修繕方針が決定したらマンション居住者との情報共有を!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.41】
分譲・賃貸マンションでは一般的に12年~15年周期で大規模修繕工事を行います。
賃貸マンションは共用部分の修繕はオーナーの義務として行いますが、分譲マンションは「長期修繕計画」の中で大規模修繕工事が計画されます。
その長期修繕計画り作成にあたって、マンションの基本的な修繕方針を管理組合の中で決めていきますが、その修繕方針をマンション居住者にも情報共有することをルール化しなければなりません。共有していないことで後々トラブルが起こる可能性もあるのです。
ということで今回は、大規模修繕に関わる修繕方針をマンション居住者へ情報共有する必要性についてお話していきます。
このページの目次
1. 長期修繕計画とは?作成は管理組合の業務
2. 長期修繕計画で策定された修繕方針は居住者への情報共用が大切!
3. まとめ
1.長期修繕計画とは?作成は管理組合の業務
ほとんどの分譲マンションで作成されるのが「長期修繕計画」です。
その作成は管理組合の業務として、国土交通省が公開している「マンション標準管理規約」の中に明記されています。
長期修繕計画は名前のイメージ通り、10~30年、最近では50年程度の期間を対象にして、マンション内に生じる経年劣化や損傷・不具合に対して、修繕時期、修繕項目、修繕方法、修繕費用などを計画するために作成されます。
作成にあたって基本になるのは、「居住者の快適な居住環境を確保し、マンションの資産価値を維持・向上するための修繕」と「建物および付属設備の機能性を向上するための改修」を適切に行うための計画であり、分譲マンションでは長期修繕計画の作成が必要不可欠だといえます。
そこで、長期修繕計画の中で修繕方針が決まっていく過程で、マンション居住者に負担してもらう適正額の「修繕積立金」も設定されます。
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2.長期修繕計画で策定された修繕方針は居住者への情報共用が大切!
長期修繕計画の作成にあたって、マンションの修繕方針や修繕積立金などの重要な項目が決定したら、マンションを購入した区分所有者(居住者)に情報を共用することをルールとして決めておく必要があります。
修繕方針などの情報共有(開示)については、国土交通省が公開している『長期修繕計画作成ガイドラインおよび同コメント』の「第3節
長期修繕計画の周知、保管」の中で以下のように明記されています。
“1 長期修繕計画の周知
管理組合は、長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定に当たって、総会の開催に先立ち説明会等を開催し、その内容を区分所有者に説明するとともに、決議後、総会議事録と併せて長期修繕計画を区分所有者に配付するなど、十分な周知を行うことが必要です。
(引用:国土交通省|長期修繕計画作成ガイドラインhttps://www.mlit.go.jp/common/001172730.pdf)”
このように明記され、長期修繕計画は管理組合のなかで修繕方針や修繕積立金が決められ、理事会の総会の中で最終的に決議されますが、マンション居住者の一部の人しか知り得ない情報になってしまいます。何も知らされていなければ、既に決定された修繕方針に対して納得しない人がでてくることも考えられます。
そこで、マンションとしての修繕方針がある程度固まったら、なぜ修繕を行うのか、どのように修繕行うのかなど、定期的な修繕や大規模修繕の必要性、方向性などに関してすべての区分所有者に理解してもらい、マンション内すべての人に協力してもらう必要があります。
そのために、長期修繕計画の中で修繕方針や修繕積立金の設定額などがある程度決まったら、区分所有者への情報共有をルール化しておくことが重要なのです。
また。長期修繕計画の作成で不明な点があれば、先程ご紹介した『長期修繕計画作成ガイドラインおよび同コメント』をご覧ください。「長期修繕計画標準様式の記載例」などの情報も載せられているので、一度確認してみることをおすすめします。
3.まとめ
ほとんどの分譲マンションでは長期修繕計画を作成しますが、その中で決められた修繕方針はマンション居住者へ情報として共有しなければなりません。長期修繕計画の作成および決議は管理組合の理事会で行われますが、最終的に決定する前にすべての区分所有者へ情報を共有する必要があります。
住民説明会の開催や重要なポイントをまとめた資料を配布するなど方法は様々ですが、修繕方針をマンション居住者に共有することで、居住者から有益な情報が寄せられる可能性があるほか、意見の相違をなくすことができます。
それほど難しいことではないので、マンションの修繕方針が決まったらまずはマンション居住者に情報を共有するようにしましょう。