大規模修繕の施工業者の探し方と選ぶときのポイントを解説
マンション大規模修繕工事をすることが決まれば、施工業者を探さなければなりません。
しかし、初めて大規模修繕を行うマンションでは、施工業者の探し方が分からないのではないでしょうか。 どんな業界にも言えますが、建設業界でも施工業者の質は異なり、できるだけ優良な施工業者を探していくことが重要になります。
品質の悪い施工業者に依頼して、完成後すぐに不具合が発生したというトラブルはよくある話です。 そこで、ここではマンション大規模修繕の施工業者選定の仕方と、優良業者を探すときのポイントをご紹介いたします。
このページの目次
1.マンション大規模修繕での業者選定の重要性
大規模修繕は、おおよそ12年~15年周期で実施されるマンションの一大行事です。
主に、屋上や外壁・共用廊下・階段など、共用部分の劣化・不具合の修繕工事を行います。工事費用として一般的に「一戸あたり75~100万円」という大きな費用がかかりますが、居住者が毎月積み立てている修繕積立金から、施工業者に工事費を支払うことになります。
そこで、どんな工事にも言えることですが、工事を依頼する施工業者の選定が重要になります。
マンションで実施される大規模修繕は、居住者の方が普通に生活をしている中で工事が行われます。そのため、施工技術や品質管理はもちろん重要ですが、それ以上に居住者への配慮や安全対策など、工事以外の部分でのサービスをしっかり行ってくれる施工業者の選定が、マンション大規模修繕では重要になります。
では「マンション大規模修繕ではどんな施工業者を選定すればいいのか?」について、これから詳しくご紹介していきます。
2.マンション大規模修繕の業者選定の仕方
初めて大規模修繕を行うマンションでは、どうやって施工業者を選定すればいいのか分からないものです。
マンション大規模修繕で施工業者を選定するとき、「施工業者の種類」、「施工業者との契約方式」、「施工業者の選定方法」を認識しておくことが先決。それぞれ3つの種類・方式があるので、違いをしっかり理解して施工業者を選定していかなければなりません。
ここからは、「施工業者の種類」、「施工業者との契約方式」、「施工業者の選定方法」のそれぞれ3つの種類および方式の違いをご紹介いたします。
2-1.マンション大規模修繕の施工業者の種類
マンション大規模修繕では3種類の施工業者があり、それぞれ特徴に違いがあります。
2-1-1.ゼネコン(総合建設業者)
ゼネコンはいわゆる「総合建設業」を意味しており、清水建設や鹿島建設、大林組など建設会社がゼネコンにあたります。
今ではゼネコンもマンション大規模修繕を施工しており、広く名前が知られている会社も施工を請け負ってくれます。
ゼネコンは施工技術や社内組織はしっかりしているので安心感は得られます。
2-1-2.マンション大規模修繕の専門業者
マンションなどの大規模修繕を専門に施工している業者のこと。修繕に特化しているため施工能力が優れ、修繕に関する知識も有しているので安心して任せられます。
ただし、地域密着型の施工業者が多く、規模や対応エリアが異なるので、施工体制などを事前に調べておく必要があります。
2-1-3.マンション管理会社
マンションの管理会社に施工部門があれば、管理会社に大規模修繕を依頼するケースがあります。
当該マンションの管理会社であれば建物の状態を把握しているので、一任しても安心感は得られます。
しかし、施工に関しての技術面や工事費用に関しては、管理組合や修繕委員会を中心に事前に調べておくことが大切です。
マンション大規模修繕では依頼する施工業者に3つの選択肢があり、どの施工業者が一番とは言えませんが、見積もりや次項で紹介するポイントをしっかり確認した上で選定することが重要。ただし、マンション大規模修繕では費用面や安全性を考慮すれば、専門業者の方が優れているといえます。
2-2.マンション大規模修繕の施工業者との契約方式
大規模修繕の代表的な契約方法には「責任施工方式」、「設計監理方式」があります。
さらに、近年ではアメリカで採用されていた「CM(コンストラクションマネジメント)方式やRM(リノベーションマネジメント)方式」も広まっています。x
それでは、3つの契約方式の特徴から違いをご紹介いたします。
2-2-1.責任施工方式
責任施工方式とは、施工業者に大規模修繕の全てを一任する方式になります。
特定の施工業者と契約すれば中間マージンを取られることがないので、安価で工事を進められるメリットがあります。
また、施工会社に全てを一任すれば管理組合の負担が軽減できるメリットもありますが、責任施工方式では談合などのトラブルが多いので注意が必要です。
