マンション大規模修繕の時期とは?目安や周期サイクルを簡単解説

大規模修繕の時期とは?目安や周期サイクルを簡単解説

マンション大規模修繕の時期とは?目安や周期サイクルを簡単解説

突然ですが、マンションの修繕や補修の時期はご存知でしょうか?

マンションなどの建物は経年による劣化は避けられず、長く快適に生活するために劣化部分を補修する大規模修繕を行います。
しかし、大規模修繕の経験がないマンションの管理組合では、時期といわれても分からないものです。

基本的に大規模修繕は、屋上や外壁、共用部分で劣化した箇所の補修を行うので、劣化が目立ってきたら大規模修繕のタイミングといえます。

ここからは、マンション大規模修繕の「時期」をテーマに目安や周期サイクル、決定するときのポイントをご紹介いたします。

このページの目次

1.マンション大規模修繕の時期の目安と周期サイクル

マンション大規模修繕の時期の目安と周期サイクル

マンションの大規模修繕の時期はいつなのか?という疑問をお持ちの管理組合の方は多いのではないでしょうか。

そのマンションの大規模修繕の時期の目安として、「12年周期」というのが一般的に言われています。
12年目に必ずしも大規模修繕しなければならないという訳ではありませんが、平均すると12年~15年の周期で大規模修繕が行われています。

1-1.マンション大規模修繕は12年周期と言われている理由

では、なぜマンション大規模修繕は12年周期なのか疑問を感じる方も少なくないでしょう。

ここでは、マンション大規模修繕が12年周期と言われている理由を2つご説明いたします。

1-1-1.理由➀ 築10年以上のマンションは「全面打診調査」を実施するように定められている

建築基準法施工規則の改正(2008年4月1日)によって、外壁がタイル貼のマンションでは、築10年を経過して築13年までに外壁の「全面打診調査」が義務付けられています。ただし、築10年を経過しても以降3年以内に大規模修繕を実施するマンションでは、全面打診調査を実施しなくても問題ありません。

説明している「全面打診調査」とは、タイルを叩いて浮きがないかを確認する調査になります。
まず手が届く範囲で打診調査して、異常がある場合は外壁タイル全面の打診調査を行わなければなれません。

外壁タイルは専用の接着剤で貼り付けてあるので、時間の経過とともに接着力が弱まり、タイルと下地の間に隙間が生じて「浮き」と呼ばれる状態になります。そこで、すぐに剥がれ落ちることはありませんが、浮きを長期間放置しておくと剥がれ落ちる可能性が高く、万一歩行者の頭に直撃したら大惨事になってしまいます。

そのような事態が発生しないようにするために、タイル貼のマンションでは築10年を経過したらタイルの打診調査が必要になるのです。

建築基準法では、『建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない(第8条第1項)』というように定められているので、全面打診調査はタイル貼りのマンションでは築10年を経過したら実施しなければなりません。
(参照:要約 建築基準法)
http://www.higuchi-fit.co.jp/mezase/kenki-hou/kenki-p02b.htm#k008-01

実際に打診調査で手が届く範囲で異常があれば、足場を設置して外壁全面の打診調査が必要になります。
その足場設置に関わる費用はもちろんマンション側で用意しなければならず、規模によって異なりますが100万円単位の費用が必要になります。

そこで、築10年を経過したマンションでは、足場を設置するなら調査ではなく大規模修繕工事をした方が効率は良いという判断になり、築13年以内の築12年で修繕工事を行うマンションが多いのです。

1-1-2.理由➁ 建物部材の保証期間が過ぎる

マンション建物の外壁タイル、防水、塗装などの部材は経年による破損や汚れといった劣化は避けられません
そのため、使用されている部材には一般的に10年前後の保証期間が設定され、この保証期間内は無償で補修ができます。

しかし、築10年以上が経過すれば保証期間も過ぎてしまい、劣化が目立ってくる時期でもたるため、12年~15年周期で大規模修繕を行うマンションが多いのです。

以上、マンション大規模修繕が12年周知と言われている理由を2つご覧いただきました。
特に外壁の全面打診調査の影響が大きく、足場の設置に合わせて大規模修繕を実施するマンションが多いため、一般的に「12年周期」というのが広まったのではないでしょうか。

1-2.大規模修繕の周期サイクル

マンション大規模修繕の周期を「12年周期」で実施する場合、周期サイクルは単純に以下のようになります。

マンション大規模修繕の12年周期サイクル

・築12年目に1回目の大規模修繕
・築24年目に2回目の大規模修繕
・築36年目に3回目の大規模修繕

12年周期ではこのようなサイクルになりますが、12年周期で必ず大規模修繕する必要はありません。

しかし、修繕積立金を考えると12年~15年周期がベストではないでしょうか。
大規模修繕の費用の目安として、一戸あたり75万円~100万円となっています。60戸の中規模マンションでは単純計算で4,500万円~6,000万円もの費用が必要になります。

