大規模修繕における管理組合および理事会の役割とは?
分譲マンションを購入すると自動的に「管理組合」に入ることはご存知でしょうか?
「管理組合」とは何か?
については後ほど詳しく説明しますが、管理組合の大きな役割の一つが、大規模修繕工事の計画、および円滑な実施です。
分譲マンションでは管理組合、正確には管理組合の中で組織される「理事会」が中心になって、大規模修繕の準備を的確に進める必要があります。
そこでこの記事では、マンションの「管理組合」や「大規模修繕」とは何なのか?簡単に説明したあと、大規模修繕工事での管理組合および理事会の役割についてお話ししていきます。
このページの目次
1. マンションの「管理組合」「大規模修繕」とは?
これから分譲マンションの購入を検討している方の中には「管理組合や大規模修繕って何なのか?」という方もいるのではないでしょうか?
そこでまずは、分譲マンションの管理組合・大規模修繕とは何なのかについてご説明いたします。
※ちなみに賃貸マンションでは、オーナーが大規模修繕を実施しますが、管理組合は組織されません。
1-1. マンションの「管理組合」とは?主な役割と重要性
分譲マンションを購入すると、購入したすべての方が自動的に「管理組合」に加入することになります。
具体的には、分譲マンションを購入した方は「区分所有者」になり、すべての区分所有者がマンションを管理するための管理組合員になるのです。これは、マンションの「区分所有法」の中で加入が義務付けられているため、すべての区分所有者は必ず加入しなければなりません。
またすべての区分所有者は、管理組合に加入するとともに、建物の維持管理のための管理費や修繕積立金を月々支払います。
そして、日常の維持管理業務は一般的にマンション管理会社に委託されますが、定期的な建物の修繕工事や大規模修繕工事は、管理組合の中の代表者によって組織される「理事会」が中心になって行う必要があります。
つまり、マンション管理組合および理事会の一番の役割は、マンションの維持管理になりますが、中でも大規模修繕工事はマンション最大のイベントであり、管理組合および理事会が重要な役割を果たす、ということになります。
1-2. マンションの「大規模修繕」とは?管理組合が理解しておきたい実施の目的と周期
マンションなどの建物は、月日の経過に伴う劣化はどうしても避けられません。
そこで、管理組合の方に理解してほしいことが、大規模修繕工事は建物に発生した劣化や損傷、不具合を修繕して、マンション居住者の生活水準や、建物の資産価値の維持向上を図る目的で行われる工事だということです。
一般的なマンション大規模修繕は主に、外壁や屋上・共用廊下・階段といった「共用部分」が工事範囲になり、区分所有者である管理組合員の「専有部分」は工事範囲に含まれません。
また、実施する周期は「12年周期」というのが一般的に言われています。
必ずしも12年周期で実施しなければならない訳ではありませんが、平均すると12年~15年の周期で大規模修繕が実施されています。
「なぜ12年周期で実施するのか?」と疑問に感じる管理組合の方もいるかと思いますが、大規模修繕の実施時期および周期については「マンション大規模修繕の時期とは?目安や周期サイクルを簡単解説 」こちらで詳しく解説しているので気になる方は合わせてご覧ください。
2. マンション大規模修繕を実施するときの管理組合および理事会の役割とは?
前項でマンション大規模修繕では、管理組合および理事会が大きな役割を果たす、と説明しましたが「具体的にどんな役割を果たすのか?」について疑問をお持ちの方もいるでしょう。
そこでこの項では、マンション大規模修繕を実施するときの、管理組合および理事会の主な役割をご説明いたします。
2-1. 大規模修繕での管理組合および理事会の役割
大規模修繕の実施にあたって、工事の着工前はもちろん、工事期間中から完成後まで管理組合および理事会には様々な役割があります。ここからは大規模修繕工事の「着工前」「工事中」「完成後」の3段階に分けて、段階別に管理組合および理事会の役割をご紹介します。
2-1-1. 大規模修繕「着工前」にやるべきこと
大規模修繕の実施にあたって2年前、遅くても1年前から準備を進める必要があります。
何でそんなに早く準備が必要なのか?
