高齢化による管理組合のなり手不足問題を解消なるか!?
【元大規模修繕担当者が最新ニュースを独自の見解で分析!-NO.2】
先日、2019/6/6(木) の中国新聞WEB版の記事の中に「マンション「理事長」委託 住民高齢化、なり手不足」という記事を見かけました。その内容は「高齢化による管理組合の役員のなり手不足」を外部委託することで解消するというもので、マンションの大規模修繕にも管理組合は大きく関係するので情報として共有いたします。
現在、マンション居住者は60歳以上の方の割合が4割に及び、管理組合の役員になってくれる人のなり手不足が問題になっています。管理組合が人手不足で機能しなくなれば、管理業務だけでなく大規模修繕などにも影響を与えてしまいます。
そこでこの記事では大規模修繕支援センターとして、マンションの管理業務を外部委託することで得られるメリットなどの見解をまとめてみました。いずれ何年後かに管理組合の役員のなり手不足を懸念しているマンションは、自分のマンションのことだと想定してご覧ください。
このページの目次
1. 管理組合の役員のなり手不足で懸念されること
2. 国土交通省の「外部専門家の活用ガイドライン」を参考にしよう!
3. 長期修繕の見直しや大規模修繕も外部委託すれば安心
4. まとめ
1.管理組合の役員のなり手不足で懸念されること
社会的に高齢化が進む中で、マンションにも高齢化の流れが来ているのです。 先程も紹介しましたが、全国のマンション居住者は約1,400万人を数えますが、その居住者の年代は60歳以上のシニア層が全体の約40%を占めており、管理組合の理事や役員のなり手不足が大きな問題になっています。
理組合の理事・役員のなり手が不足すれば、管理組合が機能しなくなり以下のような様々な管理上の問題が発生してしまいます。
管理組合の役員のなり手不足で想定される懸念事項
・管理組合自体が存続できなくなる恐れがある
・マンション内の風紀が乱れる
・管理費や修繕積立金の滞納者に対しての対応ができなくなる
・総会などの会合の運営もできなくなる
・管理会社との関係が保てなくなる
・長期修繕計画やマンション規約の見直しができなくなる
・修繕などの履歴の整理~管理ができなくなる
・大規模修繕を計画通りに進めることが困難になる など
管理組合の理事や役員のなり手が不足すれば、マンション管理に様々な弊害が出てくることが懸念されます。
そこで、このような事態が発生しないようにするための対策が「外部委託」です。
中国新聞WEB版の「マンション「理事長」委託 住民高齢化、なり手不足」という記事では名古屋市のマンションが紹介されていますが、このマンションでは「NPO法人マンション管理者管理方式推進機構」に理事長の業務を委託しています。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2.国土交通省の「外部専門家の活用ガイドライン」を参考に!
高齢化によって管理組合の理事・役員のなり手不足が社会問題になっているため、国土交通省では「外部専門家の活用ガイドライン」が公開して問題になっているマンションで役立てられています。
「外部専門家の活用ガイドライン」には、マンションの管理組合の「理事長」や「管理者」などの役員をマンション管理士などの外部専門家に委託するときに注意すべきポイントや運用例がまとめられています。そのため、このガイドラインは主に管理組合の担い手不足の課題に直面しているマンションをはじめ、これから懸念されるマンションの参考書になるものです。
ガイドライン制定の背景の一部をご紹介しておきます。
“①ガイドライン制定の背景 ・・・・外部専門家が管理組合の管理者等に就任する場合には、「マンションの区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保することが重要である。」とされました。”
(引用:国土交通省|外部専門家の活用ガイドライン)
https://www.mlit.go.jp/common/001189183.pdf
これから管理組合のなり手不足が懸念されるマンションの管理組合の方は、まずはこのガイドラインを読んでみましょう。
3.長期修繕の見直しや大規模修繕も外部委託すれば安心
マンションの管理組合の理事や役員が人手不足になれば、管理業務だけでなく長期修繕計画の見直しや大規模修繕の計画を進めるうえで様々な問題が発生する恐れがあります。
そこで、マンション管理士などに外部委託することで、修繕計画の見直しだけでなく大規模修繕を行うときも計画の立案から工事内容のチェツクなど準備から完成まで支援が受けられるので安心できるでしょう。
しかし、マンション管理業務などを外部委託する場合、委託料金が必要になります。
ここでは、料金例として中国新聞WEB版の「マンション「理事長」委託 住民高齢化、なり手不足」の中で名古屋市のマンションが業務委託している「NPO法人マンション管理者管理方式推進機構」の料金一覧をご紹介します。
NPO法人マンション管理者管理方式推進機構の料金一覧
・マンション管理相談業務
・初回相談(事務所で2時間まで):無料
・相談(事務所で2時間まで):1万円
・出張相談(2時間まで):1万円(交通費別途)※時間延長は1時間単位 5千円/時間
・管理組合顧問業務 【管理組合コンサルティング】
・理事会に参加し、助言や指導:月1回 3万円~(年間契約・交通費別途要)
・管理組合運営・大規模修繕工事に関する助言・指導
~40戸:3万円
~100戸:4万円
~200戸:5万円
201戸~:6万円
・管理者管理業務 【理事長代行】
・~100戸:4千円/戸
・~200戸:3.5千円/戸
・201戸~:3千円/戸
・管理組合運営 【スポット業務】
・管理規約の見直し:20万円~(団地型・複合型・タワー型は別途見積)
・使用細則の作成:12万円~
・使用細則の変更:10万円~
・大規模修繕工事見積内容審査:10万円
・大規模修繕工事コンサルタント:工事費の5%~10%(※工事準備から工事完了までに必要なアドバイス)
・長期修繕計画の作成:10万円~
・各種セミナーの開催:3万円~ など
以上のように、外部委託すれば委託料金が必要になるので、まずは委託する事業者のサービス内容の確認とともに見積もりは依頼するようにしましょう。
4.まとめ
高齢化によって今では多くのマンションで管理組合の理事などの役員のなり手不足が懸念されています。
管理組合の役員が不足すれば管理業務の面で様々な弊害が発生する危険があります。
そこで、注目されているのが「外部委託」です。
国土交通省から「外部専門家の活用ガイドライン」が発表されるなど、国をあげて管理組合のなり手不足の解消に取り組んでいます。
ご紹介した通り、外部の第三者にマンションの管理業務を委託すれば委託料金は必要になりますが、これから管理組合のなり手不足が懸念されるマンションの管理組合の方は、問題が発生しないうちに外部委託の検討をおすすめします。