大規模修繕に伴う給水設備の修繕!給水方式の仕組みと工事内容紹介

給水設備の修繕!給水方式の仕組みと工事内容紹介

大規模修繕に伴う給水設備の修繕!給水方式の仕組みと工事内容紹介

マンション大規模修繕は外観の修繕だけではなく、日々利用している設備関係も耐用年数や劣化状況に応じて改修もしくは設備機器を交換しなければなりません。

その設備関係の修繕の中でもは欠かせない工事の一つが「給水設備」です。
水を使わない日はないので、月日の経過とともに給水設備や給水管は劣化していきます。そのため、築年数や劣化状況に応じた対応が必要になるのです。

そこで今回は、一般的にマンションの給水方式の種類とその修繕目安をご説明して、実際の給水設備の修繕工事内容をご紹介いたします。

1.マンションの給水方式の種類と修繕目安

マンションの給水方式の種類と修繕目安

マンションの給水設備に使われる給水管も月日の経過とともに劣化していきます。
給水管の劣化は漏水や赤水など原因になるため、築年数の長いマンションでは修繕を行い、毎日使う水の安全を確保していく必要があります。

ここからは、マンションの給水方式の説明と劣化によるトラブルや、耐用年数および修繕目安をご説明いたします。

1-1.マンションの給水方式は2種類

マンションにお住まいの方は自分のマンションの給水方式はご存知でしょうか?
一般的なマンションの給水方式は大きく以下の2種類があります。

マンションの2種類の給水設備

・貯水槽方式
・水道直結方式

このように、建物に貯水槽を設置する「貯水槽方式」と外部の水道管に直結する「水道直結方式」のどちらかがマンションでは採用されています。

1-2.2種類の給水方式の仕組みを解説

マンションの給水方式は「貯水槽方式」「水道直結方式」のいずれかの方式が採用されていますが、どんな仕組みで水が家庭に届くのか気になる方は多いのではないでしょうか。

ここでは、2種類の給水方式で水が家庭に届くまでの仕組みをそれぞれ簡単にご紹介します。

1-2-1.貯水槽方式の仕組み

貯水槽方式は、貯水槽(タンク)を建物の屋内もしくは屋外に設置し、そこに一旦水を蓄えてから各家庭に水を供給する方式です。この貯水槽方式にも、「高置水槽方式」「圧力ポンプ方式」という2種類の方式があります。

「高置水槽方式」は、敷地内に設置した貯水槽に一旦水を蓄えてから、揚水ポンプを使って建物屋上に設置した高置水槽に送り、そこから重力を利用して各家庭に水を供給する方式です。

「圧力ポンプ方式」は、貯水槽に一旦水を蓄えてから、加圧給水ポンプ(圧送ポンプや圧力ポンプとも呼ばれる)を利用して各家庭に水を供給する方式です。

敷地内に貯槽タンクが設置してあるマンションはどちらかの方式を利用して各家庭に水が供給されています。
日本のマンションでは「高置水槽方式」が多く採用されています。

1-2-2.水道直結方式の仕組み

水道直結方式は、敷地内に貯水槽を設置せずに外部の水道本管に直結して水を供給する方式です。

水道本管からの水を増圧ポンプの圧力する「増圧直結方式」で各家庭に水が供給されています。
平成7年頃から東京都を中心に採用されている方式で、全国の自治体でも徐々に普及が進んでいます。

もう一つ水道本管から直接水を供給する「直圧直結方式」がありますが、こちらは3階建のマンション・アパートで採用されています。

以上のように、マンションなどの共同住宅では、貯水槽方式もしくは水道直結方式いずれかの方式が採用されています。 見分け方は単純に、貯水槽の有無でどちらの方式が使われているのかが分かります。

1-3.給水設備で発生するトラブル

マンションでの給水方式をご紹介しましたが、水はマンション内の水道管を通して供給されています。 その給水管は建物と同じように経年により劣化が進み、築年数が長いマンションで何もメンテナンスをしていない場合は以下のようなトラブルが発生することがあります。

給水設備のトラブル

・水漏れ(天井、床面、露出配管などから)
・赤水が出る(異物が混じっている)
・水の出が悪い

このようなトラブルが発生するケースが多く見受けられます。

基本的にマンションに貯水槽や高置水槽を設置している場合、衛生的でかつ安全な水を供給するために、タンクの清掃や点検を定期的に行う義務があります。

水道法では貯水槽の有効容量の合計が10m3を超えるものを「簡易専用水道」と呼ばれ、設置者は安全な水を供給するために、以下の点検を行うことが義務付けられています。

簡易専用水道の点検項目と頻度

・水槽の清掃:年1回
・水槽の点検:月1回
・検査機関による水槽の点検:年1回
・日常点検:水質(水の色、濁り、臭い、味)

