タワーマンションでの大規模修繕のポイントは?工事の難易度が高い!

タワーマンションでの大規模修繕のポイントは?

タワーマンションでの大規模修繕のポイントは?工事の難易度が高い!

タワーマンション、いわゆる超高層マンションは全国に数多く建設されていますが、小中規模マンションと同じように、おおよそ12年周期で大規模修繕工事の実施が求められます。

しかし、タワーマンションでの大規模修繕工事は、小中規模マンションで実施する大規模修繕よりも難易度が非常に高い、と言われているのです。また、大規模修繕に伴って「タワマン・クライシス(タワーマンションの危機)」という言葉がメディアで紹介されています。

これからタワーマンションの購入を予定している方や既にお住まいの方は、報道などを見ると不安を感じるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、タワーマンションの大規模修繕工事について、工事の難易度が高い理由や、実施するときのポイントや注意点をお話ししていきます。

このページの目次

1. タワーマンションの大規模修繕は工事の難易度が高い!

タワーマンションの大規模修繕は工事の難易度が高い!

そもそも「タワーマンション」とは、高さが60m以上でおおよそ20階建以上の、いわゆる超高層マンションを指します。
少し曖昧ですが、何m何階からタワーマンションという定義はありません。

そのタワーマンションも、一般的なマンションやビルなどの建物と同じように、経年劣化は避けられません。
太陽の紫外線や季節の温度差、自然の雨風などの影響で、時間の経過とともに外壁を中心に劣化が進むほか、地震や台風などの災害によって建物に損傷が発生することもあります。

そこで、タワーマンションでも小中規模マンションと同様に「大規模修繕工事」を長期修繕計画の中に盛り込んでおく必要がありますが、タワーマンションの大規模修繕は非常に難易度が高いのです。

1-1. タワーマンションでの大規模修繕が難しい3つの理由

タワーマンションの大規模修繕工事は難易度が高いといっても、理由が分からない方が多いのではないでしょうか?
もちろんタワーマンションは高層なので、小中規模マンションよりも工事が難しそうに感じる方もいるかと思いますが、主に以下の3つの理由から、タワーマンションの大規模修繕が難しいと言われているのです。

1-1-1. 理由➀:タワマンは建物形状や内部構造が個性的で特殊

タワーマンションの特徴は何といっても建物の高さですが、その他にも建物の形状や内部のエントランスなどの構造が、オリジナリティに富んだ個性的なデザインが採用されている点も挙げられます。

そのためタワーマンションの大規模修繕は、ほぼオーダーメイドの修繕計画が求められるほか、施工業者も一般的な建設会社では対応できず、元施工の大手建設会社(ゼネコン)に工事を依頼するケースがほとんどです。

小中規模マンションでの大規模修繕工事の施工実績が豊富な施工業者でも、タワーマンションの工事実績は少なく、仮設計画を含めた修繕計画の立案が難しいと言われています。

1-1-2. 理由➁:高層になるほど工事の難易度は高くなる(足場の計画など)

タワーマンションの大規模修繕工事で最も大変なのが「足場」の計画および設置です。それは高層になれば高層になるほど、足場を含めた仮設計画の難易度が上がります。

小中規模マンションの大規模修繕は一般的に「枠組足場」と呼ばれる足場を設置しますが、30階以上のタワーマンションになれば、軒高が90mを超えるため枠組足場は設置できません。枠組足場は一般的に20階程度まで設置できますが、それ以上の階数になれば設置できないのです。

そこで、タワーマンションの大規模修繕工事では、主に以下の足場が採用されています。

タワーマンションの大規模修繕で設置される足場の種類

・ゴンドラ
・移動昇降式足場

ゴンドラは見たことがある方もいると思いますが、建物の屋上にゴンドラを設置して、吊り下げて作業を行う設備になります。
移動昇降足場は、地上から建物に沿って鉄製のレールを設置して足場を組み立てます。そして、工事の進行に合わせて文字通り足場を昇降させながら作業を行います。

タワーマンションでの大規模修繕では、上記2種類の足場が広く使われていますが、建物の形状が個性的なので、個々に足場計画を立てなければならないため、手間と時間がかかるのです。

1-1-3. 理由➂ 世帯数が多いため、一部拒否や辞退など合意形成が難しい

大規模修繕工事の実施にあたっては、当然生活している居住者の合意が必要になりますが、タワーマンションは小中規模マンションよりも世帯数が多いため、合意形成が難しいと言われています。

