賃貸アパートで大規模修繕を実施する目的とメリットとは?実施時期や費用相場を解説

賃貸アパートで大規模修繕を実施する目的とメリットとは?

賃貸アパートで大規模修繕を実施する目的とメリットとは?

分譲マンションでは、建物の共用部分に生じた劣化や損傷を修繕する「大規模修繕工事」が周期的に行われています。
これは分譲マンションに限った話ではなく、賃貸アパートも建物に劣化や損傷は生じてくるので、共用部分の修繕は行わなければなりません。

賃貸アパートを経営するオーナー(所有者)の方の中には「賃貸物件でも大規模修繕が必要なのか?」と、疑問をお持ちの方もいるかと思いますが、共用部分の劣化や損傷に対してはオーナーの義務として、大規模修繕を行う必要があるのです。

そこでこの記事では、賃貸アパートで大規模修繕工事を実施する目的やメリットとともに、実施にあたっての周期や費用の目安をご紹介していきます。

このページの目次

1. 賃貸アパートで大規模修繕工事を実施する目的とメリット

賃貸アパートで大規模修繕工事を実施する目的とメリット

そもそも「大規模修繕」とは、月日の経過によって発生する建物の劣化や自然災害などによる、損傷を修繕するために行われる工事です。分譲マンションでは長期修繕計画の中に盛り込まれ、計画的に実施されています。

賃貸アパート・マンションも建物に劣化や損傷が当然生じてくるので、絶対に実施しなければならない訳ではありませんが、経営しているオーナーの義務として行う必要があります。

しかし「なぜ賃貸アパートでも大規模修繕が必要なのか?」と疑問がある方もいるかと思いますので、まずは賃貸アパートで大規模修繕工事を行う目的と、実施することで得られるメリットについてお話ししていきます。

1-1. 賃貸アパートで大規模修繕工事を行う3つの目的

まず「賃貸アパートで大規模修繕を行う目的が何なのか?」について、具体的に理解している方はいるでしょうか?

大規模修繕工事では基本的に、入居者が生活している専有部分を除いた「共用部分」に発生する劣化や損傷の修繕を行いますが、大きく以下の3つの目的で行われます。

1-1-1. 実施目的➀:建物の維持管理および入居者の安全確保

賃貸アパートのオーナーには当然、建物の共用部分に対しての維持管理責任が生じます。
アパートに限らずどんな建物も、月日の経過によって劣化が発生するほか、地震や台風などの影響で、外壁などに損傷が発生するケースもよくあります。

そのような劣化や損傷を放置していると、一般的な木造の賃貸アパートでは建物を支える木材にまで劣化が進み、建物の耐久性が低下するだけでなく、例えばタイルなどが落下した場合、入居者に危険がおよぶ可能性もあります。

そこで、周期的に大規模修繕を実施することで、建物の耐久性が回復するとともに入居者の安全確保にも繋がっていくのです。

1-1-2. 実施目的➁:建物の資産価値の維持向上

外壁のタイルなどに発生した劣化・損傷・建物内部の汚れや錆などの劣化を放置していれば、必然的に景観が損なわれ、資産価値の低下を招いてしまいます。

そこで、大規模修繕で発生した劣化や損傷などを修繕することで、建物の耐久性とともに美観も回復するので、資産価値の維持および向上に繋がっていくのです。

また築年数が長くなれば当然、新築アパートよりも機能的に劣る部分も表れてくるため、資産価値を高めるためには、現在の住環境の水準に合わせたバリューアップ工事の実施も求められます。

1-1-3. 実施目的➂:入居者の生活環境の向上

大規模修繕を実施する目的は、建物の耐久性および入居者の安全性の確保になりますが、上記で説明した資産価値を高めるためのバリューアップ工事を行うことで、建物の機能性が向上し、結果として、入居者の生活環境の向上にも繋がっていくのです。

バリューアップには様々な工事がありますが、例えば建物内部の各所に手すりを設置するほか、エレベーターのリフォームやエントランスを自動ドアに変更するなどの工事が該当します。

このようなバリューアップ工事を実施することで、資産価値が一層向上するとともに入居者の生活環境も確実に向上するでしょう。

賃貸アパートに限らず大規模修繕を実施する目的は、建物の耐久性の回復と安全性を確保することで、資産価値の向上が図れるとともに、入居者の生活環境を向上することにあります。

1-2. 賃貸アパートで大規模修繕を実施するメリット

賃貸アパートで大規模修繕を実施するメリットは、耐久性の回復と資産価値の向上ですが、入居率が低いアパートでは、入居率の向上も期待できます。

誰でも、汚れや損傷が目立つアパートには入居したくないと考えるものです。
つまり、大規模修繕で建物各所に発生した汚れや劣化・損傷を修繕することで、美観が回復すれば結果として、入居率の向上にも繋がっていくのです。

