工事中に「震災」が発生したときに想定されることとは?
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.33】
2011年3月11日に発生した東日本大震災を鮮明に覚えている方は多いのではないでしょうか。
多くの家屋が津波によって倒壊し、今も仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされている方は多いといいます。
それ以降も日本各地で大地震が発生する度に壊滅的な被害を受けている状況のなかで、いつ自分が被害者の立場になってもおかしくありません。
そこで、万一マンションで大規模修繕工事をしている中で震災が発生したらどんな被害を受けてしまうのか?
ということを、これから大規模修繕を計画しているマンションである程度被害を想定しておいた方が、万一の事態のときに慌てずに対応できるようになるのではないでしょうか。
ここからは、大規模修繕の工事中に震災が発生したときに想定される被害と、震災に対する備えについてお話してきます。
このページの目次
1.大規模修繕工事中に震災が発生したとき想定される被害
日本の観測史上最大規模だった「東日本大震災」の地震の規模はマグニチュード 9.0で、宮城県では最大震度7が観測されています。それ以降も、熊本地震で最大震度7が2日連続で発生するなど、年々地震の規模が大きくなっていると感じます。
また、今世の中で一番懸念されているのが、「南海トラフ巨大地震」です。
政府の見解では東日本大震災以上の被害が予想されており、今後の脅威になっています。
1-1.大規模修繕の工事中に震災が発生したときに想定される被害
もしマンションで大規模修繕工事をしているときに震災が発生したらどんな被害があるのか?
工事をしていなくても重要なポイントではないでしょうか。
現在のマンションなどの建物は「新耐震基準」で建設されているので、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準は有しています。
そこで、万一震度6~7程度の地震が発生したとき、マンション自体が倒壊することはないにしても、建物全体に大ダメージを受けてしまうでしょう。大規模修繕工事をしているマンションでは、元々もあったひび割れに加えて震災によるひび割れが発生する可能性があります。
建物内部では、各家庭で家具家電が散乱するとともに、電気、上下水道、ガス、インターネットなどのライフラインが使えなくなるほか、エレベーターや機械式駐車場も使えなくなることが想定されます。このようなことから、マンション周辺の地震の規模によりますが、震度が大きいエリアのマンションではしばらくの間工事を中止することになるでしょう。
その後、すぐに再開できるのか?といえばそうではありません。
その大きな理由は、作業員が不足するからです。
震災が一度発生すれば多くの建物が倒壊、損壊するため、施工会社の多くは被害の大きい被災地の復旧工事を優先して作業員を派遣します。その結果、大規模修繕にまで手が回らなくなるのです。
しばらくしてから大規模修繕が再開できるようになったときは、「建物診断」を実施して損傷している箇所を調査する必要があります。そして、計画段階で実施していた建物診断の結果を照らし合わせれば、震災で発生した損傷が明確になります。
震災で発生した損傷も合わせて修繕することになるので、施工会社に再度見積もりを依頼するとともに、自治体に災害復旧費に関して問い合わせてみましょう。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.マンションでできる震災への備えとは?
地震はいつ発生するのか予想できないので、地震によって発生する被害の全てを防ぐのは不可能です。
そこで、マンションの管理組合が中心になって防災グッズの準備などの備えをしておくことが大切です。マンション内にも地域のハザードマップ(避難場所)を各フロアに掲示することも忘れてはいけません。
また、年に1回はマンション内で避難訓練を実施して、万一の事態が発生したときでも冷静に対応できるような体制作りも必要不可欠です。
ここでは、マンションで用意しておきたい基本的な防災グッズをご紹介します。
マンションで準備しておきたい防災グッズ
・飲料水(一人1日2~3リットルが目安)
・非常食
・災害用救急箱
・担架
・簡易式トイレ
・懐中電灯(電池)
・手巻き充電式ラジオ
・拡声器
・ヘルメット
・工具類(スコップ、カッター、ドライバーなど)
・防塵マスク、革手袋、軍手
・日用品(ビニル袋、ガムテープなど) など
あくまで参考なので、地域環境を考えながら役立ちそうな防災グッズを準備しておきましょう。 また、各家庭でも防災グッズの用意を促すなど、いつ地震などの災害が発生してもいいような備えは心掛けておきましょう。
3.まとめ
日本は地震大国と呼ばれる通り、数年の間隔で大きな震災が発生しています。
そんな震災がマンションの大規模修繕の工事中に発生したら、建物に大きなダメージを受けるとともに、一時工事を中断することになります。もちろん地震の規模や被害状況で異なりますが、継続するのは困難になるでしょう。
また、大規模修繕に関係なく、マンションでは防災グッズを準備していざというときのために備えておきましょう。