完了後のトラブル!不具合が発生したときの対処法!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.11】
マンションの大規模修繕は建物に生じた損傷や劣化を修繕する工事なので、完成した直後は当然キレイな状態になっています。
しかし、施工業者との引渡処理が終わった後で、建物に何かしらの不具合が起こることがあります。
大規模修繕の完了後によくあるトラブルが、この不具合の発生なのです。
詳しくは後で説明しますが、最も多いトラブルが「漏水」です。屋上防水の耐用年数はおよそ10年~15年なので、引渡後1年2年で漏水するときは施工不良が考えられます。
ということで今回は、大規模修繕工事が完了したあとで発生する不具合について詳しくお話していきます。
このページの目次
1. 大規模修繕完了後にどんな不具合が発生するのか?
2. 不具合の発生を防ぐ方法!足場解体前の完成検査が重要!
3. まとめ
1.大規模修繕完了後にどんな不具合が発生するのか?
大規模修繕はマンションによって多少の違いはありますが、一般的に12年周期で実施されます。
その大規模修繕の工事範囲はマンション敷地内すべてが対象になり、以下のような実に様々なエリアで修繕・改修工事が行われます。
一般的なマンション大規模修繕の工事範囲
・外壁:下地コンクリート補修工事、タイル補修・貼り替え工事、塗装工事
・屋上:防水改修工事
・共用部分の廊下、階段、バルコニー:防水改修工事
・鉄部:錆(さび)部や塗装剥離部の塗装工事
・設備:電気設備、給排水設備、ガス設備など
このような工事が行われ、完了後はもちろんキレイな状態で機能面でも問題ありません。
しかし、施工業者から引き渡された後になって何かしらの不具合が発生するケースは比較的頻繁に発生しているのです。
1-1.大規模修繕完了後で発生するよくある不具合
中でも一番多いトラブルが冒頭でも少し紹介した「漏水」による雨漏りです。
上記の通り、大規模修繕では外壁の下地やタイル改修、屋上の防水改修を実施しますが、完成してすぐに雨水が浸水して雨漏りが発生するというものです。
屋上防水に関しては、防水工法で多少の違いはあるものの耐用年数はおよそ10年~15年です。そこで、完成した直後の漏水は論外として、1年や2年で漏水するときは施工業者の施工不良といえます。
それ以外にも、外壁タイルの貼り替えをしたあと、数年でタイルが変色したり一部剥がれ落ちたりするケースや、外壁補修をした部分にひび割れが起こるケースもあります。
1-1-1.施工会社の保証期間およびアフターサービスの有無の確認は忘れずに!
いずれも原因として考えられるのが施工会社の施工不良なので、完成後に何かしらの不具合が発生したときは施工会社に連絡して厳正に対処してもらう必要があります。
そのためには、完成引き渡しのとき施工会社の防水などの保証期間やアフターサービスについてしっかり確認することが重要なのです。
一般的な施工会社であればアフターサービスが各工事の保証年数に合わせて実施されます。
引き渡しから1・2・3・5・10年後など会社によって違いますが定期点検が実施され、大規模修繕工事に起因する不具合が発生したときは無償で対応してもらえるはずです。
また、大規模修繕が完了したあとで想定される漏水などの不具合のための「瑕疵保険」という保険があります。
これは施工会社側で加入する必要はありますが、瑕疵保険に加入していれば、大規模修繕完成後に発生した「瑕疵(欠陥・不具合)」を補修するための費用が保険金から支払われます。さらに、施工会社に倒産などのトラブルが発生したときでもマンション側は補修費用を負担しなくてもよくなるのです。
瑕疵保険についてさらに詳しく知りたい方は「大規模修繕の瑕疵保険とは?対象になる仕組みや加入するメリット(https://large-scale-repair.com/list/insurance/)」をご覧ください。
保証やアフターサービスと合わせて、瑕疵保険の加入の有無も確認しておけばより安心できるのではないでしょうか。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.不具合の発生を防ぐ方法!足場解体前の完成検査が重要!
大規模修繕が完成したあとで発生する不具合を未然に防ぐ方法として、段階的にコンサルタント会社などの第三者に依頼して工事品質の検査を行ってもらうことです。
完成後の不具合が発生する主な原因は施工不良なので、工事の進捗に合わせて「中間検査」を実施するほか、最も重要なのが「完成検査」です。
竣工検査とも呼ばれますが、全体の修繕工事がある程度完了した段階で、「足場を解体する前」に工事の品質をチェックするための完成検査を実施する必要があります。この足場を解体する前に実施するのが重要なポイントです。
外壁改修の施工不良や不具合が完成したあとで発覚しても、足場を解体してしまったあとでは簡単に補修できないケースがあるので、足場を解体する前にコンサルタントによる完成検査を実施する必要があるのです。
3.まとめ
マンション大規模修繕にトラブルはつきものですが、工事が完了したあとも何かしらの不具合が発生するトラブルが起こるケースが多々あります。
特に多いのが雨水の浸水による「漏水」トラブルです。
外壁や屋上の工事をした箇所から漏水するケースが多く、主な原因は施工不良が考えられます。
通常、施工会社では完成後のアフターサービスとして、大規模修繕工事に起因する不具合が発生したときは無償で対応してもらえるはずです。また、施工会社が瑕疵保険に加入していれば、万一施工会社にトラブルがあったときも保証されるので安心です。
もちろん不具合がないことに越したことはないので、大規模修繕の進捗に合わせて段階的に品質検査を実施するとともに、完成検査は足場を解体する前に確実に行いましょう。