また築年数が古いマンションで、建物の機能性が向上するようなバリューアップ工事を合わせて実施すれば、さらに入居率の向上が期待できるようになります。

1-3. 入居者には事前に周知してトラブルを回避する

大規模修繕を実施するにあたって、工事期間中は騒音・振動・臭いが発生するため、アパートの入居者にとっては大きな負担になってしまいます。そのため、工事期間中は入居者からの苦情やクレームで、工事の進行が遅れるケースもあります。

もちろん大規模修繕などの予定が決まっているアパートでは、突然工事を始めるアパートは少ないと思いますが、仲介する不動産会社から入居の際に説明してもらうほか、工事を実施する際は、事前に入居者に工事予定をお知らせするなどの配慮が求められます。

また、工事期間中も施工業者に作業掲示板を設置してもらい、工事の日程や洗濯物が干せる日・干せない日などの情報を発信してもらうことで、工事期間中の苦情・クレームを減らすことができます。

賃貸アパートでも大規模修繕を行うことで、資産価値や入居率の向上が期待できますが、入居者に大きな負担をかけてしまいます。そこで工事を依頼する施工業者には常に最新の情報を発信してもらうなど、居住者に対して配慮してもらうよう、事前に申し合わせを行いましょう。

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2. 賃貸アパートの大規模修繕の実施時期および費用相場

賃貸アパートの大規模修繕の実施時期および費用相場

ここまで、賃貸アパートで大規模修繕工事を実施する目的やメリット・注意するポイントを説明しましたが「いつ大規模修繕を実施するのか?」「どれくらいの工事費用が必要なのか?」具体的な実施内容が分からない方もいるでしょう。

そこでこの項では、賃貸アパートで大規模修繕を行うときの実施周期と費用目安、合わせて工事費用が不足したときの対処法をご紹介します。

その前に、大規模修繕の工事費用に関して説明すると、分譲マンションでは居住者から支払われる「修繕積立金」から工事費用が支払われます。

一方の賃貸アパートの入居者は、毎月家賃とは別に「管理費」を支払っていますが、オーナーは、家賃と管理費を計画的に積み立てて大規模修繕に備える必要があります。ちなみに、管理費のことを「共益費」と呼んでいるアパートもありますが、考え方としては「管理費=共益費」になります。

また、最近は管理費および共益費がない賃貸アパートが多くなっています。
そのような物件は通常、家賃の中に管理費・共益費を含めることになりますが、いずれにしても家賃収入の中で計画的に積み立てておくことが求められます。

2-1. 賃貸アパートの大規模修繕は「12年周期」が目安

大規模修繕の実施周期について「12年周期」というのが一般的とされています。

分譲マンションの多くは、12年前後の周期で大規模修繕が行われています。
これは、築10年を超える外壁がタイル貼のマンションでは3年以内、正確には築13年までにタイルの剥落や落下防止のために、外壁タイルの打診調査が義務付けられているからです。

もちろん賃貸アパートも、築10年を超えれば外壁タイルの接着力が低下することで、浮きが発生しタイルが落下する危険があるほか、防水などの耐用年数がおおよそ10年前後なので、基本は12年を目安に大規模修繕を計画する必要があります。

2-2. 賃貸アパートの大規模修繕の費用相場

大規模修繕に伴う工事費用に関しては、建物の規模や築年数・工事範囲・内容・劣化状況などによって異なるため、建物劣化診断を実施したうえで、施工業者に見積もりを出してもらわない限り正確な数字は分かりません。

そこで目安となるのが、国土交通省が実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の中で公開されている「一戸当たり」の費用相場です。その実態調査の結果では、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションで実施する大規模修繕は「一戸当たり75万円~100万円:30.6%」が最も多い割合になっています。

しかし賃貸アパートは、マンションよりも建物の規模が小さくなるため、一般的な木造の賃貸アパートで実施する大規模修繕の費用は「一戸当たり30万円~60万円」が目安といわれています。

あくまでも目安ですが、例えば2階建て10戸の木造賃貸アパートでは「一戸当たり30万円~60万円 × 10戸 = 300万円~600万円」となり、単純計算で300万円~600万円の工事費用が必要になると想定されます。

また、以上は大規模修繕全体の費用目安になりますが、各工事の費用目安も参考にご紹介しておきます。

賃貸アパートの大規模修繕に伴う各工事の費用目安

工事内容費用目安
仮設工事(足場など)工事費全体の2割程度
外壁改修(塗装・タイル補修など)工事費全体の2割程度
防水工事3,000円~/㎡
塗装工事(鉄部)3,000円~15,000円/箇所
シーリング工事800円~/m

以上が各工事の目安になりますが、特に「仮設工事」と「外壁改修」に関わる費用の割合が大きく、それぞれ工事費全体の2割程度の費用が必要になります。単純に工事費が600万円の大規模修繕では「600万円 × 0.2 = 120万円」がそれぞれ必要になると想定されます。

