照明器具などを取替えるとき施工説明書を入手しておく!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.29】
マンション大規模修繕は主に建物に生じた劣化や損傷を修繕しますが、電気や給排水などの設備関係の改修も行います。 その電気設備の中で身近な照明器具の取替えも行います。
基本は施工会社で施工を行いますが、取り替える照明器具の施工説明書を入手しておくと後々のトラブル防止になります。 特に外部の照明器具は、雨水が浸水して絶縁不良や感電する危険があるので、施工説明書通りに施工してもらう必要があります。
ここからは、大規模修繕で照明器具を取り替えるときの施工説明書の必要性についてお話していきます。
このページの目次
1.照明器具などの取替えは施工説明書通りに施工してもらう!
マンション大規模修繕は一般的に12~15年周期で実施されます。
生活環境および資産価値の維持・向上を図る目的で行われる工事です。
建物各所に生じた劣化や損傷の修繕とともに、電気設備や給排水設備、ガス設備など設備関係の改修も実施されますが、その中で「照明器具」の取替えも行われます。大規模修繕は基本的に共用部分が工事範囲になるので、外部に設置された照明器具も劣化が進んでいれば取替を行います。
そこで、外部照明だけに限らず、照明器具などの機器を取り替えるときは取り替える製品の「施工説明書」を入手しておくと取替後の確認がしやすくなります。もちろん、照明器具の取替えを行う施工会社には「施工説明書通り」に施工してもらう必要があります。
1-1.外部照明の取替えに関わるトラブル事例
ここで参考に、実際にあった外部照明の取替えに関するトラブル事例をご紹介しておきましょう。
某マンションで、共用部分の外部非常階段に設置してある壁面の照明器具を取替えたときの事例です。
内容は、作業完了の確認のために照明器具のカバーを開けて中を見ると、雨水があたるエリアにも関わらず防水処理がなされていなかったというものです。
防水処理されていないことを施工会社の現場責任者に確認したら、器具の周りに浸水防止としてコーキング材でシーリング処理を行うと回答があったとのこと。しかし、照明器具の内部には「凸凹面への取付けは、電源穴および取付け穴部から浸水します。必ずコーキング処理をして下さい。」と書かれてあります。
そこで、その照明器具の施工説明書を入手して確認すると、「タイル貼りのような壁面に凸凹がある部分に取り付けるときは、あらかじめ器具背面と壁面の間にコーキングで隙間を埋める」となっていたのです。さらに、凸凹面にそのまま設置すると水や水蒸気が内部に侵入して絶縁不良や感電の原因になるので、電源穴と取付け穴を内部からもコーキングして下さいと書かれています。
このことを施工会社の責任者に伝えると、説明書通りに内部のコーキング処理してもらえました。
以上、実際に発生した外部照明の取替えに関わるトラブル例でしたが、問題は施工会社および担当する作業員が施工説明書をまったく確認していないことです。また、照明器具に書かれている注意を無視して取り付けてあるのも問題です。
1-1-1.施工説明書通り施工してもらい、施工説明書を基にチェックする
このような事態の発生を防ぐためには照明器具の取替えだけに限らず、器具などを取替えるときは施工する前に施工説明書や計画書の注意ポイントなどをしっかり確認してから施工してもらうことが重要になります。
また、マンション側も作業確認を行うときは、施工説明書を入手して説明書通りに施工されているのか確認すれば、工事が完了したあとに発生する施工不良によるトラブルは回避できるのではないでしょうか。
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2.まとめ
今回は大規模修繕の外部照明の取替えに関わる施工説明書についてご紹介しましたが、今ではインターネットから施工説明書が簡単に入手できます。
照明器具の取替えだけに限らず、機器を取替えるときは施工会社に施工説明書通りに施工してもらうほか、マンション側も説明書を基に完了確認を行う必要があります。
大規模修繕では、工事完了したあとで発生する不具合が原因のトラブルが比較的多く発生しています。
そのようなトラブルを回避するためにも、施工会社だけでなくマンション側も施工説明書や計画書の内容は確認しておくことが大切です。