大規模修繕工事期間中に「養生」を行う部分と養生方法をご紹介
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.18】
マンションで大規模修繕を実施するとき、ほかの建築工事との大きな違いは居住者の方が普通の生活をしている中で工事を行うことです。
そこで、工事期間中に居住者の方が怪我したり建物が損傷したりするのを防ぐために施工会社で行うのが「養生」です。 居住者の方に危険を与えるようなケースはほとんどありませんが、主に工事期間中に建物が傷んだり汚れたりしないようにするために養生を行います。
ここからは、大規模修繕期間中に「養生」を行うエリアと養生の方法をご紹介します。
このページの目次
1. 大規模修繕の工事期間中に「養生」するエリアと方法
2. まとめ
1.大規模修繕の工事期間中に「養生」するエリアと方法
「養生」という言葉は色々な分野で使われますが、建設業界では工事の中で建物に損傷・汚れが発生するのを防ぐために行われるものです。
マンション大規模修では”工事範囲に含まれない部分”に対して養生が行われます。
また、養生は建物を保護するだけでなく、居住者の方が怪我をしないようにする目的も持っています。
1-1.工事期間中に養生を行うエリアと方法
では実際に、大規模修繕の工事期間中にどのエリアの養生を行うのかご紹介していきます。
1-1-1.足場の仮設シート養生およびエントランス落下防止養生
外壁が工事範囲に含まれるとき、建物周囲に「枠組足場」と呼ばれる足場を設置します。
そして、足場上で外壁改修を行うとき、塗料、タイルやコンクリートの破片、粉塵などが飛散するため、飛散防止養生として足場全体を仮設シートで覆います。
仮設シートにも色々な種類はありますが、大規模修繕では一般的に「メッシュシート」で足場を養生します。
そのメッシュシートの中でも最近は「黒メッシュシート」が広く使われています。黒メッシュシートは白やグレーのメッシュシートよりも透過性が優れているので、閉塞的な圧迫感が軽減できる効果があります。
また、エントランスの正面玄関部分には、工事中に足場から資材などが落下して居住者の方に当たらないように、落下防止養生を施します。
1-1-2.マンション内の床面養生
マンション内のエントランス、共用廊下、階段などの床面には工事期間中ゴムシートなどで養生を施します。
工事期間中は資材の搬入や作業員の出入りが激しくなるほか、塗装や防水などの工事を行うときに塗料や防水材が床面に付着する可能性があります。
そのため、床面に傷が入ったり塗料などで汚れたりするのを予防するために養生が施されるのです。
使われる養生材はゴムシートの他にも、緩衝性の高い発泡シートやプラダン(プラスチック製の段ボール)、ビニルシートなどが使われます。
1-1-3.エレベーターの養生
マンションに設置されているエレベーターも養生を施します。
エレベーター前の床面養生から、エレベーターかご内まで養生します。
かご内の床面にはゴムシートやべニア板で養生し、開閉扉以外の壁面にもプラダンなどで養生を行います。
養生を行うときも、剥がれやめくれが起きないように養生テープでしっかり固定していきます。居住者の方は固定されているテープを剥がしたりしないようにしましょう。
1-1-4.それ以外の各所養生
マンション大規模修繕で行う養生は大きく上記の3つのエリアになります。
それ以外にも、各部屋のバルコニーの天井や床面の工事を行うときは、手摺や空調室外機が汚れないようにシートで覆うほか、自転車置場の塗装工事をするときも駐輪している自転車にシートを被せて養生を行います。
以上のように、マンション大規模修繕では様々なエリアの修繕・改修工事を行うため、建物が傷ついたり汚れたりしないようにするほか、居住者の方が怪我しないように養生はしっかり行われます。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
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大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.まとめ
「養生」についてお話ししましたが、大規模修繕の経験があるマンションの方は色々な養生を見た記憶があるのではないでしょうか。
主に、足場、共用部分の床面、エレベーターといったエリアの養生を行いますが、それ以外の作業エリアでも適切な養生が行われます。
居住者の方に直接関係するものではないですが、今回はどのような養生が行われているかだけでも知って頂ければ幸いです。