2-2-2.設計監理方式
設計管理方式とは、施工を行う建設業者と監理会社やコンサルタント会社、建築士事務所などと別に契約を結ぶ方式です。
施工と設計監理の契約を分離することで、必要とされる修繕内容を客観的に判断できるようになるので、工事費用が抑制できる効果があります。
ただし、先程ご紹介した「責任施工方式」とは異なり、工事費が抑えられる代わりに設計監理会社への費用が別途に必要になります。マンションの規模によっては負担が大きくなる可能性があります。
2-2-3.CM(コンストラクションマネジメント)方式とRM(リノベーションマネジメント)方式
日本のマンション大規模修繕では、上記の責任施工方式、設計監理方式が多く採用されていますが、近年CM(コンストラクションマネジメント)方式とRM(リノベーションマネジメント)方式を採用しているマンションが増えています。
CM(コンストラクションマネジメント)方式とは、建築のプロであるCMR(コンストラクション・マネージャー)が技術的な管理をしながら、発注者側の立場で工事に関する契約などの業務を全部または一部を行うマネジメント手法です。
RM(リノベーションマネジメント)方式はオープンブックとも呼ばれ、施工業者に対して工事に関する全ての費用、工事の進捗状況などを管理組合に開示することをリノベーションマネージャーが求めて管理組合を支援する手法です。
以上、マンション大規模修繕の3つの契約方式をご紹介しましたが、それぞれの方式でメリット・デメリットが異なるので、専門家の意見を聞きながら契約を進めていくことが重要です。
2-3.マンション大規模修繕の施工業者の選定方法
最後にマンション大規模修繕の施工業者の選定方法には、「見積もり合わせ」、「入札」、「特命」の3つの方式があります。 ご存知の方もいるかと思いますが、それぞれの違いをご説明いたします。
2-3-1.見積もり合わせ方式
マンション大規模修繕で最も多いのが「見積もり合わせ」方式です。
5社程度の施工業者に見積もりを依頼して、比較検討して選定する方式になります。
2-3-2.入札方式
マンション大規模修繕の入札を希望する施工業者を公募したのち、複数を指名して競争入札する方式です。
公募の際に様々な条件が提示できるので、希望に沿った施工業者を探すときに便利な方式になります。
2-3-3.特命随時契約方式
新築時の施工業者など、特命で施工業者に依頼する方式です。
大規模修繕で施工業者の選定方法をご紹介しましたが、一般的なマンション大規模修繕では「見積もり合わせ方式」が採用され最も確実な方法になります。
以上のように、マンション大規模修繕で施工業者を選定するときは、施工会社の種類、契約方式、選定方法を事前に決めておく必要があり、修繕委員会などでしっかり協議した上で選ぶことが大切です。
2-4.業者選定はコンサルタントのサポートを得るのが現在の主流
上記で、3種類の契約方式をご紹介しましたが、大規模修繕では「設計監理方式」が一般的に採用され、コンサルタント会社に設計監理を依頼するのが主流になっています。
コンサルタント会社は、調査診断から工事監理まで工事全般のサポートを行いますが、施工業者の選定でも的確なサポートが得られます。具体的には、施工業者から提出される見積もりに対して、工事内容に見合った妥当な金額かどうかを精査してくれるほか、選定した施工業者に修繕計画を的確に伝えて、その通りの施工が行われているのか監理してくれます。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
3.マンション大規模修繕の業者選定の流れ
マンション大規模修繕は、遅くとも1年前から準備を進める必要があります。
建物・劣化診断を実施したうえで、修繕計画・概算資金計画案の作成を行い、およそ半年前くらいを目安に施工業者の選定を行います。
その際、コンサルタント会社のサポートを得ながら、以下のような流れで施工業者の選定を行っていきます。
3-1.居住者推薦もしくは一般公募を行い広く施工業者を募集する
居住者から施工業者の推薦を募るほか、作成した修繕計画をもとに基準(会社の規模・施工実績・保証の有無など)を決めて、新聞やインターネットなどで一般公募を行い、見積もり参加業者を広く募集します。
現在はインターネットでの公募が主流になっていますが、専門の公募サイトが複数サービスを提供しているので、コンサルタントと相談しながら安心して公募できるサイトを利用しましょう。
内容が薄く思えるので説明文の追加をお願いします。
3-2.見積もり参加業者の選定
