建築塗料で修繕費用不足が解消できるのか!?
【元大規模修繕担当者が最新ニュースを独自の見解で分析!-NO.4】先日、2019/5/28(火) の日刊ケミカルニュースの記事の中に「BASFジャパン 建築用塗料で共同ブランディング」という記事がありました。記事の内容はBASFジャパンと総合塗料メーカーの菊水化学工業が共同開発した新しい塗料「水系ファインコートシリコン」を紹介したもので、大規模修繕にも使える塗料として今回ご紹介します。
マンション大規模修繕では外壁や建物内の鉄部などの塗装工事を行います。 一般的に使われているシリコン樹脂塗料の耐用年数は10~12年ですが、「水系ファインコートシリコン」の耐用年数は12~16年に延長できると言われています。
そこでこの記事では大規模修繕支援センターとして、大規模修繕の塗装工事で「水系ファインコートシリコン」を使えばどんな効果が得られるのかまとめてみました。
塗料の耐久性が向上し耐用年数が延長することでマンション大規模修繕の費用不足の解消が期待されています。大規模修繕が近いマンションの管理組合の方にとってメリットの多い情報なので、ぜひご覧ください。
このページの目次
1. 「水系ファインコートシリコン」とは?高耐候性アクリルシリコン樹脂塗料 2. 一般的な大規模修繕の塗装工事で使われる塗料の種類と耐用年数 3. 大規模修繕の塗装工事で「水系ファインコートシリコン」を使うメリットは? 4. まとめ
1.「水系ファインコートシリコン」とは?高耐候性アクリルシリコン樹脂塗料
「水系ファインコートシリコン」は、菊水化学工業㈱(名古屋市)が製造販売している高耐候性アクリルシリコン樹脂塗料です。 「高耐候性(耐候形1種)」低汚染性」「防藻・防カビ効果」に優れていますが、特に注目は「高耐候性」です。
この「水系ファインコートシリコン」を通じて、BASFジャパンと菊水化学工業が建築用塗料の耐久性の重要性に関する認知向上のための共同ブランディングを開始したがニュースになっています。
具体的には、BASFジャパンの開発提供する「コアシェル技術」を活用した、多層構造のポリマー粒子で構成するアクリルディスパージョンに、太陽の紫外線による経年劣化を防ぐBASFの光安定剤「チヌビン」を配合した専用樹脂を採用することで、建物の美観を長期間維持できるようになると言われています。
また、「水系ファインコートシリコン」のパッケージやパンフレットにはBASFのロゴが入っているほか、パッケージにBASFの「チヌビン」のWEBサイトをQRコードで表示してあり、そのページを開くと塗料の耐候性の重要性を知ることができます。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.一般的な大規模修繕の塗装工事で使われる塗料の種類と耐用年数
「水系ファインコートシリコン」がどんな塗料なのか知っていただいたところで、比較のために一般的なマンション大規模修繕の塗装工事で使われる塗料の種類と耐用年数をご紹介します。
マンション大規模修繕では、先程も説明した通り外壁や内部の鉄部などで塗装工事が行われます。
塗料の種類 | 特徴 | 耐久性・耐候性 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
アクリル樹脂塗料 | 経済性に優れていいますが耐久性・耐候性が低い。 現在の大規模修繕ではほとんど使われていない。 | ★★ | 5~8年 |
ウレタン樹脂塗料 | 経済性、耐久性・耐候性ともに標準レベル。 アクリル樹脂塗料よりも耐久性がある。 | ★★★ | 7~10年 |
シリコン樹脂塗料 | 経済性、耐久性・耐水性いずれも優れている。 現在の大規模修繕の主流で広く使われている | ★★★★ | 10~12年 |
フッ素樹脂塗料 | 耐久性・耐候性が非常に優れている。 しかし、とにかく施工単価が高いのであまり使われない。 | ★★★★★ | 15~20年 |
以上のように主に4種類の塗料があり、表内にも明記していますが現在の大規模修繕では「シリコン樹脂塗料」が主流で広く使われています。
参考までに紹介しておくと、上記の塗料は中塗りと上塗り塗料として使われます。 中塗りと上塗りの2度塗りすることで塗膜厚が確保でき、より塗料が持っている耐久性・耐候性を引き出すことができるのです。
3.大規模修繕の塗装工事で「水系ファインコートシリコン」を使うメリットは?
そこで大規模修繕の塗装工事に「水系ファインコートシリコン」を使うとどんな効果が得られるのか?
前項でご紹介した通り、現在のマンション大規模修繕の塗装工事では「シリコン樹脂塗料」が一般的に使用されており、耐用年数は10~12年です。対して「水系ファインコートシリコン」は12~16年に耐用年数が延長できると言われています。
通常、外壁などの塗装工事は建物を保護するためには行われますが、太陽の紫外線や雨風によって劣化が進み、時間の経過とともに保護機能がなくなっていきます。 それが「水系ファインコートシリコン」では、配合されている「チヌビン」によって紫外線や雨風から塗膜を保護し、光沢の低下やひび割れ、チョーキング(チョークのような粉が付着する劣化現象)のような劣化を最小限に防げるといわれているのです。
また、施工単価に関してもあくまで概算ですが以下のように水系ファインコートシリコンは比較的安く施工できます。
平米あたりの施工単価
・シリコン樹脂塗料:2,000円~2,500円/m2 ・水系ファインコートシリコン:1,700円~/m2
以上のように、「水系ファインコートシリコン」を使うことで耐久性・耐候性が上がれば、塗替えを行う頻度が少なくなるとともに、工事費も従来の塗料よりも安く抑えられるので、結果として大規模修繕の費用不足の解消に一役買ってくれるのです。
今回は水系ファインコートシリコンの簡単な特徴のみご紹介したので、もっと詳しく知りたい!という方は「菊水化学工業|水系ファインコートシリコン(http://www.kikusui-chem.co.jp/products/finecoat.html)」をご覧ください。
4.まとめ
今回は大規模修繕の予算不足が解消する可能性を秘めた新しい塗料「水系ファインコートシリコン」をご紹介しました。
マンション大規模修繕では、外壁や内部の鉄部などの塗装工事を行いますが、塗料に水系ファインコートシリコンを使えば、耐久性・耐候性が向上するとともに価格も安く抑えられます。
その結果として、大規模修繕の予算不足が解消できる可能性があるので、これから大規模修繕を実施する予定のマンションでは、施工会社などに提案してみてはいかがでしょうか。