マンション大規模修繕の準備段階の進め方を簡単解説!
【元大規模修繕業界担当者が教える知って得する豆知識-Column.14】
大規模修繕はマンションによって多少時期は違いますが、おおむね12年周期で実施されます。
その目的は、建物の外部だけでなく内部に生じた経年劣化や損傷を修繕・改修工事が行い、生活環境や資産価値の維持・向上に繋げるためです。
基本はマンションの長期修繕計画の中で大規模修繕が計画され、予定されている時期の早くて2年前~最低でも1年くらい前から準備を進める必要があります。しかし、初めて大規模修繕を実施するマンションでは「何から始めたらいいの?」と、進め方が分からない方もいるでしょう。
ということで今回は、大規模修繕の準備段階の進め方についてお話していきます。
先に簡単に説明しておくと「修繕委員会立ち上げ~建物調査診断~工事内容の検討~コンサル・施工会社の選定」という流れになります。
このページの目次
1. まずは「修繕委員会」の立ち上げとコンサルタントの依頼
2. 建物調査診断を行い診断結果から工事内容・予算を検討する
3. 施工会社の選定。信頼できる施工会社の選び方
4. まとめ
1.まずは「修繕委員会」の立ち上げとコンサルタントの依頼
マンション大規模修繕の実施時期に決まりはないものの、一般的に12年周期で計画されます。
基本は長期修繕計画の中で計画されますが、早くて2年前から遅くても1年前から準備を進める必要があります。
そこで、まずは大規模修繕を計画通りに進めるための体制作りから始めますが、その際立ち上げるのが「修繕委員会」です。
また、それと同時に大規模修繕ではさまざまな専門知識が求められるケースが多いためコンサルタント会社を探す必要があります。
1-1.修繕委員会とは?役割と立ち上げるメリット
修繕委員会とは、管理組合が中心になってマンション居住者で構成する大規模修繕を進めるための専門の委員会です。
委員の人数に決まりはないものの、公平性を保つために幅広い年代から一般的に5~10人程度の委員で選定します。
その修繕委員会の役割は、そのまま大規模修繕を計画通りに進めることにつきますが、主に以下のような役割を果たします。
大規模修繕委員会の主な役割
・大規模修繕工事の計画立案
・コンサルタント会社の選定
・建物調査診断の依頼および工事内容の検討
・工事費用の調整
・施工会社の選定
・工事中の苦情・クレーム対応や進捗管理 など
主な役割はこのようになりますが、大規模修繕工事のすべてに関係してくると考えておいて問題ないでしょう。
修繕委員会を立ち上げる一番のメリットは、大規模修繕の計画から準備、完成まで継続して工事に携われることにあります。
1-2.コンサルタントとは?コンサルタント会社の選び方
修繕委員会の委員の中に建設関係の会社に勤めている方などがいれば問題ないですが、そのような人がいないときはコンサルタントを依頼する必要があります。
なぜコンサルタントが必要なのか? それは、先程も説明した通り大規模修繕を実施するうえで、修繕計画の立案や工事費用の調整、施工中の監理などコンサルタントが必要なケースが数多くあるからです。
コンサルタントは一般的に「一級建築士事務所」、「設計事務所」、「コンサルタント専門会社」、「管理会社」から選定します。 その際、どのタイプの会社を選んでも問題ないですが、過去のコンサルタント実績などしっかり下調べを行い、パートナーとして信頼できるコンサルタント会社を選ぶことが重要です。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.建物調査診断を行い診断結果から工事内容・予算を検討する
大規模修繕の体制が整ったら、最初に行うのが「建物調査診断」です。
単に「建物診断」と呼ばれることもありますが、建物の各部の損傷や不具合などをチェックして劣化状況を把握するために実施する調査診断になります。建物調査診断では主に以下の3項目の調査が行われます。
建物調査診断の調査項目
・目視調査(打診調査含む)
・完成(竣工)図面や修繕履歴などの書類調査
・居住者に対してのアンケート調査
そして、建物調査診断を実施したあと、コンサルタント会社に依頼していれば修繕委員会とコンサルタントの担当者で診断結果の診断報告書を基に工事範囲や内容および数量をチェックして、想定される概算費用を算出していきます。
その際、修繕積立金が足りなくならないように不要な工事は省くなど、概算の工事費用と修繕積立金の調整を行いながら工事範囲や内容を決定することが重要になります。
3.施工会社の選定。信頼できる施工会社の選び方
建物調査診断を実施してある程度の工事内容や概算費用が算出できたら、大規模修繕工事の施工を依頼する施工会社を選定します。
マンション大規模修繕の施工会社は大きく以下の3種類の会社から選ぶようになります。
大規模修繕の施工会社の種類
・ゼネコン(総合建設会社)
・マンション大規模修繕の専門業者
・管理会社(施工部門がある管理会社)
マンション大規模修繕では依頼する施工会社は以上の3種類の会社の中から選定しますが、さらに契約する契約方式および選定方法がそれぞれ3種類あるのです。
大規模修繕の契約方式
・責任施工方式
・設計監理方式
・CM方式とRM方式
大規模修繕の施工会社の選定方法
・見積もり合わせ方式
・入札方式
・特命随時契約方式
以上のように、マンション大規模修繕で施工会社を選定するときは、施工会社の種類、契約方式、選定方法を事前に決めておく必要があり、修繕委員会とコンサルタント会社でしっかり協議を行いベストな選定方法で施工会社を選んでいきます。
そして、施工業者がある程度絞り込めたら、施工会社の経営状態や施工実績の確認は確実に行いましょう。
施工会社の選定方法に関して、ここでは大枠のみの紹介でしたのでより詳しく施工会社の選定方法をご覧になりたい方は、 「大規模修繕の施工業者の探し方と選ぶときのポイントを解説(https://large-scale-repair.com/list/vendor/)」で詳しく解説しているので是非ご覧ください。
これで大規模修繕の準備段階に行うことは一通り完了です。 施工会社を選定すれば、着工前の工事説明会など施工会社に一任する形になるので、あとは修繕委員会とコンサルタントで進捗管理や品質完了を行っていくだけです。
4.まとめ
今回はマンション大規模修繕の準備段階の進め方をご紹介しました。
大規模修繕の1年前から準備を始めますが、マンション側でまずやるべきことは「修繕委員会」の立ち上げとコンサルタントの依頼です。それから建物調査診断を実施して、その診断結果の調査報告書をもとに工事内容の検討とともに概算の工事費用を算出していきます。
あとは、施工会社を選定すればその後は施工会社に一任する形になるので、マンション側はコンサルタント会社とともに管理面をしっかり行っていればそうそう失敗することはないでしょう。