基本的に大規模修繕の実施にあたっては、居住者が普段の生活をしている中で工事が行われるので、工事中は様々な不便が生じるほか、莫大な工事費が必要になります。

さらにタワーマンションは、高層階と低層階で居住者の価値観に違いがあるとされ、特に低層階の一部の居住者から、工事の拒否や辞退をされるケースがあるのです。

マンションの管理組合および理事会の活動が活発なタワーマンションは、手間はかかるものの合意形成が得られやすいと言われていますが、そうでないタワーマンションでは、管理組合および理事会が時間をかけて工事に対して理解を深めてもらう必要があります。

以上のように、タワーマンションは高層になればなるほど、大規模修繕の難易度が高くなりますが、中でも「足場」の計画が特に難しいといわれています。

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2. タワーマンションの大規模修繕のポイント!工事費用がとても高い!

タワーマンションの大規模修繕のポイント!工事費用がとても高い!

ここまでタワーマンションの大規模修繕工事の難しさを説明しましたが、この項では実際にタワーマンションで大規模修繕を実施するときのポイントとして、実施周期や費用相場・工期についてお話ししていきます。

中でも見出しにある通り、タワーマンションの大規模修繕は工事費用がとても高いといわれています。

2-1. 一般的なマンション大規模修繕の実施時期および周期

マンション大規模修繕の実施時期に関して規定などは存在しませんが「12年周期」というのが一般的とされています。
もちろんタワーマンションも例外ではなく、基本は12年で、長期修繕計画の中で大規模修繕工事を計画しなければなりません。

12年というのはあくまで目安になりますが、国土交通省が推奨しているほか、多くの分譲・賃貸マンションを平均すると、12年前後の10年~15年の周期で大規模修繕が実施されています。

大規模修繕工事の実施時期、および周期については「マンション大規模修繕の時期とは?目安や周期サイクルを簡単解説」こちらで詳しく解説しているので、実施時期が気になる方は合わせてご覧ください。

2-2. タワーマンションの大規模修繕の工事費相場は?

タワーマンションで大規模修繕を実施するにあたって、最も気になるのが工事費用ですが、タワーマンションの工事費用は、一般的な小中規模マンションの大規模修繕よりも高くなります。

まず小中規模マンションの大規模修繕の費用目安を紹介すると、工事費用の目安として、国土交通省の実態調査では「一戸あたり75万円~100万円」が最も多いという、調査結果がでています。

しかしタワーマンションは先程から説明している通り、ほぼオーダーメイドの仮設計画を含めた修繕計画、および実施が必要になるため、一般的な小中規模マンションの大規模修繕の費用相場の、1.5倍~2倍程度の工事費が必要になると考えられています

つまり、一般的な大規模修繕の費用目安が「一戸あたり75万円~100万円」だとした場合、その1.5倍~2倍で単純に計算すれば、タワーマンションの大規模修繕は「一戸あたり112万円~200万円」程度の費用が必要になると想定されます。

あくまで「一戸あたり112万円~200万円」というのは想定範囲の金額になりますが、例えば、総戸数が600戸のタワーマンションで計算すれば『600戸 × 112万円~200万円 = 67,200万円~120,000万円』となり、単純計算で6億7千万円~12億円という現実味のない金額が算出されるのです。

当然、建物の劣化状況や工事範囲に工事費用は大きく異なりますが、タワーマンションの大規模修繕は「億単位」の工事費用が必要になると想定されます。

2-3. タワーマンションの大規模修繕は工期も長い!事例紹介

タワーマンションの大規模修繕は工事費が高いだけでなく「工期」が長いことでも有名です。

実例を挙げて紹介すると、55階建て高さ185m、埼玉県川口市に当時日本一の高さのマンションとして建設され、大きな話題となっていた「エルザタワー55」の大規模修繕の工期は、実に2年といいます。工事費も驚きの12億円だったそうです。

「何で大規模修繕に2年もの期間を費やしたのか?」と疑問を感じる方も少なくないと思いますが、単純に規模が大きいからです。

例に挙げた「エルザタワー55」では、1階~6階・7階~50階・51階~55階で、外観の形状が異なっていたため工区に分けられ、1階~6階は「枠組み足場」、7階~50階は「移動昇降足場(リフトクライマー)」、51階~55階は「ゴンドラ」というように仮設計画が異なっていたそうです。

このような足場の計画および設置に相当な時間を費やすため、工事が完了するまでに2年かかったといわれています。
これは「エルザタワー55」での話ですが、ほかのタワーマンションも同様にエリアによって工区に分けられ、工法を変えながら工事が行われるため、結果として一般的なマンション大規模修繕よりも工期が長くなるのです。

