大規模修繕の瑕疵保険とは?対象になる仕組みや加入するメリット

瑕疵保険とは?対象になる仕組みや加入するメリットを解説

大規模修繕の瑕疵保険とは?対象になる仕組みや加入するメリット

大規模修繕の「瑕疵(かし)保険」という保険をご存知でしょうか?

まず「瑕疵とは何なのか?」という方もいるかと思いますので簡単に説明すると、「瑕疵(かし)」とは「欠陥・不具合」を指す言葉。
大規模修繕においては、工事が完了したのち修繕した箇所に欠陥や不具合が発生することを意味しています。

そこで「何のために瑕疵保険に加入するのか?」、「どんな時に保険が適用されるのか?」
など、大規模修繕で瑕疵保険に加入する理由や仕組みが分からない方は多いのではないでしょうか。

ここからは、大規模修繕の瑕疵保険とは?をテーマに、仕組みや加入するメリットなどご紹介いたします。

このページの目次

1.大規模修繕の瑕疵保険とは?

大規模修繕の瑕疵保険とは?

マンションで行う大規模修繕では、外壁や屋上、共用廊下、階段などの共用部に生じた劣化や損傷を中心に修繕工事を行っていきます。

そこで、完成後すぐに修繕した箇所に欠陥や不具合が発生したときは、施工会社が補修する必要がありますが、その施工会社が万一倒産したときはマンション側で補修費用を負担しなければならなくなります。

そのような事態に備えて加入する保険が「瑕疵保険」です。
平成19年5月に施行された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」基に、国土交通省が指定した保険会社が取り扱っている保険になります。保険会社に関しては後ほどご紹介いたします。

瑕疵保険に加入していれば、大規模修繕完成後に発生した「瑕疵(欠陥・不具合)」を補修するための費用が保険金から支払われるので、施工会社に倒産などのトラブルが発生したときでもマンション側は補修費用を負担しなくてもよくなるのです。

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2.大規模修繕の瑕疵保険に加入するメリット

大規模修繕の瑕疵保険に加入するメリット

マンション大規模修繕の「瑕疵保険」とは何か説明しましたが、加入するメリットはあるのか?と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

そこでこの項では、瑕疵保険の仕組みなどを説明する前に、マンション大規模修繕において瑕疵保険に加入するメリットをご紹介いたします。

2-1.施工業者が万一瑕疵担保責任を履行できないときも保険料が支払われる

マンション大規模修繕工事に限らず、工事を施工した施工業者には「瑕疵担保責任」が発生します。

大規模修繕では、例えば防水工事を実施して1年後にその箇所から漏水したとき、施工業者は無償で補修工事を行わなければなりませんが、その施工業者が万一倒産した場合、別の業者に有償で補修工事を依頼しなければならなくなります。

そこで、マンション大規模修繕に合わせて瑕疵保険に加入していれば、万一施工業者が倒産して瑕疵担保責任が履行できないときでも、工事費が全額保証されます。別の施工業者に漏水などの補修を依頼したときでも、その工事費が全額保証されるのです。

2-2.瑕疵が発生したとき工事がスムーズに進められる

一般的に瑕疵工事は、本工事が完成したあとで発生するトラブルに対して無償で行う工事です。そのため、施工業者にとっては何のメリットもないので対応が遅くなる傾向があります。

そこで、大規模修繕工事に合わせて瑕疵保険に加入していれば、瑕疵に関わる工事費用が保険料として施工業者に支払われます。それにより、施工業者も工事費用を自社で負担する必要がなくなるので、工事がスムーズに進められるようになります。

2-3.保険会社の検査員が工事前と工事後で検査してくれる

マンション大規模修繕に合わせて瑕疵保険に加入すると、ほとんどの保険会社では所属している建築士の知識を有した検査員によって、工事前の「事前検査」と、工事が完了したあとの「確認検査」を実施しています。検査を行う理由として、保険会社もできるだけ瑕疵工事が発生しないことに越したことはありません。

そこで、大規模修繕工事にあたって、工事前に一定の品質で工事を施工するのか、または工事後も一定の品質で工事を施工したのか確認するために検査が行われます。

そのため、施工業者も「手抜き」ができなくなるため、必然的に工事の品質も良くなり、瑕疵工事の発生を抑えることができるのです。マンション側としても、工事完了後にトラブルが発生しない方が良いに決まっているので、大規模修繕工事で瑕疵保険に加入するメリットは大きいといえます。

2-4.瑕疵保険は施工業者が加入するのでマンション側の負担は0(ゼロ)

