シーリング工事とは?マンション大規模修繕での施工箇所や工事の流れを解説

シーリング工事とは?施工箇所や工事の流れを解説

シーリング工事とは?施工箇所や工事の流れを解説

マンション大規模修繕では、実にさまざまな修繕工事が行われます。

その中で、ほかの工事と比べて派手さはありませんが、重要な工事の一つが「シーリング工事」です。
施工箇所などは後で詳しく説明しますが、主に部材同士の隙間にシーリングが行われ、別に「コーキング」とも呼ばれています。

シーリング工事はマンションの各所で施工され、建物の防水性と気密性を高めるために、必要不可欠な工事の一つになります。
とはいっても、あまり目立たない工事なので、実際にどんな工事が行われているのか分からない方は多いでしょう。

そこでこの記事では、マンション大規模修繕で行われる重要な工事の一つ「シーリング工事」の施工箇所や施工手順、使われているシーリング材の種類など、分かりやすくご紹介いたします。

このページの目次

1. マンション大規模修繕で実施する「シーリング工事」とは?

マンション大規模修繕で実施する「シーリング工事」とは?

マンション大規模修繕は「共用部分」に発生した劣化や損傷を修繕する工事ですが、その中で目立たないものの重要な工事の一つが「シーリング工事」です。

シーリング工事は、建物の外壁コンクリートのつなぎ目や外壁と窓サッシ・玄関ドア周囲などの隙間に、シーリング材を充填する工事になります。シーリング材はゴム状の素材になり、部材同士のつなぎ目や隙間に充填することで、見た目が良くなるとともに高い防水性や気密性が確保できるようになります。

1-1. シーリング材の耐用年数(寿命)

シーリング材の耐用年数は、使われるシーリング材で多少異なりますが、おおむね5年程度で、ひび割れや剥離などの劣化症状が表れてきます

ただし、外壁など外部に面した箇所のシーリング材は、常に太陽の紫外線や雨風の影響を受けているので、立地環境によっては劣化の進行が早くなることがあります。

そのため、一般的な12年周期で大規模修繕工事を実施しているマンションでは、大規模修繕のタイミング以外にも、シーリング材の劣化状況によってはその都度修繕する必要があります。その際、手の届かない高い部分のシーリング材の修繕は、足場を設置する大規模修繕のタイミングで交換を行うことになりますが、手の届く範囲で劣化が進行している部分があれば、その都度シーリング材の修繕を行います。

シーリング材にひび割れや剥離などが発生した場合、本来の防水性や気密性といった役割が果たせなくなります。
そこでマンション管理組合は、管理会社の協力を仰ぎながら、定期的にシーリング材の劣化状況をチェックして、劣化しているようならメンテナンスを行うようにしましょう。

1-2. マンション大規模修繕でシーリング工事を施工する箇所と実施する目的

シーリングの修繕は、基本的に大規模修繕工事のタイミングで行われます。
シーリング工事にあたっては、既存シーリングの劣化の進行具合に応じて主に以下のいずれかの方法で行われます。


シーリング材の修繕方法

・交換(打ち替え):既存のシーリング材を撤去して新たにシーリング材を充填する
・打ち増し:既存のシーリング材の上に新たにシーリング材を充填する

そこで、上記いずれかの方法でシーリング工事を行う際、施工する箇所は劣化状況や工事内容によって異なりますが、主に以下の箇所でシーリングの修繕が行われます。

シーリング工事の主な施工箇所

・壁コンクリートのつなぎ目
・タイルの目地
・コンクリートと玄関ドアの隙間
・コンクリートと窓サッシの隙間
など

基本的に、部材同士のつなぎ目や隙間に充填されている、シーリング材の修繕を行います。
このようなシーリングの修繕を行う一番の目的は、本来の機能である防水性と気密性を回復させることに尽きます。

外壁などで使われる部材は、それぞれ単体の部材を重ね合わせて一つの外壁にしているので、部材と部材の間にどうしても隙間が生じてしまいます。その隙間を埋めるためにシーリング材を充填していますが、劣化して本来の機能が果たせなくなってしまうと、当然のように雨風が侵入してしまいます。

また、地震や台風などで大きな揺れが生じたときも、コンクリートやタイルなどの部材の動きに対して、シーリング材が伸び縮みして緩和してくれる役割もありますが、劣化していればその役割も果たせなくなります。

このようにシーリングの修繕は、建物の防水性や気密性だけでなく、耐震性を高めるためにも重要な修繕工事の一つなのです。

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2. マンション大規模修繕で使われるシーリング材の種類と費用相場

マンション大規模修繕で使われるシーリング材の種類と費用相場

ここまで説明している通り、シーリングの修繕工事は、大規模修繕の中でも重要な工事の一つですが、実際にどんなシーリング材が使われているのか、分からない方がほとんどではないでしょうか?

