではないでしょうか。

1-1.マンション大規模修繕とは?

違いの説明の前に大規模修繕とは何かご説明いたします。

大抵の分譲マンションでは管理組合が組織され、長期修繕計画が立案されます。
その長期修繕計画をもとに、居住者の快適な生活が維持できるようにするために定期的に建物の修繕を行い、築年数が10年を超えたマンションで行われるのが大規模修繕です。

一般的なマンション大規模での工事範囲は以下の通りになります。

マンション大規模修繕の工事範囲

・外壁:下地修繕、タイル修繕、塗装の塗替え
・屋上:防水工事
・共用廊下、階段、バルコニー:床面の防水、軒天の修繕
・建物内の鉄部塗装工事
・設備関係:電気、給水・排水管、消防避難設備など

このような大規模修繕は建築基準法の中で以下のように定義されています。

“ 第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
十四 大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
十五 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

(参照:電子政府の総合窓口 e-Gov|建築基準法)
http://elaws.e-gov.go.jp

このように、修繕および模様替という言葉で定義されていますが、施工業者などでは「補修」や「改修」という言葉を使っています。

イメージ的には先程もご説明した通り、「修繕=補修」、「模様替=改修」と感じられがち。その違いについてこれからご説明していきます。

1-2.大規模修繕の「修繕」と「補修」の違いとは?

大規模修繕では、修繕と似た言葉で「補修」という言葉を使います。言葉のニュアンス的には似ていますが、厳密には違いがあるのです。ここからは、大規模修繕で行われる「修繕」と「補修」の工事内容からその違いをご紹介いたします。

大規模修繕の「修繕」とは?

「修繕」は、建物の経年もしくは外的要因などで生じた劣化や損傷を元の状態まで繕い直すことを意味しています。

“原状回復”といえば分かりやすいですが、修繕は新築当時の状態に近づけていく工事を指し、使う材料などは基本的に修繕前と同じものを使います。例えば、外壁のタイルに浮きやひび割れたが発生している部分を同じタイルで貼り替える工事などが「修繕」にあたります。

修繕は、ただ単に見た目に問題ない程度の状態にするだけでなく、可能な限り新築当時の状態に戻す目的で行われる工事です。

大規模修繕の「補修」とは?

「補修」は、建物に生じた劣化や損傷した部分を使用上問題ない程度まで補う工事を意味しています。

こちらは”現状復旧”といえば分かりやすいですが、建物の劣化や損傷を補い、実用上問題ない程度に回復する工事になります。例えば、漏水している部分のシーリングを打ち替えたりする工事が補修になります。

修繕は新築当時の状態まで戻す目的で行われますが、補修は言い方を変えれば「その場しのぎ」的な工事になります。

このように、修繕と補修と聞いただけでは同じ工事として認識されがちですが、「修繕=新築当時の状態に戻す」、「補修=その場しのぎ」という違いがあることは理解しておきましょう。

1-3.大規模修繕の「模様替」と「改修」の違いとは?

建築基準法の定義には「模様替」という言葉が使われていますが、建築業界では「改修」という言葉を使います。 「模様替」「改修」と言葉が違うので、工事内容も違いがあるように感じる方は少なくないでしょう。

しかし、前項で説明した「修繕と補修」とは異なり、「模様替と改修」はほぼ同じ工事内容を指しています。 言葉のニュアンス的に「模様替」は屋内の模様替をイメージするため、大規模修繕では一般的に「改修」が使われ、施工会社の見積もりでも「外壁模様替」ではなく「外壁改修」として記載されています。

その工事内容に関して、修繕は新築当時の状態まで回復することでした。
それが模様替・改修では、マンションなどの建物の機能や性能を現状の水準よりも向上させて、資産価値を維持するだけでなく、その価値を高めることを目的に行われる工事になります。そのため、修繕は修繕前とほぼ同じ材料が使われますが、模様替・改修では異なる材料や仕様で工事が行われます。

具体的には、耐久性に優れた塗料を使って外壁を塗り替える、エントランスの扉を自動扉にする、宅配BOXを設置するなど、マンションの機能や性能を向上する工事は一般的に「改良」と呼ばれ、修繕とともに改良を施す工事全般が「模様替・改修」になります。

このように、「模様替」と「改修」はほぼ同じ工事内容であり、一般的な大規模修繕では「◯◯改修工事」として記載されています。

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2.大規模修繕の工事のランクと意味の間違いには注意

大規模修繕の工事のランクと意味の間違いには注意

前項では、大規模修繕で行われる工事に関して、「修繕と補修」、「改修と模様替」の違いについてご説明しましたが、工事のランクで考えると以下のようになります。

大規模修繕の工事別のランク

・補修 < 修繕 < 模様替・改修

前項の説明を見れば何となく分かりますが、補修よりも修繕の方が工事のランクは高く、さらに模様替・改修の方がランクは高くなります。そのため工事費に関しても、単純に模様替・改修が一番高く、補修が一番安いということになるわけです。

そこで、施工会社からの見積もりを確認するとき、「外壁補修」、「外壁修繕」、「外壁改修」では意味が違ってくるので、その点はよく認識しておく必要があります。

ただし、施工会社によっては全て「改修工事」で記載している会社もあるので、そのようなときはしっかり工事内容を確認することが重要です。

3.まとめ

建築基準法では、大規模修繕の定義の中で「修繕」「模様替」という言葉で表現していますが、施工業者では「補修」「改修」という言葉を使います。

今回はその言葉の違いについて説明してきましたが、お分かりになったでしょうか? 模様替と改修に関してはほぼ同じ意味になりますが、修繕と補修に関しては理論上工事内容に差があるので注意が必要です。

特に施工業者か提出された見積もりを見るときは、言葉の違いを理解したうえで確認していくことが重要なので、違いはしっかり認識しておきましょう。

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