瑕疵保険をマンション側で加入すると考える方もいますが、瑕疵保険は施工業者が加入します。 つまり、瑕疵保険への加入でのマンション側の負担は0(ゼロ)なのです。

保険料は保険会社や大規模修繕全体の工事費によって異なり、後ほど仕組みの説明中で紹介しますが、保険料はそれほど高くはありません。

このように、大規模修繕工事に伴う瑕疵保険への加入では、マンション側は保険料を負担する必要がないうえに上記のメリットがあります。また、施工業者も瑕疵保険に加入しておくことで、瑕疵が発生したときの工事費が保険金で補えるので、瑕疵保険への加入はマンションと施工業者ともにメリットは大きいといえるでしょう。

3.大規模修繕の瑕疵保険の仕組みを解説

大規模修繕の瑕疵保険の仕組みを解説

瑕疵保険に関して何となくイメージできた方もいると思いますが、どんな仕組みになっているのか詳しいことが分からないのではないでしょうか。

そもそも瑕疵保険に加入する手続きの流れは、大規模修繕を依頼するマンション側から施工業者に保険加入を依頼して、施工業者が保険加入の手続きを行います。

流れとしては、大規模修繕が着工したあと保険対象となる修繕箇所の現場検査が保険会社によって行われます。そして、工事完了後に施工会社が保険会社に保険証券の発行申請を行い、発行された保険証券は施工会社からマンション側に渡されます。

そこで、大規模修繕工事が完了したあと瑕疵(欠陥・不具合)が発生すれば、補修に関わる費用は施工会社に支払われます。 しかし、万一施工業者が倒産したときは、マンション側から保険会社に直接保険金の支払いを請求しなければなりません。

このように、瑕疵保険に加入するのは施工業者であり、施工会社に万一の事態が発生しない限り、保険料は施工業者に支払われます。

3-1.大規模修繕の瑕疵保険が対象になる工事

上記の説明の中に「保険対象となる修繕箇所」とありますが、保険対象になる修繕工事は以下の通りになります。

瑕疵保険の対象になる修繕部分

・構造耐力上主要な部分:柱、梁、壁工事、耐震補強など
・雨水の侵入を防止する部分:屋上、外壁など
・給水管路及び給水設備
・排水管路及び排水設備
・電気設備
・ガス設備
・鉄部:玄関などの扉、柵、手摺、外部鉄骨階段など
・外壁タイル:タイル剥落特約オプションへの加入が必要

大規模修繕によって工事内容は異なりますが、瑕疵保険の対象となる修繕部分は以上の8項目となり、内装工事や植栽や駐車場の舗装などの範囲は対象外になるので加入時に確認が必要です。

3-2.大規模修繕の瑕疵保険が適用されるケースとされないケース

次に、実際に瑕疵保険が適用されて保険金が支払われるケースと、逆に保険が適用されずに保険金が支払われないケースをご紹介いたします。もちろん、先程ご紹介した工事範囲が対象になるので、それ以外の部分には保険が適用されません。

まず、瑕疵保険が適用されるケースは以下の通りになります。

大規模修繕の瑕疵保険か適用されるケース

・雨水の侵入による漏水
・構造上の耐力性能が失われたとき:柱や壁、床のひび割れなど
・共用部の給水・排水設備の不良
・共用部分の電気設備の不良
・手摺、柵などが腐食して危険を感じるとき
・外壁タイルの剥落

逆に瑕疵保険が適用されないケースは以下の通りです。

大規模修繕の瑕疵保険が適用されないケース

・地震や台風、落雷などの自然災害が原因で発生した瑕疵
・火災が原因の瑕疵
・ネズミや虫食いなどが原因の瑕疵
・タイル剥落などで第三者に被害が発生したときの保証
・タイル剥落などが原因で第三者の自動車などが物損したときの保証

このように、地震や台風、雷などの自然災害による瑕疵には保険が適用されず、さらにタイル剥落などで歩行者が怪我をしたり、車に傷が入ったりしたときの保証も保険金からは支払われません。

瑕疵保険は先程ご紹介した対象の修繕箇所が、施工不良などの要因で欠陥や不具合が発生したときに適用されるので、その点はしっかり認識しておく必要があります。

3-3.一般的な瑕疵保険の保険期間及び保険金額

ここまで大規模修繕の仕組みをご説明しましたかが、実際に加入したときの保険期間や支払われる保険金額をご紹介いたします。

瑕疵保険の保険期間

保険期間については、先程ご紹介した瑕疵保険の対象になる修繕部分で一部異なります。

保険対象の修繕部分保険期間
構造耐力上主要な部分5年
雨水の侵入を防止する部分
給水、排水、電気、ガス設備
外壁タイル:タイル剥落特約
鉄部:玄関などの扉、柵、手摺、外部鉄骨階段など2年

