サッシ交換は3回目以降の大規模修繕で実施!一般的な工法と費用を解説!

サッシ交換は3回目以降の大規模修繕で実施を検討!

サッシ交換は3回目以降の大規模修繕で実施を検討!

【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.21】

マンションの大規模修繕は一般的に12年周期で実施されますが、3回目の大規模修繕のときに各部屋のサッシ交換が必要なります。

3回目ともなれば建物も36年が経過し全体の修繕がするようになりますが、サッシの耐用年数は30~45年と言われているので、3回目の大規模修繕でサッシの交換も計画に入れる必要があるのです。そのサッシ交換は一般的に「カバー工法」と呼ばれる工法が使われています。

最近のサッシは気密性や断熱性、遮音性などの性能が36年前のサッシと比較すれば性能が大幅に向上しています。 交換することでマンション性能が向上するので、資産価値の維持・向上を図れるのです。

ここからは、大規模修繕でサッシの交換するときのカバー工法のメリットや手順、合わせてサッシ交換に伴う費用相場などご紹介していきます。

このページの目次

1.各部屋のサッシは「個人利用が認められた共用部分」勝手に交換できない!

各部屋のサッシは「個人利用が認められた共用部分」勝手に交換できない!

各部屋のサッシや窓ガラスは専有部分なので、自由に交換できると考えている方もいるのではないでしょうか?

マンションは共用部分と専有部分で構成されています。
簡単に居住者が購入した「住戸部分」が専有部分になり、それ以外はすべて共用部分と考えておきましょう。

そこで、サッシや窓ガラスは専有部分に取り付けられているので専有のものとして考えられがちですが、実は見出しにもある通り「個人利用が認められた共用部分」なのです。他にも、玄関ドアやバルコニー及びルーフバルコニー、専用庭といった部分も個人利用が認められた共用部分になります。

この個人利用が認められた共用部分に関しては、基本的に勝手に交換などはできません。
詳しくはマンションの管理規定に定められていますが、知らずにサッシを勝手に交換した場合、マンションの管理規約によって原状回復が求められる可能性があります。

しかし、窓ガラスが割れたときは個人負担になるケースが多いので、一度マンションの管理規約を確認してみることをおすすめします。

1-1.大規模修繕でのサッシ工事の理想的な修繕周期

マンションの各家庭に取り付けられたサッシは共用部分にあたるので、大規模修繕工事のタイミングでサッシの修繕も行われます。
では「サッシの修繕はいつ行うのか?」について、建物に設置されているサッシの耐久年数は付属金物が20年~30年程度、サッシ本体が30~45年程度と言われています。
基本的にサッシは他の部材と比べると、丈夫に作られているので劣化の進行は遅いですが、設置してから20年以上が経過すれば、サッシの付属金物が摩耗して建付けが悪くなってきます。
そこで、一般的な12年周期で大規模修繕を実施しているマンションでの、サッシの理想的な修繕周期は以下の通りになります。

大規模修繕でのサッシの理想的な修繕周期

  • ・2回目(24年)の大規模修繕:サッシの付属金物(丁番・サッシ戸車・クレセント・ビードなど)の取替え
  • ・3日目(36年)の大規模修繕:サッシ本体の交換

修繕周期はマンションの立地環境などによって異なりますが、上記の修繕周期が物理上理想的な流れになります。

1-2.大規模修繕でサッシを改修および交換するメリットとは?

築年数が30年以上経過している高経年マンションでは、まだスチール製サッシや初期のアルミサッシが設置されているマンションが多くあります。

スチール製サッシや初期のアルミサッシが設置されているからといって、生活上問題が発生するワケではありませんが、劣化に伴って3回目の大規模修繕のタイミングでサッシを交換することで、格段に生活環境が向上します。

それは、近年のサッシは機能面が優れているからです。 スチール製サッシや初期のアルミサッシと比べると、最新のサッシは気密性や遮音性が優れているので、交換することで生活環境が大幅に向上するほか、断熱性能も格段に優れているので、冷暖房費の節約にも繋がっていくのです。