そこで、これだけの費用を毎月の修繕積立金で集めようとすれば、居住者の負担を考えるとやはり12年~15年はかかると考えられます。

1-3.マンション部位別の修繕目安

ここまでマンション大規模修繕全体は12年~15年周期と説明してきましたが、ここではマンションの部位別の修繕目安をご紹介いたします。

「公益財団法人 マンション管理センター」が公開している『長期修繕計画と修繕積立金』を参照してご紹介いたします。
ここでは建物本体の修繕周期のみご覧いただきます。

(参照:公益財団法人 マンション管理センター|長期修繕計画と修繕積立金)
http://www.mankan.or.jp/07_skillsupport/pdf/shuzen-sample2.pdf

1-3-1.屋上防水

屋上をメインに、防水層が劣化した部分からの漏水を防ぐために防水補修工事を行います。
防水層や保護コンクリートのひび割れや浮きの確認を行い、ウレタン塗膜防水など各部位に合わせた補修工事が行われます。

修繕工事項目対象部位工事区分修繕周期(参考)
屋上防水(保護)屋上、塔屋、ルーフバルコニー補修12年
修繕24年
屋上防水屋上、塔屋修繕12年
撤去・新設24年
傾斜屋根屋根補修12年
撤去・葺替24年
庇・笠木など防水庇天端、笠木天端、パラペット天端・アゴ、
架台天端等
修繕12年

1-3-2.床防水

共用部の開放廊下や階段および各室バルコニーの床面の防水補修を行います。
多くのマンションでは機能性・デザイン性に優れた「防滑性ビニル床シート」が採用されています。

修繕工事項目対象部位工事区分修繕周期(参考)
バルコニー床バルコニー床(側溝、巾木含む)修繕12年
開放廊下・階段等床開放廊下・階段の床(側溝、巾木含む)修繕12年

1-3-3.外壁塗装等

外壁を中心に、開放廊下・階段、バルコニーの軒天部分の塗装の塗替えなどの補修工事を行います。
最初に外壁などのコンクリート・モルタル面のひび割れや爆裂、欠損・浮きなどを補修して下地調整を行います。そして、外壁タイルに浮きやひび割れがあれば貼り替えを行い、その他の部分に関しては塗装の塗替えを行い、漏水を防ぐためのシーリング処理を施していきます。

修繕工事項目対象部位工事区分修繕周期(参考)
コンクリート補修外壁、屋根、床、手すり壁、
軒天、庇等(コンクリート、モルタル部分)
補修12年
外壁塗装外壁、手すり壁等塗替12年
除去・塗装36年
軒天塗装開放廊下・階段、
バルコニー等の軒天(上げ裏)部分
塗替12年
除去・塗装36年
タイル張補修外壁・手すり壁等補修12年
シーリング外壁目地、建具周り、スリーブ周り等打替12年

1-3-4.鉄部塗装等

開放廊下や階段の手すりなどの鉄部に「錆(さび)」が発生している箇所の補修工事を行います。
錆が発生している箇所では、錆部分のケレン(錆落とし)を行ったあと錆止め材と上塗り材の順で塗装していきます。

修繕工事項目対象部位工事区分修繕周期(参考)
鉄部塗装
(雨掛かり部分)
開放廊下・階段、バルコニーの手すり塗替4年
屋上フェンス、設備機器、立て樋・支持金物、架台、避難ハッチ、マンホール蓋、隔て板枠、物干金物等塗替4年
屋外鉄骨階段、自転車置場、遊具、フェンス塗替4年
鉄部塗装
(非雨掛かり部分)
住戸玄関ドア塗替6年
共用部分ドア、メーターボックス扉、手すり、照明器具、設備機器、屋内消火栓箱等塗替6年
非鉄部塗装サッシ、面格子、ドア、手すり、避難ハッチ、換気口等清掃12年
隔て板・エアコンスリーブ・雨樋等塗替12年

1-3-5.建物・金物等

建具(扉・シャッターなど)や各部の金物について、1回目の修繕では動作確認と金具の調整が行われ、2回目24年以降のものに関しては取り替えを行います。

修繕工事項目対象部位工事区分修繕周期(参考)
建具関係住戸玄関ドア、共用部分ドア、自動ドア点検・調整12年
取替36年
窓サッシ、面格子、網戸、シャッター点検・調整12年
取替36年
手すり開放廊下・階段、バルコニー、防風スクリーン取替36年
屋外鉄骨階段屋外鉄骨階段補修12年
取替36年
金物類
(集合郵便受け等)
集合郵便受け、掲示板、宅配ロッカー等取替24年
各所金物取替24年
屋上フェンス等取替36年
金物類
(メーターボックス扉等)
メーターボックスの扉、パイプスペースの扉等取替36年

以上、簡単に建物の部位別に補修目安をご紹介しました。 マンション全体は12年~15年周期が基本ですが、部位別に修繕を行うことで建物の耐久性もあがり長く快適に生活できるようになります。

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2.マンション大規模修繕の時期には事前の建物診断が重要

マンション大規模修繕の時期には事前の建物診断が重要

マンション大規模修繕は12年~15年の周期が一般的ですが、お住まいのマンションの劣化状況に応じて適切に計画しなければなりません。そのためには、マンションの劣化状況を把握するための「建物診断」が必要になります。

2-1.マンション大規模修繕の建物診断とは?

