RC物件の外壁タイル貼りの劣化およびメンテナンス確認
【元大規模修繕担当者が最新ニュースを独自の見解で分析!-NO.8】
2019/7/4(日) の情報サイト「健美家」の記事の中に「不動産投資家に人気のRC物件。タイル張りは本当に丈夫で長持ち?メンテナンス費はいくら?」という記事を見かけました。
その内容は、RC造(鉄筋コンクリート造)で外壁に張られているタイルのメンテナンスに関して専門家が解説しているもので、大規模修繕にも関連する情報として皆さまにも情報を共有します。
マンションの構造として高層物件はSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)の物件は多いですが、一般的なマンションの構造はRC造です。さらに、現在のほとんどのRC造の物件の外壁はタイル張りが採用されています。
そこでこの記事では大規模修繕支援センターとして、外壁タイル張りのメンテナンス状況の確認ポイントをまとめてみました。
これからタイル貼りの中古マンションの購入をお考えの方や、現在タイル貼りの物件にお住まいの方も確認の意味でご覧ください。
このページの目次
1.RC造マンションの外壁にタイル張りが採用される理由とタイルの種類
タイルは様々な場所で使われますが、マンションなどの建物の外壁にも一般的に使われています。
ひと昔前のマンションの外壁は「吹き付け塗装」で仕上げられていましたが、近年のマンションは「タイル張り」が主流になっています。
では、なぜタイル張りが採用されているのか?となりますが、タイル張りは「高級感」があり「耐久性」が高いからです。
そもそも「タイル」は、細かい石や砂、粘土などを1,000℃以上の高温で焼き固めたものです。
建物の床などの内装でも使われることはありますが、耐久性が高いので外壁の仕上げ材として広く使われています。マンション購入者に対して「高級感」というイメージが与えられるとともに、耐久性が高いのでメンテナンス費用が抑えられるメリットがあります。
外壁で使われるタイルの種類は様々ですが、一般的に使われるタイルの種類は以下の3 種類になります。
外壁に使われるタイルの種類
- 磁器質(Ⅰ類)
- せっ器質(Ⅱ類)
- 陶器質(Ⅲ類)
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
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2.外壁タイルは竣工から10年を目安に「全面打診調査」が義務付けられている
いかなる物は時間の経過とともに劣化していきます。それはマンションなどの建物も同じです。
とくに外壁タイトは外部に面していることから、太陽の紫外線や雨風の影響を受け続けるため、劣化が進みやすい部分です。
そのため、一般的なマンションでは「12年周期」で大規模修繕工事が計画されています。
なぜ12年周期なのか、疑問がある方もいるでしょう。
その理由は、建築基準法施工規則が2008年4月1日に改正され、外壁がタイル張りのマンションでは竣工から10年を目安に13年までに外壁タイルの「全面打診調査」を実施するとともに報告が義務付けられているからです。
全面打診調査を行う目的はタイルなどの落下による事故を防止するためであり、打診棒と呼ばれる道具を利用してタイルを叩いて浮きがないかを確認する調査になります。
その全面打診調査を行うめには「足場」を設置しなければなりません。
しかし、足場を設置するのもマンションの規模によっては高額な費用が必要。そこで、足場を設置するなら打診調査ではなく大規模修繕工事をした方が効率は良いということで、築13年以内の「12年周期」で計画するマンションが多いのです。
実際、竣工から10年経過すると外壁タイル張りも劣化は進みますが、とくに劣化が進んでいる箇所は部分的なメンテナンスが必要になります。
3.外壁タイルの劣化現象の種類とメンテナンス確認ポイント
外壁タイル張りの劣化には大きく以下の3つのタイプがあります。
外壁タイル張りの劣化現象
- タイルの剥がれ
- タイルの浮き
- 白華現象
白華現象とは、文字通り外壁タイルが白くなる現象のことで、建築用語では「エフロレッセンス」と呼ばれています。 タイル貼りの目地のひび割れから雨水が浸入、その水がセメント中の石灰成分を溶かし炭酸カルシウムになって目地部から滲み出てくる劣化現象です。
3-1.外壁タイルのメンテナンス確認ポイント
タイル貼りの中古マンションの購入をお考えの方や現在タイル貼りの物件にお住まいの方は、上記のような劣化のメンテナンスを実施するのかの確認が必要になります。
まずは、タイルの浮きは素人では分かりませんが、タイルに剥がれやひび割れがないか確認するとともに白華現象が酷い部分がないかのチェックを行います。その際、できればデジカメやスマホのカメラで撮影しておくと証拠になります。
そして、ある程度劣化の状況が確認できたら、マンションの管理組合および理事会が「外壁の劣化状況を把握しているのか」、「補修する予定はあるのか」など、今後どういったメンテナンスを行うのか確認してみましょう。
ただし、前項で説明した通り竣工から10年を目安に13年までに外壁タイルの全面打診調査が義務付けられ、多くのマンションでは大規模修繕工事のときに外壁タイルの張り替えなどを行います。
そこで、ポイントとして「管理組合が開催する総会の議事録」や「長期修繕計画」を確認して、外壁を含めた修繕工事の計画および外壁タイルのメンテナンスをどのように予定しているのかチェックしましょう。
外壁のタイル張りは見た目も高級感があり耐久性が高いので、メンテナンスを行う頻度が少ないというメリットはあります。 しかし、10年を経過すれば当然劣化は進むので、メンテナンスの実施状況や予定は、これから購入を検討する方だけではなく現在お住まいの方も確認しておくことが大切です。
4.まとめ
今回は「健美家」の記事に掲載されていたマンションの外壁タイル張りの劣化とメンテナンスを紹介していた記事について見解をまとめてみました。
外壁タイル張りは高級感があり耐久性は強いですが、月日の経過とともに劣化していきます。
そのため、建築基準法では竣工から10年を目安に13年までに全面打診調査の実施・報告を義務付けており、多くのマンションはそれに合わせて大規模修繕工事を12年周期で計画しています。