古いサッシから最新のサッシに交換することで、機能面と経済面の両方の向上が期待できますが、付属金物やサッシを交換するとなれば大規模修繕工事のコストも当然高くなるため、長期修繕計画の中で、予算不足にならないような計画を立てておくことが重要になります。

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2.サッシ交換の「カバー工法」とは?メリットや手順を簡単解説

サッシ交換の「カバー工法」とは?メリットや手順を簡単解説

大規模修繕で全戸のサッシを交換するとなると、相当な時間がかかりそうなイメージを持たれる方も少なくないでしょう。
そこで、一般的に利用される工法が「カバー工法」です。

カバー工法とは、既存のサッシ枠を残してその上から新しいサッシ枠を取り付ける工法です。
カバー工法以外でサッシの交換を行う場合、周囲の壁をハツリながら既存のサッシ枠を撤去して、新しいサッシ枠を設置したら壁や内装を補修しなければなりませんでした。

それがカバー工法なら既存のサッシ枠をそのまま利用するため、壁や内装の工事が一切不要になります。
それ以外にもカバー工法には以下のようなメリットがあります。

サッシ交換の「カバー工法」のメリット

  • ・施工時間が早い(一戸あたり1~2時間)
  • ・騒音や振動、ホコリが発生しない
  • ・作業員が少人数で済む

中でも施工時間が早いのがカバー工法の一番のメリットになり、大規模修繕などでは1日3~5軒のサッシ交換ができるようになります。

このように便利な工法ですが、既存のサッシ枠よりも若干狭くなるというデメリットが1点あります。
カバー工法は既存のサッシ枠の上から新しいサッシ枠を被せて設置するため、被せた分の厚みだけ枠の寸法が狭くなってしまいます。ただし、狭くなるといっても数センチなので、それほど気にならないといいます。

サッシ交換の施工にあたっては、施工会社から事前に各家庭の工事予定日のお知らせがあるので、都合が悪いときは申し出れば別の日に調整してもらえます。

2-1.サッシ交換のカバー工法の手順

実際にカバー工法でサッシ交換をするときは以下の手順で行われます。

カバー工法の手順

  • 手順1:サッシ回りの外壁や内装に傷が入らないように養生を施します。
  • 手順2:既存の窓ガラスが入った障子を撤去して、ベランダなどに仮置きします。
  • 手順3:補強用の下地材を取り付ける
  • 手順4:新しいサッシ枠と額縁を取り付けます。
  • 手順5:ペアガラスをはめ込んだ障子をサッシ枠に建て込んで調整を行います。
  • 手順6:外部と内部の壁と新しいサッシ枠の間のシーリング処理を行います。
  • 手順7:最後に網戸を建て込んだらサッシ交換は完了です。

このように、既存の障子を撤去して、新しいサッシ枠、額縁、障子を建て込むだけなので、作業員2人で早ければ1時間程度で終わらせることもできます。

サッシ交換は時間がかかって作業も大変そうだと思っていた方も少なくないと思いますが、「そんなに簡単なのか!」と少し拍子抜けしたのではないでしょうか。ただし、自分の部屋のサッシ交換するときは基本的に立ち合いが必要になるので、事前に施工会社に確認しておきましょう。

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3.サッシを交換するときの理想的な選び方と費用相場

サッシを交換するときの理想的な選び方と費用相場

ここまでサッシの修繕周期や交換するメリット・工法など説明してきましたが、交換するにあたって費用はどのくらいで、どのようなサッシを設置すべきかという疑問が発生してきます。
そこでこの項では、サッシを交換時の理想的なサッシの選び方と、一般的なサッシ交換の費用相場をご紹介します。

3-1.サッシを交換するときの理想的なサッシの選び方

サッシの種類は使用されている素材によって、大きく「木製」「アルミ製」「樹脂製」「複合製」の4種類に分かれます。
それぞれの素材のサッシによって機能面が異なるので、選ぶときはそれぞれの特徴を考慮したうえで選ぶことが重要になります。ここでは、4種類のサッシの性能を簡単にご紹介します。

