信頼できる管理会社とは?大規模修繕のときの付き合い方
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.28】
ほとんどのマンションでは日常の管理業務を管理会社に委託しています。
そこで、現在パートナーとして契約している管理会社の仕事の質はチェックしているでしょうか?
管理会社や派遣されている管理員(管理人)の業務内容をチェックして理想と異なるときや、業務内容に比較して管理委託費が高いと感じるときは管理会社に改善を求めなければなりません。
また、近年では管理会社の管理業務だけでなく、大規模修繕工事にも何かしらの業務提携を提案してくるケースがあります。
そんなとき、マンション管理組合はどう管理会社に対応すればいいのか分からないという方もいます。
ということでこの記事では、信頼できる管理会社のチェックポイントと大規模修繕のときの付き合い方についてお話していきます。
このページの目次
1.信頼できるマンション管理会社のチェックポイント
多くのマンションは管理業務を管理会社に委託しますが、そもそもマンションの管理業務が何を指すのか理解しているでしょうか? それは、国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」に明記されており、大きく以下の4つの業務を指します。
マンションの管理業務
業務名 | 業務内容 |
---|---|
管理員業務 | 管理会社から管理員が派遣されます。 受付や設備点検の立ち合い、管理組合と管理会社の調整役の役割も果たします。 |
事務管理業務 | 管理組合の予算案および決算書の作成や会計収支の出納のほか、管理費・修繕積立金の滞納者への催促業務や理事官の支援なども行います。 |
清掃業務 | 主に共用部分のエントランスや廊下、階段の清掃を行います。日常清掃のほかにも蓄積した汚れを除去する定期清掃や金物部分の汚れを除去する特別清掃も行います。 |
建物・設備管理業務 | 建物の点検、検査全般を行います。 エレベーターや機械式駐車場、電気・給排水設備の点検・保守を主に行います。 |
1-1.信頼できる管理会社かをチェックする!
管理会社で上記の管理業務を日々的確に行ってくれれば、居住者は快適な生活を続けることができます。
というのが理想ですが、信頼できる管理会社かどうかを見極めるためには以下のポイントをチェックする必要があります。
信頼できる管理会社のチェックポイント
チェックポイント➀ 法令を遵守しているか
チェックポイント➁ 管理委託契約書が的確に作成されているか
チェックポイント➂ 重要事項説明書の内容
1-1-1.チェックポイント➀ 法令を遵守しているか
まず確認すべきポイントは「マンション管理適正化法」に基づいて管理業務を行っているかです。
管理会社が法令に違反したときは、国土交通省から指示処分、業務停止処分、登録取消処分の3段階の処分が下されます。
このような処分の履歴は「行政処分履歴」に明記されているので、管理会社と契約する際は確認することをおすすめします。
また、マンション管理適正化法だけでなく、建築基準法や消防法などに則って法定点検の実施状況も合わせて確認する必要があります。定められて期日通りに点検を行うのはもちろん、管理会社が年間実施表を作成したうえで、理事会や定期総会で報告をしているかも確認します。
1-1-2.チェックポイント➁ 管理委託契約書が的確に作成されているか
次に、マンションと管理会社の間で交わす「管理委託契約書」の内容と、その契約書に書かれている通りの管理業務を実施しているかを確認する必要があります。その際、契約書も国土交通省が定め「マンション標準管理契約書」の内容が過不足なく明記されているかどうか以下のチェックポイントで確認します。
管理委託契約書のチェックポイント
□管理事務の具体的内容と管理業務の実施方法(清掃、点検などの仕様)が明記されているか
□管理委託契約の対象項目が明記されているか
□善良な管理者としての注意義務が定められているか
□毎月の管理委託業務費とその内訳が明確に記されているか
□管理業務主任者による管理業務の報告義務と方法が明記されているか
□管理組合に代わって居住者の迷惑行為に対して改善要求を行うようになっているか
□管理業務を行う必要があるとき、専有部分などへの立ち入り請求について定められているか
□災害・事故などの緊急時の対応策が明確になっているか
□管理会社の守秘義務が定められているか
□管理会社の使用者責任について定められているか
□契約解除の申し入れについて定めがあるか
□契約解除についての条件などが明記されているか
□契約の自動更新条項は削除されているか
□契約期間が明記されているか
以上はいずれも契約書に明記されるべき項目なので、入っていないものがあれば管理会社に改善を求める必要があります。
1-1-3.チェックポイント➂ 重要事項説明書の内容
重要事項説明書に書かれる内容は管理会社の体制が表れてきます。
管理会社は全ての管理業務に関して頻度や作業人数などを詳細に記載した「重要事項説明書」を居住者に配布して直接説明しなければなりません。
長期修繕計画案や外部委託(再委託)、契約更新などについて詳しく記載されているかをチェックします。
その中で「管理事務の内容」、「契約期間」、「長期修繕計画の費用負担」などについて、管理会社の都合に合わせた内容になっていないか入念にチェックする必要があります。
以上の3つのポイントをチェックしていきますが、より正確にチェックしたいときは専門のコンサルタント会社に依頼することをおすすめします。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.大規模修繕のときの管理会社との付き合い方
マンションの管理業務を管理会社に委託した場合、4種類の管理業務を行います。
その業務内容はあくまで「日常の保守・管理業務」になります。
そこで、施工部門を持っている一部の管理会社によっては大規模修繕工事にも何かしらの業務提携を提案してくるケースはありますが、大規模修繕工事は日常の保守・管理業務とは別なものなので管理委託契約の範囲外になります。
当該マンションの管理会社であれば建物の状態を把握しているので施工を任せても問題ないよう感じますが、工事施工に関しての技術面や工事費用に不透明な部分が多いので不安があるのは事実です。
そこで、大規模修繕のときの管理会社との最善の付き合い方は、管理会社はあくまで管理業務に従事してもらい、派遣されている管理員の方にマンション側と施工会社側の連絡調整役をお願いするのが得策ではないでしょうか。
もちろん、マンションによって考え方は違いますので、管理会社に大規模修繕の施工まで依頼するのも一つの方法かと思いますが、やはり施工会社は別に契約するのがベストだと感じます。
3.まとめ
今回は信頼できる管理会社のチェックポイントと大規模修繕のときの付き合い方をご紹介しました。
マンションの管理業務を管理会社に委託すれば4種類の管理業務を行ってくれますが、信頼できる管理会社かどうかは➀法令を遵守しているか、➁管理委託契約書が的確に作成されているか、➂重要事項説明書の内容、この3つのポイントをチェックする必要があります。
また、施工部門を持っている管理会社から大規模修繕の施工に関する提案があるケースがあり、管理組合も対応に困ることがあります。そんなときの最善の付き合い方は、管理会社にはあくまでマンション内の日常保守・管理業務に徹してもらうことです。