建物診断とは、名前の通り建物の各部の異常などをチェックして劣化状況を把握する診断のこと。
調査診断、劣化診断とも呼ばれ、日常点検とは別に一定期間を空けて定期的に行われる調査を指します。

マンション大規模修繕では事前に建物診断を受けるのが一般的。建物診断の目的は、建物の補修および修繕の必要性の有無を検討するための資料を作成するためです。

建物診断を実施することで、大規模修繕の時期や想定される修繕工事の概算費用が算出できます。
建物診断は以下の協会に申し込めば受けられますが、費用はもちろんマンション負担になるので説明はしっかり聞いておきましょう。

建物診断が受けられる協会

・一般社団法人 マンション管理業協会
・一般社団法人 建物診断協会
・一般社団法人 日本建築士事務所協会連合会
・公益財団法人 マンション管理センター

2-2.建物診断の調査項目

建物診断は調査する機関で違いはありますが、一般的に以下の3項目の調査が行われます。

2-2-1.目視調査

マンションの屋上防水、外壁補修・塗装、鉄部、建具・金物、電気・下水道設備などの劣化の程度や進行状態を検査して確認する調査です。

目視するだけでなく打診などの調査も含み、コンクリートやタイル、防水などのひび割れ、浮き、爆裂、剥落、汚れ、腐食、鉄部のサビの発生などチェック項目は多岐に渡ります。

2-2-2.竣工図面などの書類調査

竣工図面や修繕履歴などの書類も調査していきます。
図面や修繕履歴から、使用されている部材や今までの補修程度を調べることができるので建物の弱点が発見しやすくなります。

上記の竣工図面とは、工事の途中で行われる設計変更などを基に設計図を修正し、変更内容も含めて完成した建物を正確に表した図面が竣工図面になります。

2-2-3.アンケート調査

マンション居住者に対して日常生活の中で感じている不具合などをアンケート形式で調査するものです。
専門家が落としがちな不具合を発見するための有益な情報源になります。

大きくはこのような調査が行われており、マンション大規模修繕を実施する時期を決める上でも建物診断は重要なポイントになります。

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3.マンション大規模修繕の時期を決定するときのポイント

マンション大規模修繕の時期を決定するときのポイント

ここまでマンション大規模修繕の時期について色々な目線で説明してきましたが、時期を決めるときのポイントを最後にご紹介いたします。

3-1.長期修繕計画の確認及び修繕委員会を立ち上げる

長期修繕計画を確認して大規模修繕工事の時期が近くなったときは、マンション内で修繕委員会を立ち上げることが時期を決める上で重要になります。

前項でご紹介した建物診断を受けるとともに、居住者からの様々な意見を調整して大規模修繕を適切に進めるためには、修繕委員会の設置は必要不可欠です。大規模修繕に関する知識がなければ、設計事務所などのコンサルタントに意見を求めながら、実施する時期や工事範囲は修繕委員会で検討していく必要があります。

3-2.管理組合は管理会社のいいなりにならない

マンション大規模修繕では、実施する時期だけでなく補修や修繕を行う部分もしっかり把握して、管理会社のいいなりにならないことも重要になります。

マンションの管理組合は、管理会社に大規模修繕を一任することはできます。
管理会社に一任すれば管理組合の手間は軽減できますが、大規模修繕全体の費用が高くなってしまう危険があります。

マンション大規模修繕では管理組合や修繕委員会が主体になって、管理会社のいいなりならないこと、さらに一任しないことが費用を安く抑えるためには重要になります。

3-3.1回目と2回目・3回目の大規模修繕は回を重ねるごとに項目が増える

こちらは時期とはニュアンスは違いますが、マンション大規模修繕では1回目とは修繕範囲が異なり2回目、3回目と回を重ねるごとに工事範囲が広がっていきます。

1回目の大規模修繕では屋上や外壁を中心に行われますが、2回目は外壁・屋上だけでなく、建物内部の劣化している箇所も含めて修繕工事を行います。そして、3回目は建物全体を対象とした大規模修繕工事が行われるケースがほとんどです。

1回目の大規模修繕が築12年目であれば、周期的には2回目の大規模修繕は築24年目、3回目の大規模修繕は築36年目となります。部位別の修繕目安でご紹介した通り、築24年経過すれば内部の建具などの取替も必要になり、築36年経過すれば建物自体が老朽化していると考えられます。

このように、マンションなどの建物では築年数に合わせて劣化も進んでいくので、大規模修繕は回を重ねるごとに工事範囲が広がることは認識しておきましょう。

4.まとめ

マンション大規模修繕には膨大な費用がかかるので、時期を決めるのも容易ではありません。

一般的にマンション大規模修繕は「12年周期」といわれていますが、必ずしも築12年目に工事を実施しなければならない訳ではなく、修繕委員会を立ち上げ、建物診断を受けるなど十分な資料を集めて決定する必要があります。

ここでは、「時期」に関して色々な角度で説明しましたが、マンション大規模修繕は居住者から集めた修繕積立金で工事を行うので、居住者が納得する時期に実施することが大切です。

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