もちろんあくまで目安なので、参考程度にご覧いただき工事の実施にあたっては、施工業者の見積もり内容はしっかり確認するようにしましょう。

2-3. 修繕費用が足りないときのローンなどの対処法

基本的に賃貸アパートでは、家賃や管理費・共益費を大規模修繕の費用として、計画的に積み立てておく必要がありますが、工事内容や劣化状況によっては工事費用が足りなくなる可能性があります。

そこで、大規模修繕に伴って工事費用が不足したときの対処法として最もメジャーなのが、金融機関・ローン会社などから融資を受けるという方法です。

分譲マンションでは、住宅金融支援機構が実施している「マンション共用部分リフォーム融資」が受けられますが、賃貸アパートは、金融機関・ローン会社などから融資を受けるのが、最も早くて確実な方法になります。

また大規模修繕の実施にあたって、助成金を実施している自治体があります。
助成金は条件に沿っていなければ受けられませんが、当該アパートを管轄している自治体で、大規模修繕に関わる助成金が実施されているときは、申請してみてはいかがでしょうか?

2-4. 大規模修繕を考慮した「長期修繕計画(修繕費の積立て計画)」の作成が重要!

分譲マンションでは、マンション管理組合が「長期修繕計画」を作成し、その中で定期的な修繕工事と12年前後の周期で大規模修繕工事が計画されます。

そこで賃貸アパートでも、定期的な修繕とともに大規模修繕工事を考慮した、長期修繕計画の作成が重要だといえます。
特に、大規模修繕工事の実施にあたっては大きな費用が必要になるので、計画的に修繕費を積み立てるためにも予算計画を含めた、修繕計画書の作成が求められます。

長期修繕計画の作成にあたっては、コンサルタント会社に作成サポートを依頼するほか、仲介を依頼している不動産会社に相談するなど、当該アパートに適した計画書を作成するようにしましょう。

3. 賃貸アパートの大規模修繕に関わる工事費用の会計処理について

賃貸アパートで大規模修繕を実施するときの工事費用に関して、会計上「資本的支出」もしくは「修繕費」のいずれかで計上しますが、一般的に12年周期で行われる大規模修繕は「資本的支出」で処理する必要があります。

それは、工事費用が100万円以上かかるとともに、アパート(固定資産)の耐用年数を延長したり、資産価値を増加させたりする工事を行うときは、資本的支出で処理しなければならないからです。

賃貸アパートでも、外壁改修などの大規模修繕を実施するときは、300万円~600万円程度の費用が必要になるほか、建物の耐久性や機能性の回復、資産価値の向上を目的とした工事になるため、税法上「修繕費」とは認められず「資本的支出」という扱いになるのです。

3-1. 資本的支出で処理すれば「減価償却」ができる!経費として税金対策が可能

ただし、大規模修繕に関わる費用を資本的支出で処理すれば「減価償却」が可能になります。

「減価償却」とは、月日の経過に伴う資産価値の減少を、経費として計上する会計上の仕組みになります。
具体的には、減価償却を行った減価償却費は、各年度の経費として売上から差し引くことができるため、結果として節税効果が期待できるのです。

マンションを含めた建物で減価償却費を計算するときは、基本的に「定額法」で計算しますが、ポイントになるのが「耐用年数」になり、一般的な木造の賃貸アパートの耐用年数は「22年」と定められています。

定額法での減価償却費の計算式は以下のようになります。

定額法の計算式

・建物の取得価額(大規模修繕の工事費用) × 定額法償却率 = 減価償却費

定額法償却率については国税庁が「減価償却資産の償却率表」が公開され、その中で木造アパートの耐用年数22年の定額法償却率は「0.046」と決められています。

例えば、大規模修繕の工事費が600万円だったときは「600万円 × 0.046 = 27万6千円」となりますが、この27万6千円を経費として売り上げから差し引くことができます。

3-2. 定期的な修繕工事は「修繕費」で処理する

大規模修繕に関わる工事費用を、資本的支出で処理したときの減価償却の計算式などご紹介しましたが、大規模修繕以外の定期的な修繕工事に関しては、修繕費として一括経費計上することをおすすめします。

それは上記でご紹介した通り、600万円の工事費に対して27万6千円しか経費として処理できないので、それほど大きな節税効果が期待できないからです。

そのため、定期的に行う部分的な修繕工事に関しては、法的に修繕費扱いになるよう工事費を抑えるなど、少しでも節税できるように工夫していきましょう。

4. まとめ

大規模修繕工事といえば分譲マンションで行われるイメージが強いですが、賃貸アパートでも共用部分の大規模修繕は、オーナーの義務として行う必要があります。

賃貸アパートで大規模修繕を実施する目的やメリットは分譲マンションと同じですが、工事費用に関しては、家賃や管理費をオーナーが計画的に積み立てておく必要があります。

賃貸アパートで大規模修繕を実施するにあたって、生活している入居者に負担をかけてしまうので、事前に工事予定をお知らせするほか、工事期間中も洗濯物などの情報を発信するなど、トラブルが発生しないような配慮は行いましょう。

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