そこでこの項では、マンション大規模修繕に限らず一般的に使われている、シーリング材の種類と特徴、合わせてシーリングの「交換」および「打ち増し」の概算の費用相場をご紹介します。

2-1. 5種類のシーリング材の特徴解説

一般的に、マンション大規模修繕工事などで使用されるシーリング材は「不定形シーリング材」になり、別に「弾性シーリング」とも呼ばれています。専門的には、高粘着性の不定形な材料の総称になり、充填する前はペースト状になっていますが、充填するとゴム状に硬化する特徴を持っています。

この不定形シーリング材には、主に以下の5種類のシーリング材があり、持ち合わせた特徴によって使い分けられています。

5種類のシーリング材の特徴

種類➀:アクリル系シーリング材
アクリル系のシーリング材は硬化すると弾性体になるため、湿気の多い場所でも使用できる特徴があります。
そのため、主に住宅などの新築時のALCパネル目地などで広く使用されます

種類➁:シリコーン系シーリング材
熱に強く耐久性が高い特徴があるため、一般的にガラス廻りや浴室などで使われます。
ただし、既存のシーリング材がシリコーン系なら、修繕工事もシリコーン系でしか施工できず、さらに、塗料との相性が悪いため上から塗ると塗料を弾いてしまいます。

種類➂:変性シリコーン系シーリング材
紫外線に強く耐久性が優れているとともに、汚れが付着しにくい特徴があるとともに、上記のシリコーン系とは違い、塗料を上から塗っても弾くことはありません。

種類➃:ウレタン系シーリング材
ウレタン系のシーリング材は耐久性が高く、硬化したあとはゴム弾力性もあることから、ひび割れや目地の補修などで広く使用されます。ただし、紫外線に弱くホコリを吸い込む特徴を持っているので、一般的に塗膜で覆って利用します。

種類➄:ポリサルファイド系シーリング材
ポリサルファイド系のシーリング材は耐久性が高いので、コンクリートの継ぎ目やタイルの目地などに使われます。
ただし、接着力が高い代わりに表面に汚れが付きやすい特徴があります。

以上、5種類のシーリング材の特徴を簡単に説明しましたが、修繕する箇所や目的に合わせてシーリング材が使い分けられています。

2-2. シーリング工事の一般的な施工単価

マンション大規模修繕で行われるシーリング工事は、先程もご紹介した通り「交換(打ち替え)」と「打ち増し」の2種類の工事があります。ただし、打ち増し工事は既存のシーリング材の劣化が進行していないときに、予防的な措置として行われる工事なので、基本は交換(打ち替え)工事が行われます。

参考までに、それぞれの施工単価をご紹介しておきます。なお以下の単価には、シーリングの代金も含まれています。

シーリング工事の施工単価

・シーリング打ち増し工事:600円~900円/m
・シーリング交換(打ち替え)工事:900円~1,200円/m

あくまで参考の施工単価になりますが、施工する距離が長くなれば工事費用も当然高くなります。

3. マンション大規模修繕に伴う「シーリング交換」の工事の流れ

マンション大規模修繕では上記でも説明した通り「打ち増し」ではなく「交換(打ち替え)」を行います。
そこでこの項では、シーリングの交換(打ち替え)工事の基本的な流れと、シーリング工事を行うときの注意ポイントをご紹介します。

3-1. シーリング交換(打ち替え)工事の流れ

シーリングの交換(打ち替え)を行うので、既存のシーリング材を撤去したあと、新たにシーリング材を充填する作業を行いますが、基本的な流れは以下のようになります。

3-1-1.既存シーリング材の撤去および清掃

硬化してひび割れなどが発生している、既存のシーリング材を剥がしていきます。

剥がし終わったらシーリング材のカスの取り除きや、汚れなどを綺麗に清掃しますが、新たにシーリング材を充填する部分に、油や汚れが付着しているとシーリング材が定着しないため、清掃作業は丁寧に行われます。