以上のように貯水槽を設置してあるマンションでは、マンション側で定期的な清掃や点検を実施しており、問題が発生すれば即座に水の供給はストップして改善措置が行われます。

1-4.給水設備の法定耐用年数と修繕目安

貯水槽などは定期的に清掃や点検が行われますが、各家庭に繋がっている給水管に関しては管理が難しく、劣化が進めば赤水の発生や漏水に繋がる危険があります。

法的に給水設備は「建物付属設備」に該当し、耐用年数は「15年」と定められていますが、実際には15年よりも長く利用されるケースが大半です。ここでは、一般的な給水設備の修繕目安をご紹介いたします。

給水設備の修繕目安

・貯水槽、高置水槽:20年~25年
・給水ポンプ:15年~20年
・給水管(以下4種)
亜鉛メッキ鋼管:10年~20年
硬質塩ビライニング鋼管:15年~20年
硬質塩化ビニル管:20年~30年
ステンレス鋼管:30年~35年

あくまで目安ですが、一般的な12年周期で大規模修繕工事を実施しているマンションでは、2回目以降の大規模修繕の際に給水設備の修繕もしくは取替などの計画を立てておく必要があります。

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2.大規模修繕に伴う給水設備(給水管)の修繕工事内容

大規模修繕に伴う給水設備(給水管)の修繕工事内容

前項ではマンションの給水設備に関して説明しました。
経年劣化に伴う大規模修繕では、貯水槽や給水ポンプの取替のほかにも、給水管の劣化が原因による漏水や赤水などのトラブルが多く発生するため、給水管の改修もしくは交換が必要になります。

2-1.事前に給水管の「劣化診断」を受ける

マンションなどの給水管は主に「硬質塩ビライニング鋼管」が使われています。
この鋼管は内部が塩化ビニルで覆われているので、管の内部に錆や腐食はほとんど発生しませんが、築年数が長いマンションでは鋼管の継ぎ目のネジ部やバルブ廻りなどに錆や腐食が発生します。

そのまま放置していると漏水や赤水といったトラブルの原因になるので、大規模修繕に合わせて事前に「劣化診断」を受け、錆や腐食していれば、安全な水を供給するために修繕を行わなければなりません。

劣化診断は実施する会社で多少違いはありますが、一般的な調査内容として、給水メーター廻りの配管の外観を確認する「外観調査」、配管を一部抜き取って調査する「抜管調査」、管内を専用の内視鏡で調査する「内視鏡調査」が行われます。

そこで、劣化診断の結果から、マンションの配管材の種類、劣化状況、配管ルートなどのポイントを考慮して、給水管の改修工事を行いますが、給水管の改修工事には大きく2種類の工法があります。

給水管の改修工法

・給水管の更生(ライニング)工事
・給水管の更新(交換)工事

簡単には、既存の給水管をそのまま利用するか、新しい給水管に交換するかに分かれます。
それぞれの工事の特徴は見ていきましょう。

2-2.給水管の更生(ライニング)工事

既存給水管の内部に発生した錆などに対して、腐食の進行を止める防錆処理を行う工法です。
対象の給水管の内部のクリーニングを行ったのち、エポキシ樹脂を注入して塗膜を形成。その塗膜で水との接触を断ち、腐食を止めるという工事になります。

この処理を行うことで、給水管の耐用年数は15年~20年は延長します。
また、次に紹介する更新工事のように、壁や床を剥がしたりする必要がないので、工事費が抑えられ工程も短くなるメリットがあります。

2-3.給水管の更新(交換)工事

更新工事はそのまま、錆などで腐食した給水管を新しい給水管に交換する工事です。

新しい給水管に取り替えるので、水に関するトラブルは全て解消されるので衛生面で安全が確保できます。
また、一度取り替えたら以降20年以上は改修が不要になるので、工事費や工事の手間は上記の更生よりもかかりますが、長期的に考えれば費用の削減に繋がります。

このように、給水管の改修工事には2通りの工法はありますが、まずは劣化診断を受けてから施工業者とどちらの方法がいいのかを協議することが重要です。

3.まとめ

マンション大規模修繕は建物の劣化を修繕するだけでなく、築年数が長いマンションでは給水設備の改修も行います。

一般的なマンションは「貯水槽方式」「水道直結方式」いずれかの給水方式が採用されており、築10年を過ぎたマンションでは貯水槽や給水ポンプの交換とともに、給水管の改修も行わなければなりません。

給水管に関しては事前に劣化診断を受けてから、既存の給水管をそのまま使うのか、新しい給水管に交換するのか決める必要があります。12年周期で大規模修繕を計画しているマンションは、2回目以降の大規模修繕には給水設備の改修も計画に入れておきましょう。

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