近隣住人との間でよくあるトラブルとその対策法
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.5】
マンション大規模修繕には苦情やクレームといったトラブルはつきものですが、入居者だけとは限りません。
マンションに隣接する住宅にお住いの方からも苦情やクレームがくることがあります。
騒音や振動、臭いなど居住者が不快に感じるものは、当然近隣住人も不快に感じます。
特に都市部になれば隣接する建物との距離が近くなるため、苦情やクレームといったトラブルが比較的多く発生しています。
そんな近隣住人とのトラブルが発生しないために、どんな対策を行えばいいのか?
工事前には施工会社が挨拶に伺いますが、工事中はもちろん工事後まで苦情・クレームがくることも稀にあるのです。
ということで今回は、大規模修繕で近隣住人との間でよくあるトラブルと、トラブルを発生させないための対策法などご紹介します。
このページの目次
1.大規模修繕でよくある近隣トラブル!
マンション大規模修繕は一般的に12年周期で実施され、主に建物に生じた劣化や損傷、不具合を修繕・改修する工事です。
その大規模修繕の工事期間中は、騒音、振動、臭い、ホコリが発生します。
工事を依頼された施工会社でそれぞれを防ぐ対策は施されますが、工事を行ううえで完全になくなることはありません。
それはマンションの入居者だけでなく近隣に住んでいる方も感じることなので、騒音や臭いなどの程度によっては苦情やクレームをいってくるケースが多々あるのです。
そこで、実際に近隣住人からどんな苦情やクレームが発生するのかご紹介しておきます。
大規模修繕で近隣住人からくるよくある苦情・クレーム
- 音がうるさい(眠れない、仕事に集中できないなど)
- 振動でストレスが溜まる
- 臭いが酷くて窓が開けられない
- 洗濯物が汚れた(塗料やホコリなど)
- 車に塗料が付着した(バイクや自転車)
- 建物にヒビが入った(外壁や内装)
- 水道の出が悪くなった(水が濁るなど)
- 部屋の中を覗かれた(プライバシーの侵害)
よくある苦情やクレームをまとめてみましたが、中でも特に多いのはやはり「音がうるさい」です。
誰もが昼間外で働いている訳ではなく、夜間仕事をしている方や在宅で仕事をしている方は当然います。
また、マンション駐車場が工事範囲に入っている場合、アスファルト舗装の撤去などで大きな重機が使われるので、騒音とともに振動が発生します。それに伴って精神的にストレスを感じる方からの苦情や、建物や給排水管にひび割れなどが発生してしまうケースもあります。
それ以外にも、外壁の塗装工事では塗料やシンナーの臭いが発生するのはもちろんですが、塗料が飛散して洗濯物や車などに付着するほか、工事中は何かとホコリが舞うので、洗濯物が干せない・汚れたといったクレームも比較的多いです。
以上のように、マンション大規模修繕では入居者だけでなく、近隣住人からの苦情・クレームは思っているよりも多いので、トラブルを極力防ぐための対策が必要になります。その対策法については事項にて。
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2.近隣住人との間でトラブルが発生しないようにする対策とは?
大規模修繕の工事期間中は、騒音、振動、臭い、ホコリはどうしても発生してしまいます。
そこで、近隣住人からの苦情やクレームを防ぐためにはどうしたらいいのか?
その一番の対策法は、施工会社だけでなくマンション側も協力して近隣とのコミュニケーションを図ることです。
2-1.工事前に近隣住人とのトラブルを防ぐために実施すること
大規模修繕の工事前には、一般的に施工会社が近隣住宅1軒ずつ手土産を持って近隣挨拶を実施します。向こう3軒両隣だけでなく、マンションが建っている区画周辺とその区画の自治会長にも挨拶に伺います。
その際すべて施工会社に任せるのではなく、どの範囲に対して近隣挨拶を行うのか確認する必要があります。
例えば、このお宅は日頃からクレームを言ってくるので注意して下さいなど、知っている情報を施工会社に伝えることも重要です。
2-2.工事中に近隣住人とのトラブルを防ぐためのポイント
そして、工事が着工してからも騒音・振動などが発生する工事を行うときは、事前に挨拶文を配布して注意喚起を促すとともに、万一苦情やクレームがきたときも真摯に対応する必要があります。
苦情・クレームに関しては、基本的に施工会社の現場事務所に連絡するように挨拶文には明記されますが、もしマンションの管理組合などに連絡が入ったときも「関係ない」といった態度は取らないにしましょう。
以上のように、大規模修繕に実施するにあたり、近隣住人との対応は基本的に施工会社で行います。そこで、マンション側も「関係ない」ではなく一緒になって近隣住人とコミュニケーションを取ることが大切です。
また、工事中に近隣住宅の家屋や車、衣類などに破損や汚れといったトラブルが発生することがあります。
その際は、施工会社が賠償責任保険に加入していれば被害に対して保険が適用されるので、施工会社と契約するときは保険加入の有無も確認しておきましょう。
それに合わせて、施工会社を選定するときは施工実績などを確認するとともに、できるだけ色々な面で気配りができる現場責任者に担当してもらうことも重要です。
3.まとめ
マンション大規模修繕のトラブルは、居住者だけでなく近隣住人とのトラブルも発生します。
工事中に発生する騒音、振動、臭い、ホコリは、当然隣接する住宅に住んでいる人も感じることなので、トラブルを極力押さえるための対策が必要になります。
それは本文中でも説明した通り、「施工会社だけでなくマンション側も協力して近隣とのコミュニケーションを図る」ことです。
基本は施工会社が近隣対応を実施しますが、マンション側も関係ないではなく一緒になって近隣住人とコミュニケーションを取ることでトラブルが極力防げるのではないでしょうか。