3-1-2.マスキングテープ貼り

新たにシーリング材を充填する際、使用する薬剤やシーリング材が周囲に付着しないようにするため、施工する箇所に剥がしやすいマスキングテープを貼って養生します。ガムテープは糊が残ってしまうので、一般的に剥がしやすいマスキングテープが使われています。

3-1-3.バックアップ材の取付け

清掃とマスキングテープでの養生が完了したら、シーリング材を充填する部分に、バックアップ材を取り付けていきます。
バックアップ材はポリエチレン発泡体になり、充填するシーリング材の3面接着を防ぐ目的で使われます。

シーリング材は2面接着が基本になっていますが、バックアップ材を使わないと、目地底と両横側面の3面接着になってしまいます。3面接着になってしまうと、コンクリートやタイルなどの部材の動きに対してシーリング材が伸び縮みして、緩和する機能が果たせなくなります。

そこで、シーリング材を充填する目地の底にバックアップ材を取り付けることで、3面接着が防げるようになるのです。その際、目地が浅いときは「ボンドブレーカー」と呼ばれる材料が使われます。

3-1-4.プライマーの塗布

バックアップ材の取付けが完了したら、新たに充填するシーリング材の接着性を高めるために、プライマーを均一に塗布していきます。プライマーとは、下地とシーリング材の密着性を高める接着剤のような塗料です。

プライマーの塗布は、目地横側面もムラなく均一に塗るようにします。

3-1-5.新規シーリング材の充填

専用のコーキングガンと呼ばれる器具を用いて、新たにシーリング材を充填していきます。

その際、コーキングガンに空気が入らないように注意するとともに、目地寸法に適したノズルを選定して、目地底からゆっくり充填する必要があり、担当する作業員の腕にかかってきます。

3-1-6.シーリング材をヘラで調整して養生を剥がせば完了

充填したシーリング材をヘラで圧着させ、密着性を高めるとともに余分なシーリング材を除去していきます。

そして最後に、養生として貼っていたマスキングテープを剥がせば施工は完了です。

このような流れでシーリングの交換(打ち替え)が行われますが、シーリング材を新たに充填する際は、かなりの施工スキルが必要になるため、できるだけシーリング専門の作業員に担当してもらう必要があります。

慣れていない作業員が担当すると施工精度が低くなることがあり、工事が完了したあとトラブルに発展する可能性があります。

3-2. シーリング工事を実施するときの注意点

シーリンク交換工事の一般的な工事の流れを紹介しましたが、注意するポイントが2つあります。

一つ目は、先程説明したシーリング工事を行う作業員のスキルです。
シーリング工事は見た目の派手さはないものの、作業員のスキル次第では失敗する可能性がある、意外に難しい工事になります。
そこでシーリング工事にあたってはコンサルタントの協力を仰ぎながら、担当する作業員の経験やスキルをチェックして、経験豊富な作業員に担当してもらうのが重要だといえます。

二つ目は、シーリング工事を行うときの「天候」です。
シーリング工事は一般的に、気温15~25℃・湿度80%未満で曇天・無風状態がベストな作業環境とされています。

もちろん、上記の条件に合致した日程など分かるはずもないですが、雨天や風が強いときに無理矢理シーリング工事を行ってしまうと、シーリング材本来の機能が発揮できない可能性があります。

そこで施工会社と事前に協議して、雨や強風が予測される日はシーリング工事を中止してもらうなど、申し合わせを行うようにしましょう。

4. まとめ

マンション大規模修繕では様々な工事が行われますが、その中で重要な工事の一つが、今回ご紹介した「シーリング工事」です。

シーリング工事は、外壁コンクリートのつなぎ目や窓サッシや玄関ドア周囲などの隙間に、シーリンク材を充填する工事になります。
ゴム状のシーリング材を、部材つなぎ目や隙間に充填することで、見た目が良くなるとともに、高い防水性と気密性が実現できます。

基本は、マンション大規模修繕のタイミングでシーリングの修繕工事を行いますが、大規模修繕のタイミング以外にも、シーリング材の劣化が進行しているときは、その都度補修する必要があります。

本文でも説明しましたが、シーリング材はおおむね5年を目安に劣化症状が表れてくるので、マンション管理組合の方は5年を目安に、シーリング材の劣化状況を確認するようにしましょう。

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