応募のあった施工業者について書類選考を行い、5~10社程度に絞っていきます。
応募のあった業者の数によって異なりますが、10社以上の応募があった場合、すべての業者に対応するのは時間と労力がかかってしまうため、5~10社程度に絞り込むのが望ましいでしょう。
その書類選考で、確認するポイントは以下の通りです。
書類選考で確認するポイント
・建設業許可
・資本金
・マンション大規模修繕の工事実績
・経営事項審査
・ISO認定 など
以上のように、一般的な建設業許可や資本金の確認はもちろん、特にマンション大規模修繕の工事実績が重要なポイントになります。また、コンサルタントに依頼して経営事項審査やISO認定の有無などの確認をしてもらうなど、どんな会社なのか把握して見積もり参加業者は選定していきます。
なんで、5社から10社に絞るのかの理由が足らない気がするので、追記したいです。
この終わり方だと中途半端な感じに見えるので、それぞれの比較ポイントについて簡単にご説明をお願いします。
3-3.現地説明会および見積依頼
書類選考で候補となる施工業者が5~10社に絞り込めたら、見積依頼を行うために候補業者を現地に集めて、現場説明会を開催します。その際、コンサルタント会社の担当者に依頼して、工事概要や劣化・不具合箇所の説明をしてもらいます。
そして、見積要領書・図面(平面・立面)・特記仕様書・見積記載事項一覧などを候補業者に渡して、見積もり依頼を正式に行います。
3-4.見積もり提出業者の会社概要および見積内容の比較
見積要領書に記載した提出期日までに提出された見積書に対して、コンサルタントのサポートを得ながら比較検討を行っていきます。会社概要や施工実績のほかに以下のポイントで比較を行います。
見積内容の比較チェックポイント
・施工単価
・使用予定材料(メーカー、材料名、耐用年数など)
・配属予定の減配代理人の経歴書 など
比較検討の際はそれぞれの比較表を利用しますが、当サイトでご自由にダウンロードできる以下のコンテンツをご用意しています。
較検討でお困りのマンションがあればご活用ください。
この終わり方だと中途半端な感じに見えるので、それぞれの比較ポイントについて簡単にご説明をお願いします。
3-5.ヒアリング業者の決定およびヒアリング・プレゼンテーションの実施
見積内容などの比較結果をもとに、ヒアリング業者を2~3社選定し、コンサルタントを交えてヒアリングを実施します。
どのように工事を進めるのかについて、具体的な工程管理や品質管理、安全管理のヒアリングを行いますが、質問に対して誠意ある答えであるかどうかが重要になります。最も重要なのは、会社として考え方や取り組む姿勢であり、配属予定の現場代理人のコミュニケーション力も確認します。 その際、簡単なプレゼンテーションを実施してもらうのも効果的です。
また、マンション側からの要求事項として、工事の保証期間や支払い条件などを事前に決めて、その要求事項が受け入れられるかの確認も行います。
最も重要な部分なので太字にしたいです。
3-6.理事会総会の決議後に施工業者の内定通知書の送付
見積内容およびヒアリングの結果を検討して、最終的に施工業者を1社に絞り込みます。
そして、その絞り込んだ施工業者に依頼するのかについて、理事会総会で協議を行い最終的に決議が出たら施工業者に内定通知を送付します。
以上のような流れで、大規模修繕工事の施工業者を選定していきますが、全体的なサポートをコンサルタントに依頼すればスムーズに進められます。
4.大規模修繕工事の施工業者選定までのタイムスケジュール
マンション大規模修繕での施工業者は、施工業者の種類、契約方式、選定方法など決めなければならないことが複数あるため、コンサルタントに依頼することをおすすめします。コンサルタントに依頼すれば、施工業者の選定をサポートしてくれます。
ここでは、施工業者を選定するまでのタイムスケジュールをご紹介しますが、大規模修繕工事は遅くても1年前から準備が必要になります。
➀理事会総会(修繕委員会の立ち上げ) | |
期間 | 2ヶ月 |
大規模修繕工事の予定1年前を目安に、マンション内の理事会総会において工事の実施決議を行います。それに伴い、マンション内の修繕委員会を設置するとともに、コンサルタント会社の選定を行います。 | |
➁建物・劣化診断の実施 | |
期間 | 2~3ヶ月 |
大規模修繕工事では事前に建物・劣化診断を実施しますが、建物診断会社や設計事務所、建設会社など、建築の専門家に診断を依頼します。 実施する目的は、現状で発生している劣化・不具合を発見することであり、併せて「居住者アンケート」を実施して、診断で判明できない劣化・不具合も把握します。 | |
