「タワマン・クライシス」の原因と対策方法
【元大規模修繕担当者が最新ニュースを独自の見解で分析!-NO.5】
2019/6/10(月) のYahoo!ニュースの記事の中に「「将来は廃墟に」タワマン・クライシスは本当か。修繕費が足りない報道の内実」という記事を見かけました。タワーマンションで懸念されている「タワマン・クライシス(タワーマンションの危機)」について住宅評論家が独自の目線で説明している内容で、「大規模修繕の積立金不足」が特に問題視されているため今回皆さまにも有益な情報として共有いたします。
タワーマンションで実施される大規模修繕は、中低層マンションよりも1.5倍~2倍程度工事費が高くなる傾向があるため、大規模修繕の予算不足が懸念されています。
そこでこの記事では大規模修繕支援センターとして、「タワマン・クライシス」といわれる原因と対策について見解をまとめてみました。
タワーマンションの大規模修繕が近いオーナー様や修繕委員会の方はもちろん、これからタワマンの購入を検討している方にも参考になると思いますので、
このページの目次
1. 「タワマン・クライシス」と言われている原因は「大規模修繕の積立金不足」
2. 修繕積立金が不足する問題はタワーマンションだけじゃない!
3. タワーマンションで修繕積立金の不足をなくす重要な2つのポイント
4. まとめ
1.「タワマン・クライシス」と言われている原因は「大規模修繕の積立金不足」
タワマン・クラスシスは、タワーマンションの危機を意味しています。
元記事のYahoo!ニュースの中でも説明していますが、タワマン・クライシスと言われる大きな原因は大規模修繕工事で使われる「修繕積立金の不足」です。
一般的にタワーマンションを含めた分譲マンションでは、長期修繕計画が管理組合を中心に策定され、その中でおおよそ「12年~15年」周期で大規模修繕工事が計画されます。さらに、大規模修繕工事に建物の定期的な修繕を含めて、その費用を賄うための「修繕積立金」の額も設定されます。
マンションで行われる大規模修繕は規模が大きくなれば大きくなるほど工事費が高額になります。
それがタワーマンショともなれば”億単位の工事費が必要になる”と想定され、万一修繕積立金の不足が生じると一般的なマンションよりも問題は深刻です。
その不足を解消するために、莫大な金額を居住者から追加金として徴収される問題が「タワマン・クライシス」という言葉で表現されているのです。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.修繕積立金が不足する問題はタワーマンションだけじゃない!
先程からタワーマンションの修繕積立金が不足する問題について話していますが、タワーマンションに限った話ではないのです。
そこで、タワーマンションに限らず多くの分譲マンションで修繕積立金の不足する原因となっているのが、「マンションの販売促進を目的に修繕積立金を低く設定する」ことです。それにより、大規模修繕の時期が近くなったときに「足りない!」という事態に陥ってしまうのです。
修繕積立金は総戸数が多くなれば積立額も大きくなるのは当然で、タワーマンションでは莫大な金額が積み立てられます。
前項でタワーマンションは億単位の工事費が必要になると説明しましたが、適正額の修繕積立金を設定していれば不足することはほとんどありません。
これは、中低層マンションにも言えることであり、適正額の修繕積立金を設定していればほとんどのケースで不足する事態は発生しないはずです。
このようにタワーマンションを含めた多くのマンションで発生する大規模修繕の積立金不足は「資金計画の甘さが原因」です。
そのため、長期修繕計画を策定するときはコンサルティング会社などの助言を仰ぎながら、適正額の修繕積立金を設定するのが最も重要になります。
3.タワーマンションで修繕積立金の不足をなくす重要な2つのポイント
では、タワーマンションの大規模修繕工事で「修繕積立金が不足する事態を避けるためにはどうしたらいいのか?」について2つのポイントをお話していきます。
3-1.ポイント➀ 適正額の修繕積立金を設定する
まず一つ目のポイントは前項でも説明した通り、適正額の修繕積立金を設定することです。
マンションで作成される長期修繕計画は法的におおむね5年で見直しをするように推奨されています。それに合わせて修繕積立金の見直しも行い、足りないようなら増額を含めた検討が必要になります。
また、大規模修繕の積立金不足を防ぐ方法として有効なのが資金計画の中で「予備費」を設けておくことです。
資金計画の中に予備費を設けていれば、万一足りない事態になっても深刻な問題にまで発展せずに済みます。
3-2.ポイント➁ 専門の施工会社に工事を依頼する
元記事のYahoo!ニュースの中にでもお話していますが、多くのタワーマンションはスーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社によって建設されています。そして、大規模修繕の見積もりを元施工である大手建設会社に依頼すると、目が飛びでるほど高い見積もりが出されるとのこと。
その理由は、大手建設会社は修繕工事などを専門に行う子会社があり、そこに下請けに出するのが一般的になっているからです。
下請けに出せば大手建設会社に対してのマージンが発生してしまい、それによって大規模修繕の見積もりも必然的に高くなるという仕組みになります。
そこで、タワーマンションの大規模修繕工事の施工を大手建設会社ではなく、大規模修繕を専門に行う施工会社に依頼するのが積立金不足を防ぐためには重要になります。
その際、施工会社とは別に建築に関する専門知識を有した「コンサルタント会社」に監理面を依頼するのが望ましいでしょう。
大手建設会社とは別の施工会社に依頼すると技術的な問題が発生するケースがあるので、修繕工事の管理ができるコンサルタント会社の存在が重要になります。
以上、タワーマンションに限らず大規模修繕の積立金不足を防止するためには、適正額の修繕積立金を設定することと、安くて申請できる施工会社およびコンサルティング会社に依頼することが重要になります。
4.まとめ
今回は「タワマン・クライシス」についてお話してきましたが、タワマン・クライシスと言われる理由は「大規模修繕の積立金不足」にあります。
タワーマンションは高層で総戸数が多く、大規模修繕には億単位の工事費が必要になるので、イメージ的に不足しがちと考えられています。しかし、ご紹介した通り資金計画を確実に行い適正額の修繕積立金を設定していれば、タワーマンションに限らず多くのマンションで修繕積立金が不足する事態はほとんど発生しません。
タワマン・クライシスはタワーマンションの危機として報道されていますが、個人的にはあまり過剰に意識する必要はないと感じます。