3-1-1.木製サッシ:一戸建て住宅向け

木製サッシの特徴は何といってもデザイン性の高さにあり、どんな空間にも馴染みます。
最近は、耐久性を高めるためにしっかり乾燥させた木材を使用するなど、様々な工夫がなされていますが、マンションでは木製サッシはほとんど使われません。

3-1-2.アルミ製サッシ:軽量かつ耐候性・耐久性が優れている

アルミ製サッシの特徴は、軽量なのに耐候性や耐久性が高いことで知られています。
最もポピュラーに、サッシとして多くのマンションで使われていますが、アルミ製サッシは金属でできているため、熱伝導率が高く、断熱性がほかのサッシよりも劣ります。

3-1-3.樹脂製サッシ:断熱性・気密性(遮音)が優れている

樹脂製サッシは、断熱性と気密性に優れているといわれています。
上記のアルミ製サッシと比べると、熱伝導率が約1000分の1と、断熱性が優れているので冷暖房費の節約に繋がるほか、気密性に優れているので遮音にも効果があります。

3-1-4.アルミ樹脂複合サッシ(アルミ+樹脂):様々な機能を併せ持っている

アルミ樹脂複合サッシは文字通り、外側がアルミ・内側が樹脂でできた、複合型のサッシになります。
室外側は耐候性と耐久性の高いアルミ製、室内側は断熱性と遮音性の高い樹脂製を複合しているので、まさに様々な機能を持ち合わせた優れたサッシといえます。しかし、設置コストは4種類のサッシの中では一番高くなります。

以上のように、サッシと一言でいっても使われる素材によって様々な種類があります。
最もおすすめなのは、アルミ樹脂複合サッシですが交換する際のコストが高くなるため、費用と機能面を考慮したうえで、マンションに最も理想的なサッシを選ぶようにしましょう。

4.大規模修繕でサッシ交換を実施する際の注意点

大規模修繕でサッシ交換を実施する際の注意点

3回目(築36年)の大規模修繕に合わせてサッシの交換を実施する際の注意点は費用不足と居住者の合意形成の難しさです。窓のサッシは「個人利用が認められた共用部分」なので、マンション居住者の過半数の賛成が必要になります。

そこで、窓数の多いマンションのサッシ交換は、コストも必然的に高くなるため、現状のサッシで補修を望む居住者が多いといわれています。それは、予算不足による一時金の徴収や修繕積立金の増額を懸念しているからです。そのため重要になるのが、長期修繕計画の中にサッシの交換を視野に入れた予算計画を盛り込んでおくことです。

具体的には、長期修繕計画を作成するうえで、大規模修繕の1回目はもちろん2回目、3回目の大規模修繕を見据えた、適切な予算計画および見直しが求められます。サッシに関しても、2回目の大規模修繕でサッシの付属金物の取替え、3回目の大規模修繕でサッシ本体の交換の実施を視野に入れた計画を立てておくことが重要になります。

また、予算不足を回避するための方法として「予備費」を設けておくという方法もあります。大規模修繕工事の資金計画の中に予備費を設けておけば、サッシ交換に関する資金が不足したときでも柔軟に対応できるようになります。

マンション大規模修繕の修繕積立金の相場および適正額や、万一不足したときの対処法は「大規模修繕の修繕積立金とは?積立方式や積立金の目安・相場を解説」こちらで詳しく解説しているので、予算不足でお困りのマンション関係者の方は合わせてご覧ください。

5.マンション大規模修繕 サッシについてのまとめ

サッシの交換は12年で大規模修繕を計画しているマンションでは、3回目の大規模修繕のときに行うようになります。
サッシ枠や窓ガラスは「個人利用が認められた共用部分」なので、勝手にサッシ枠や窓ガラスの交換はできません。

そのサッシ交換は現在「カバー工法」が一般的に利用されます。
既存のサッシ枠の上から新しいサッシ枠を取り付けるだけなので、施工時間が短く騒音やホコリも発生しないという特徴があり、大規模修繕のときのサッシ交換では基本の工法になります。

また、サッシ交換の費用に関してはサッシやガラスの種類、グレードなどによって異なるので、ご紹介した費用目安を参考にしていただき、修繕計画の中で予算の計画をしっかり立てていきましょう。

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