2-4. 工事にあたっては様々な工夫が必要

ご紹介している通り、タワーマンションの大規模修繕は足場など、特殊な修繕計画が求められるため、工事費が高く工期も長くなります。そのため、タワーマンションでの大規模修繕では様々な工夫が必要になるのです。

一般的な小中規模マンションよりも規模が格段に大きくなるため、以下のポイントについて綿密な対策が求められます。

タワーマンションで求められる様々な工夫

・総合仮設計画(工区分け・仮設設備の配置など)
・安全対策(敷地内外の養生など)
・防犯対策
・飛散・落下対策 など

タワーマンションは軒高が高く世帯数も多くたるため、一般的な小中規模マンションよりも気を付けて工事を進めなければなりません。その点は工事を請け負った施工業者としっかり協議する必要があります。

3. タワーマンションでの大規模修繕の問題点!修繕積立金が不足するケースが多い!

タワーマンションでの大規模修繕の問題点!修繕積立金が不足するケースが多い!

タワーマンションに限らず一般的に大規模修繕の工事費用は、居住者が毎月支払っている「修繕積立金」から支払われます。

そこで、タワーマンションについて「タワマン・クライシス(タワーマンションの危機)」という言葉がメディアで度々紹介されていますが、大きな原因となっているのが、大規模修繕工事に伴う「修繕積立金の不足」にあります。

大規模修繕は、マンションの規模が大きくなれば大きくなるほど工事費用も当然大きくなります。
それがタワーマンションともなれば、先程も説明した通り「億単位」の工事費用が必要になると想定されるため、万一修繕積立金の不足が生じてしまうと、一般的なマンションよりも問題は一層深刻なものになってしまいます。

3-1. タワーマンションで修繕積立金が不足する理由!適正額を把握していない

タワーマンションで修繕積立金が不足する理由としてまず挙げられるのが、販売促進を目的に修繕積立金を低く設定していることです。実は、修繕積立金の不足はタワーマンションに限った話ではなく、全国のマンションで大きな問題になっています。

基本的に修繕積立金は、戸数が多くなれば積み立てられる額も大きくなるのは当然で、戸数の多いタワーマンションでは、莫大な金額が毎月積み立てられます。

つまり、適切額の修繕積立金を設定して毎月積み立てていれば、億単位の工事費が必要になるタワーマンションの大規模修繕でも、修繕積立金が不足することはないのです。

では「タワーマンションの修繕積立金の適正額は幾らなのか?」となりますが、国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」の中では、タワーマンションの修繕積立金の平均は「1万2,305円/月」となっています。
(参照:平成30年度マンション総合調査結果
あくまで平均額ですが、各タワーマンションでも世帯数などを考慮したうえで、適正な金額に設定されているのか見直しを図る必要があります。

修繕積立金の目安や計算方法などは「大規模修繕の修繕積立金とは?積立方式や積立金の目安・相場を解説」こちらで詳しく説明しているので、修繕積立金の見直しなど検討される際は参考にご覧ください。

3-2. 将来的な値上げや一時金徴収を実施するケースが多い!

タワーマンションだけでなく、販売促進を目的に修繕積立金を適正額よりも安く設定しているマンションは、将来的に実施する大規模修繕を想定して、段階的に値上げされるケースが多くあります。

修繕積立金を適正額よりも安く設定していれば、大規模修繕のときに不足するのは当然ですが、タワーマンションはより深刻な問題に発展してしまいます。そこで、段階的に修繕積立金の値上げが実施されるほか、工事の実施にあたって一時金が徴収されるケースもあります。

これからタワーマンションの購入を検討される方は重要事項説明を受ける際、将来的な大規模修繕の実施時期や修繕積立金の値上げの有無を確認し、不明な点は的確な回答を得るようにしましょう。

4. まとめ

今回は、タワーマンションの大規模修繕工事についてお話ししてきましたが、タワーマンションでの大規模修繕工事の特徴として、工事費用が高いうえに工期が長いことが挙げられます。

タワーマンションは高層になればなるほど、大規模修繕の難易度が高くなり、特に「足場計画」が難しいとされています。
工事の実施にあたっては、小中規模マンションでの大規模修繕と比べると、様々な工夫が必要になるため、工事を請け負った施工業者と密に協議を重ねなければなりません。

また、タワーマンションで大規模修繕を実施する場合、億単位の工事費用が必要になるので、修繕積立金の見直しや工事範囲の設定については、コンサルタントなどの専門家の助言を仰ぎながら的確に行いましょう。

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