マンション大規模修繕の資金計画!助成制度も上手に活用!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.35】
大規模修繕はマンションの規模が大きくなれば大きくなるほど、膨大な資金が必要になってきます。
そこで、多くのマンションで問題になっているのが「資金不足」です。
分譲マンションは居住者から毎月納めてもらっている「修繕積立金」で大規模修繕の費用を賄いますが、予算内に納まらず「足りない!」というマンションが増加しているのです。
その理由の一つが、大規模修繕などの工事では「清算工事」が採用されることが多いからです。
清算工事とは、設計見積もり時の概算数量ではなく完成時の実施数量を基に清算する工事を指しますが、設計見積もりと完成時の清算に開きが発生するケースが多々あるのです。
大規模修繕の費用を予算内に納めるためには、清算工事を想定して資金計画の中に「予備費」を含めるほか、管理会社へ支払う管理委託費の見直しが効果的です。また、全国の自治体が実施している助成制度を活用するなどの方法があります。
ということで今回は、マンション大規模工事に関わる「資金計画」について詳しくお話していきます。
このページの目次
1. 大規模修繕の資金計画を考える方法
2. 大規模修繕の資金不足を防止するためには?
3. 各自治体の大規模修繕に関わる助成制度を上手に活用しよう!
4. まとめ
1.大規模修繕の資金計画を考える方法
一般的な分譲マンションは管理組合が中心になって「長期修繕計画」が立案されます。
長期修繕計画とは、10~30年程度の期間を対象にして、建物に生じる経年劣化や損傷、不具合に対して、時期、項目、方法、費用などを計画するために作成されるマンション内の修繕計画を指します。この長期修繕計画の中で、定期的な修繕および大規模修繕工事で必要になる費用を想定して「修繕積立金」の額が設定されます。
長期修繕計画の中で「資金計画」を考えるとき、基本になるのは当然「修繕積立金」です。 修繕積立金という大枠に修繕予算が納まるように考えなければなりません。
では、実際にどのように資金計画すればいいのか?と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
大規模修繕は概ね12年周期で実施されるので、どれくらいの費用が必要になるのか正確に算出するのは難しいと考えられます。
そこで、資金計画である程度の概算費用を算出するとき、一般的に大きく以下の4種類の方法が使われています。
資金計画の概算費用の算出方法
➀標準的なマンションのデータをモデル化して算出する
➁建物の部位ごとに劣化を予測して算出する
➂他物件などの過去の工事実績を参考にして算出する
➃建物診断を行い実際の数量を基に算出する
以上のように4種類の方法があり、➀は最も早く算出できますが精度は低くなり、逆に➃は作成に時間はかかりますが制度は最も高くなります。
そこで、最初から➃の建物診断を実施するのも大変なので、まずは➀~➂の方法である程度の資金計画を作成します。
長期修繕計画は概ね5年で見直しが必要になるので、その時期に合わせて建物診断を行い、実際の数量で算出して費用を基に資金計画も見直すなど方法は色々あります。
長期修繕計画および資金計画を考えるときは、マンション内の管理組合だけで作成するのが不安なときは、管理会社やコンサルタント会社に相談しながら作成していきましょう。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.大規模修繕の資金不足を防止するためには?
資金計画の方法について説明しましたが、実際に大規模修繕工事の予算不足トラブルが発生するマンションは多いといいます。
その一番の理由は、長期修繕計画の中で資金計画および修繕積立金の設定が甘かったことにつきますが、冒頭で少しお話した「清算工事」も影響しています。
そこで、大規模修繕の資金不足を防止する方法として有効なのが、資金計画の中で「予備費」を設けておくことです。
清算工事は、設計見積もり時の概算数量ではなく完成時の実施数量を基に清算する工事を指します。
設計見積もりと完成時の清算に誤差が発生し、主に完成時の数量方が多くなる傾向にあるため、想定していた予算内に納まらないという事態が発生するのです。
そんなとき、資金計画の中に予備費を設けていれば、万一完成時の清算が想定よりも増えてしまっても柔軟に対応できるようになります。
また、管理組合に日常の保守・管理業務を委託しているマンションでは、管理会社に支払う「管理委託費」を見直して減額できれば、大規模修繕の予算不足が解消できる可能性があります。
管理委託費の見直しに関しては「上手な管理会社活用法!管理委託費削減で大規模修繕の予算不足解消!(内部リンク)」こちらで詳しく説明しているので、「管理委託費が高くて困っている!」という方は是非ご覧ください。
3.各自治体の大規模修繕に関わる助成制度を上手に活用しよう!
実際に大規模修繕の予算不足で困っているマンションで役立てたいのが「助成制度」です。
「マンションの大規模修繕でも助成制度は受けられるの?」と疑問を感じる方も少なくないと思いますが、マンション大規模修繕でも国や地方自治体が実施している助成制度が活用できます。
しかし、どの助成制度にも言えることですが、申請すれば必ず助成金が受けられるという訳ではありません。
どんな助成制度でも必ず助成対象となる条件が設定されているので、この条件をクリアしなければ当然助成金は受けられません。
そこで、実際どんな助成制度があるのか?について、一般的に以下のような修繕工事に対して実施されています。
マンション大規模修繕に関連する助成制度の種類
- マンション大規模修繕および改良
- マンション耐震診断および耐震補強工事
- アスベスト調査および除去作業
- 相談アドバイザー・コンサルタントやマンション管理士派遣
このような助成制度は自治体によって当然違いがあるので、予算不作が懸念されるマンションの管理組合の方は、一度お住まいの自治体が実施している助成制度の有無や応募条件など確認して、利用できるようなら上手に活用していきましょう。
大規模修繕の助成金に関しても「予算不足対策に役立つ助成金(補助金)制度を解説
(https://large-scale-repair.com/list/subsidy/)」の中で詳しく紹介しているので是非ご覧ください。
4.まとめ
現在、大規模修繕の予算不足に困っているマンションは多いですが、長期修繕計画の策定に伴う資金計画が重要になります。
資金計画を考えるとき大きく4種類の方法はありますが、不安なときは管理会社やコンサルタント会社に相談して、一緒に作成を進めれば「予算が足りない!」という事態が避けられるのではないでしょうか。
具体的には予算内に「予備費」を設けるほか、管理会社へ支払っている管理委託費を見直すことで予算不足が解消できる可能性があります。
また、最後にご紹介した助成制度については、一時お住まいの自治体に確認して条件が合うようなら上手に活用していきましょう。