➂修繕計画・概算資金計画案の作成 | |
期間 | 1ヶ月 |
建物・劣化診断と居住者アンケートの結果をもとに、修繕計画および概算予算計画を策定していきます。その際、コンサルタント会社の担当者が修繕工事の優先順位や先送りできる部分などの判断を行ってくれるので、一度の工事で無駄なく修繕工事ができるようになるほか、工事費用を抑えることも可能になります。 そこで、修繕積立金の不足が懸念されるときは、住宅金融支援機構や金融機関、ローン会社などからの借入や居住者から一時金を徴収するなどの対応を検討する必要があります。 | |
➃施工業者の選定 | |
期間 | 2ヶ月 |
施工業者の選定は、コンサルタント会社に依頼していれば担当者が的確にサポートを行い、一般的に以下のような流れで施工業者を選定していきます。 ➀住民推薦もしくは一般公募 居住者から推薦業者を募るほか、修繕計画をもとに基準を決めて、見積参加業者を一般公募(新聞、インターネット)します。 ➁現場説明会の実施および見積依頼 応募のあった施工業者に対して、以下のポイントで書類選考を行い、5~10社程度に絞り込んでいきます。 書類選考 ・資本金 書類選考の中で、マンション改修工事の施工実績は特に重要なポイントなので、施工した件数だけでなく、規模や工事内容までしっかりチェックしましょう。 それから、見積依頼をするために施工業者をマンションに集めて現場説明会を開催します。その際、見積要領書・図面・仕様書・見積記載事項一覧を各社に渡して、見積依頼を行います。 ➂見積書の徴収から見積内容の比較検討 見積要領者に記載されている、提出期日以内に提出された見積書の比較検討を行います。こちらも、コンサルタント会社に協力を仰ぎながら、以下のポイントのチェックを行い、最終的に工事項目別に比較表を作成して検討を行います。 見積書の比較 ・単価のチェック ➃ヒアリング業者の選定およびヒアリングの実施 見積書の比較検討の結果から、ヒアリング業者を2~3社選定を行い、ヒアリングを実施します。大規模修繕工事を行ううえでの、会社としての考え方や取り組む姿勢、安全対策などのヒアリングを行い、併せて簡単なプレゼンテーションを実施してもらうのも効果的です。 ➄施工業者に内定通知の送付 見積書およびヒアリングの最終とりまとめを行い、施工業者を1社に絞り込みます。そして、依頼する施工業者が決定したら、マンション理事会で協議を行い、最終的な決議が出れば、その施工業者に内定通知を送付します。 | |
➄最終資金計画の作成および臨時総会の開催 | |
期間 | 1ヶ月 |
建物・劣化診断と居住者アンケートの結果をもとに、修繕計画および概算予算計画を策定していきます。その際、コンサルタント会社の担当者が修繕工事の優先順位や先送りできる部分などの判断を行ってくれるので、一度の工事で無駄なく修繕工事ができるようになるほか、工事費用を抑えることも可能になります。 そこで、修繕積立金の不足が懸念されるときは、住宅金融支援機構や金融機関、ローン会社などからの借入や居住者から一時金を徴収するなどの対応を検討する必要があります。 | |
➅工事請負契約書の締結 | |
期間 | 1ヶ月 |
臨時総会で最終決議がおりたら、施工業者との工事請負計画書の締結を行います。その際、支払い条件などの調整は忘れずに行いましょう。 | |
➆居住者へ工事説明会の開催 | |
期間 | 1ヶ月 |
施工業者が主催する居住他社に対しての工事説明会を開催します。 | |
➇大規模修繕工事 着工 | |
コンサルタント会社に依頼していれば、担当者が施工業者に修繕計画を的確に伝えるとともに、その通りの施工が行われているのか監理してくれます。 |
以上が、大規模修繕工事および、施工業者選定の大まかなタイムスケジュールになり、先程も説明した通り、遅くても1年前からマンション内の体制作りを始めます。その際、コンサルティング会社に依頼すれば、すべてのポイントで適切なサポートが受けられます。
5.マンション大規模修繕の業者選定で確認しておきたいポイントと注意点
マンション大規模修繕の施工業者の選定に際して、実際どの施工業者も同じように見えてくるものです。
そこで、ここでは優良企業を選ぶときに確認しておきたいポイントや注意点をご紹介いたします。
5-1.元施工の工事会社にこだわらない
大規模修繕の施工を依頼するとき、マンション新築時の施工業者に依頼するのがベストだと感じますが、元施工が大手建設会社だった場合、大規模修繕工事の費用が高くなってしまう可能性があります。