瑕疵保険で支払われる保険金額

次に、どれくらいの保険料が支払われるのか、気になるポイントですが一般的に以下の計算式で計算され支払われます。

瑕疵保険の保険金額

・(瑕疵に関わる補修費用 - 10万円) ✕ 80%
※施工業者に倒産などのトラブルが発生したときは100%支払われます。

一般的な瑕疵保険ではこの計算式が採用されています。 単純な例えとして、瑕疵の補修に100万円の費用がかかったときは、”(100万円-10万円)✕80%=72万円” 。 補修に100万円かかったときは72万円の保険金額が支払われ、施工会社が倒産したときは100%なので90万円の保険金額になります。

また、保険に加入したときの保険料に関しては、建物によって違いがあるため、保険会社で見積もりを算出してもらわなければ分かりません。

3-4.大規模修繕工事の瑕疵保険を取り扱っている会社紹介

ここまで大規模修繕の瑕疵保険の仕組みを説明しましたが、瑕疵保険を取り扱っている保険会社をご紹介いたします。
瑕疵保険は先程も説明した通り、国土交通省の認可が必要になり、以下の保険会社は国土交通省指定の保険会社になります。

国土交通省指定の瑕疵保険会社

・㈱住宅あんしん保証
・ハウスプラス住宅保証㈱
・㈱日本住宅保証検査機構
・住宅保証機構㈱
・㈱ハウスシーメン

大規模修繕においては、「住宅あんしん保証」、「ハウスプラス住宅保証」の2社が有名で多くのマンション大規模修繕で利用されています。

3-5.(参考)「住宅あんしん保障」の保険内容紹介

瑕疵保険に加入したとき、実際にどんな保証が受けられるのか?について、上記でご紹介した「住宅あんしん保証」の保証内容を参考にご紹介しておきます。
以下、住宅あんしん保証あんしん大規模修繕工事瑕疵保険(パンフレット)の内容を抜粋してご紹介します。

【保険対象となる具体的な工事部分】
➀構造耐力上主要な部分(柱・梁・壁など)
➁雨水の侵入を防止する部分
➂給排水管路
➃灯油管路
➄給排水設備
➅灯油設備
➆電気設備
➇ガス設備

【特約の種類と内容】
➀防水工事に係る保険期間延長特約:10年間※
➁タイル剥落に係る特約:5年間/10年間※
➂外壁塗膜担保特約:5年間
➃給排水管路工事に係る保険期間延長特約:10年間
➄太陽光発電設備工事に係る特約:5年間
➅手すり・柵・鉄部に係る特約:2年間

※保険期間を10年間とする場合、より高品質な工事内容として設計施工基準に定める基準で工事を実施する必要があります。

【保険期間】
被保険者が、保険対象工事を含む工事請負契約に基づくすべての工事を完了した日から起算して、原則として5年間
(特約を付帯する場合は、異なる保険期間となる保険対象部分があります。)

【支払う保険金の種類】
・補修費用・損害賠償保険金
・争訴費用保険金
・求償権保全費用保険金
・事故調査費用保険金
・仮住まい費用保険金
・駐車場賃借費用保険金

【保険金額(支払限度額)】

大規模修繕工事の請負金額帯(税込)保険金額(支払限度額)
1,000万円以下1,000万円
1,000万円超2,000万円以下2,000万円
2,000万円超3,000万円以下3,000万円
3,000万円超4,000万円以下4,000万円
4,000万円超5,000万円以下5,000万円
5,000万円超6,000万円以下6,000万円
6,000万円超7,000万円以下7,000万円
7,000万円超8,000万円以下8,000万円
8,000万円超9,000万円以下9,000万円
1,000万円超1億円以下1億円
1億円超1.5億円以下1.5億円
1.5億円超2億円以下2億円
2億円超3億円以下3億円
3億円超4億円以下4億円
4億円超5億円

【保険料等】
保険料等=保険料+検査手数料

大規模修繕工事の
請負金額(税込)
延床面積戸数保険金額保険料等保険料等/工事費
2,800万円2,352㎡28戸3,000万円236,720円0.85%
4,800万円4,032㎡48戸5,000万円293,620円0.61%
1億4,000万円11,760㎡140戸1億5,000万円570,440円0.41%

以上、簡単にご紹介しましたが、気になる方は住宅あんしん保証 「あんしん大規模修繕工事瑕疵保険(パンフレット)」をご覧ください。

4.マンション大規模修繕 瑕疵保険についてのまとめ

大規模修繕は工事が無事完成しても、その後に欠陥や不具合などの「瑕疵(かし)」がつきものです。

そこで、その対策として加入されるのが「瑕疵保険」になります。
加入するのは施工業者になりますが、加入しておけば施工業者、マンション側ともにメリットがあります。

今回は瑕疵保険の仕組みなどを説明してきましたが、ご紹介した瑕疵保険会社の適用条件などはしっかり確認することが重要です。基本的に自然災害では瑕疵保険は適用されないので、その点も含めて加入の必要性を施工業者と検討していきましょう。

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