塗装飛散によるトラブル防止対策と発生したときの対処法
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.3】
マンション大規模修繕は建物に生じた劣化や損傷を修繕していきますが、外壁や鉄部の塗装工事も行われます。
その塗装工事で発生するのが「塗装の飛散」トラブルです。
特に外壁塗装を行うときに、マンション住人や近隣住宅の車などにペンキが付着するトラブルが頻繁に発生しています。
施工業者も塗装飛散防止ネットなどの飛散防止対策を施しますが、ネットの貼り方が悪い場所から飛散してしまい車などにペンキが付着してしまうのです。それが原因で賠償請求させる危険があります。
そこでこの記事では、大規模修繕の塗装工事で塗装飛散によるトラブルを防ぐ対策法と、万一塗料が車に付着したときの対処法をご紹介いたします。
このページの目次
1. 大規模修繕の外壁塗装で塗装飛散を防ぐための対策法
2. 万一塗料が車に飛散したときの対処法
3. まとめ
1.大規模修繕の外壁塗装で塗装飛散を防ぐための対策法
マンション大規模修繕では外壁や鉄部の塗装工事を行いますが、目的は建物の下地コンクリートの保護と美観の維持向上にあります。外壁や鉄部の塗装に剥がれや浮きがあれば、その部分から劣化が進行するほか、美観が損なわれて資産価値の低下に繋がっていきます。
このような大規模修繕で行われる塗装工事で塗料が車などに飛散した場合、保証などのトラブルに発展してしまうのです。
1-1.外壁塗装で塗装飛散トラブルを防ぐための対策法
まず、マンション大規模修繕の外壁塗装では、塗料の飛散を避けるために吹付塗装は行わず、基本はローラーや刷毛を使って塗装していきます。
それでも100%塗料の飛散を防ぐことができないので、塗装工事を行う際は足場を塗装飛散防止ネットで覆う対策が施されます。この飛散防止ネットで覆うことで塗料の飛散を防ぐことができますが、張り方が悪いとネット端部の空いている部分から塗料が飛散してしまうことがあります。
そこで、外壁塗装を行う際は万一のことを想定して、マンション敷地内の車はもちろん近隣住宅や月極駐車場の車に養生シートを被せるといった対策を施す必要があります。
車養生シートには大きく「ビニル製」と「不織布(ふしょくふ)製」があり、それぞれ以下のような特徴があります。
車養生シートの種類と特徴
・ビニル製養生シート
塗料の付着を完全に防ぐことはできますが、風が吹くとシートや車両のボディに付着した砂や埃の摩擦によってボディに細かい擦り傷が付く恐れがある。また、強風によってシートが飛ばされるケースもある。
・不織布(ふしょくふ)製養生シート
塗料の付着を完全に防げないものの、不織布は風を適度に通す特徴があるのでボディに擦り傷が付くことがほとんどありません。
このような特徴から、塗料の付着を完全に防ぐためのベストな養生対策は、「不織布シートを被せたあとでビニル製シートを被せる」ことです。こうすれば車に傷が入るのを防ぎつつ、塗装の付着を完全に防ぐことができます。
養生を行う車の台数によってはシートの購入費や手間は嵩みますが、車に塗装が付着したときの保証に比べると安いものなので、万一の塗装飛散を想定して確実に養生対策は行う必要があります。また、車だけでなくマンション内の植栽、自転車、バイクなどがあるときも、ビニルシートや不織布シートで養生しておきましょう。
以上の対策は基本的に施工業者側で行わなければならないので、色々な面で気配りができる施工業者を選ぶことが大切です。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
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大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.万一塗装が車に飛散したときの対処法
前項では外壁塗装の塗装飛散の予防対策をご紹介しましたが、それでも塗装の飛散によるトラブルが絶えないのが事実です。
風が吹く方向によっては想定していなかった車両に塗料が付着しているケースもあるので、100%防ぐのは困難だと言えます。
そこで、万一大規模修繕の外壁塗装によって車に塗装が付着した場合、施工業者が工事賠償保険に加入していれば、すべて保険で賄うことができます。
塗料が車両に付着した場合、車両の大きさで異なりますが、おおよそで15~20万円程度の補修費が必要になります。
実費でも支払える範囲のお金ですが、保険が適用されるに越したことはありません。
施工業者はこのような万一の事態に備えて工事賠償保険に加入しているはずですが、保険加入の有無を事前に確認しておくと安心です。
3.まとめ
マンション大規模修繕では外壁や鉄部の塗装工事を行いますが、よくあるトラブルが塗装の飛散です。
そこで、施工業者側では飛散防止養生シートを貼るほか、マンション内と周辺住宅や駐車場の車に車専用の養生シートを被せるなどの対策を施していきます。
しかし、それでも塗装の飛散によるトラブルが比較的多く発生しており、万一発生したときは施工業者が加入している保険から補修費が支払われます。
マンション側で対応することは一切ありませんが、施工業者が保険に加入しているかの確認とトラブルが発生しないよう的確に対策を実施してもらいましょう。