それは、大手建設会社では修繕工事などを専門の子会社に下請けに出す傾向があるためです。子会社に下請けに出せば、大手建設会社に対してマージンが発生してしまい、必然的に工事費用が高くなってしまいます。
元施工の工事会社に依頼すれば技術的には問題ありませんが、こだわる必要はないので、前項でご紹介した流れに沿って安心して任せられる施工業者を選定することが重要になります。
5-2.管理会社などと密接な関係の施工業者は避ける
管理会社に日常の維持管理を依頼しているマンションでは、マンションの状態を把握している管理会社に大規模修繕工事を依頼するケースがあります。しかし管理会社は、あくまで日常の維持管理を主な業務にしているので、取引のある建設会社や子会社に下請けに出すケースが多く見受けられます。すると、上記のようなマージンが発生して工事費が高くなってしまうのです。
また、コンサルタント会社に依頼するケースもありますが、こちらも同じように下請けの施工業者が工事を行うようになるため、工事費が高くなるほか、近年では「談合」が問題になっています。
このように、管理会社やコンサルタントと密接した関係の施工業者は、できるだけ避けた方がよいでしょう。
なお「談合」などの大規模修繕時の問題について、4つの危険なポイントをまとめておりますので以下のページを一度ご確認ください。
5-3.施工会社の経営状態及び施工実績の確認
施工会社を選定するときの基本として、依頼しようとしている施工業者の経営状態や直近の施工実績の確認が必要です。
経営状態は、帝国データバンクなどの企業信用調査会社の活用がおすすめです。
帝国データバンクの調査では、業歴や資産状況などの項目ごとに評価点が付けられており、この評点を見ればその施工業者が優良かどうかの判断ができます。
経営状態が悪い施工業者に依頼して万一倒産する事態になれば、工事継続が困難になる危険もあるので、経営状態の確認は適切に行いましょう。
また、近年では大抵の施工業者がホームページを開設しているので、施工実績を確認して同等クラスのマンションの施工実績が豊富なら信頼できる施工業者といえます。
5-4.修繕委員会の会合時ののプレゼンテーション力のチェック
施工業者の選定では、見積内容の比較検討後のヒアリングが重要になり、その中でプレゼンテーション力があるかどうかもチェックします。工事の進め方だけでなく、居住者が普段通りの生活ができるような仮設計画や安全対策など、工事実績が豊富な施工業者ほど説得力があります。
もちろん、プレゼンテーション力がある施工業者が技術的に優れているわけではありませんが、実績がある施工業者ほどプレゼンテーション力が高いのは事実です。
5-5.現場担当者の近隣住宅への対応力
こちらは実際に工事が始まってからでなければ判断できませんが、大規模修繕を担当する現場責任者の対応力も確認できるのであれば確認しておく必要があります。
工事に関する技術面はもちろん、特に近隣住宅への配慮ができる責任者に担当してもらうのが重要になります。
大規模修繕では、騒音や振動、臭いなどが発生する工事があります。その際、現場責任者が近隣住民とコミュニケーションをしっかり取っていればクレームなどのトラブルが少なくなり、工事をスムーズに進めることができます。
5-6. 完成後のアフターフォロー体制などサービスの質
マンション大規模修繕では、防水や塗装などに5年~10年の保証が付けられます。
保証内容は施工会社によって違いがあるので、完成後の保証やアフターサービス体制について確認が必要。定期点検の頻度や万一不具合が発生したときの保証などについて、できるだけ詳しく確認することが重要です。
雨漏りなど急を要するトラブルが発生したときに対応してくれない業者も存在しているので、緊急連絡先や担当部署などの確認も合わせて行いましょう。
大規模修繕工事に限らず、どんな工事でも完成後にトラブルが発生するケースは多々あります。
そんなとき、施工業者に連絡して何も対応してくれなければ、余計な出費が発生するケースがあるため、ヒアリングの中で保証やアフターフォロー体制などのサービスの質は忘れずにチェックしましょう。
6.まとめ
マンションの大規模修繕工事をすることが決まったら、当然のことですが施工業者の選定をしていきます。
その際、基本は管理組合や修繕委員会で「施工業者の種類」、「施工業者との契約方式」、「施工業者の選定方法」を決めなければなりませんが、それぞれタイプが分かれているので違いをしっかり認識して判断することが重要になります。
実際に施工業者を選定する際も、経営状態や施工実績の確認を行い、優良業者と判断できる施工業者に依頼することで、トラブルなく大規模修繕を終えることができるのです。