と疑問をお持ちの方もいますが、単純にやることが多いからです。
そこで多くの分譲マンションでは、準備を進める段階で「修繕委員会」を立ち上げています。
修繕委員会とは、マンションの区分所有者で構成する大規模修繕のための専門委員会になり、管理組合および理事会の負担を減らすとともに、適切に大規模修繕を進めるために大きな役割を果たします。
修繕委員会の立ち上げは理事会が中心になって応募を募り、5人〜10人程度の委員を選出する必要があります。
その際、公正性を保つために、幅広い年代の委員を選出するのが理想ですが、現実的に応募してくれる方は少ないので、応募してくれた方は積極的に委員に選出しましょう。
この修繕委員会は、あくまで管理組合および理事会の「諮問(しもん)機関」という位置づけになるので、理事会の代表者も積極的に修繕委員会の会合などに出席して、両者が対立しないように努めなければなりません。
大規模修繕に伴う修繕委員会の立ち上げについては「大規模修繕の修繕委員会とは?修繕委員会の立ち上げ方」こちらで詳しく説明しているので、立ち上げ方が分からないという方は参考に是非ご覧ください。
2-1-2. 大規模修繕「工事中」にやるべきこと
大規模修繕の進行は修繕委員会に任せる形になりますが、工事が着工してからも管理組合および理事会には、以下の役割があります。
大規模修繕工事中の管理組合および理事会の役割
・マンション居住者や近隣住人からの苦情の受付・対応
・工事についての情報発信
・工事定例会への出席
・コンサルタントとともに工事の進捗状況のチェック
基本的に、工事の計画や進行は修繕委員会に任せることになりますが、特にマンション居住者や近隣住人からの苦情・クレームに対して、理事会を中心にしっかり体制を整えておく必要があります。
工事に関する苦情は、基本的に施工業者の現場代理人が窓口になりますが、マンション管理組合および理事会が関係ないという態度をとってしまうと、問題がより大きくなる可能性があるので、苦情やクレームに対する受け付け体制をしっかり整えておくことが重要になります。
2-1-3. 大規模修繕「完成後」にやるべきこと
工事の完成に伴って、監理を依頼しているコンサルタントによる竣工検査が行われますが、修繕委員会だけでなく、管理組合および理事会の関係者も立ち会います。
竣工検査で手直しがあれば、最終的に手直し状況の確認が終われば引き渡しになりますが、管理組合および理事会は、施工業者との引渡書類を取り交わす必要があります。
引き渡しに関わる書類は工事の種類によって異なりますが、マンション大規模修繕では主に、以下の引渡書類を取り交わします。
マンション大規模修繕での工事完成後の主な引渡書類
・竣工(完成)図面
・各工事(防水・塗装など)の保証書
・工事工程写真および完成写真
・材料出荷証明書
・作業日報および打合せ議事録 など
以上の書類を取り交わしたら、定期的な修繕工事や次回の大規模修繕工事のために、マンション内に厳重に保管する必要があり、長期修繕計画の見直しでも活用されます。
ここまで、大規模修繕でのマンション管理組合および、理事会の役割をご紹介しましたが、修繕委員会はあくまで大規模修繕のための専門委員会です。つまり、最終的な決定権は管理組合および、理事会が開催する総会にあるので、その点はしっかり認識して、工事の進捗にあたってはすべての項目に対してチェックする必要があります。
2-2. 特に施工業者選定は慎重に!
大規模修繕を実施するにあたって特に重要になるのが、施工業者の選定です。
マンション大規模修繕はほかの工事と違い、基本的に居住者の方が普通に生活をしている中で工事が行われます。
そのため、工事の品質が重要なのはもちろんですが、マンション居住者への安全対策や周知連絡など、工事以外の部分でのサービスをしっかり行ってくれる施工業者の選定が、マンション大規模修繕では重要になります。
施工業者選定にあたっては、コンサルタントが的確にサポートしてくれますが、最終的な決定は、マンション管理組合および理事会が行わなければならないので、上記のことに注意して慎重に選ぶようにしましょう。
施工業者選定については「マンション大規模修繕の施工業者の探し方と選ぶときのポイント」こちらで選定方法や流れを詳しく紹介しているので、施工業者選定でお困りの方は参考にご覧ください。
3. 大規模修繕の費用目安と修繕積立金が不足したときの管理組合の対処法
マンション管理組合および理事会に関係している方の中には、大規模修繕工事を実施するとき、どの程度の費用が必要なのか分からない方もいるのではないでしょうか?
大規模修繕に関わる工事費用は、マンションの立地条件や築年数、劣化状況などによって異なります。
そのため、工事費用は施工業者に見積もりを出してもらわなければ、明確な数字は把握できませんが、国土交通省から大規模修繕の一戸当たりの費用目安として「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の中で明らかにされています。
その実態調査の結果を見ると、以下のような調査結果が出ています。
マンション大規模修繕工事に関する実態調査による一戸当たりの費用目安
・75万円~100万円:30.6%
・100万円~125万円:24.7%
・50万円~75万円:13.8%
(参照:国土交通省|マンション大規模修繕工事に関する実態調査)
このように、マンション大規模修繕工事の実施にあたっては「一戸当たり75万円~100万円」が目安になり、戸数が多いマンションでは膨大な工事費用が必要になります。
そこで、マンション大規模修繕を実施する際、多くの分譲マンションで問題になっているのが「修繕積立金の不足」です。
とある調査では「全国の分譲マンション全体の約3割以上で修繕積立金が不足している」という結果がでているなど、近年大きな社会問題になっています。
3-1. 大規模修繕の修繕積立金が不足したときの管理組合の対処法とは?
もし自分のマンションで修繕積立金が不足したときは、マンション管理組合および理事会が対処しなければなりません。
ここからは、一般的な分譲マンションで実施されている対処法を3つご紹介します。
3-1-1. 管理組合が金融機関などから借入
まず一般的な対処法が、金融機関や住宅金融支援機構・ローン会社・リース会社などからの借入です。
借入に際しては管理組合の総会決議が必要になるほか、借り入れれば当然返済しなければなりません。基本的に融資を受ければ金利もかかってくるため、返済にあたっては、修繕積立金の値上げも視野に入れて検討する必要があります。
金利は借入額によって異なるため明確な数字は算出できませんが、ローン会社やリース会社、金融機関は比較的高くなるためおすすめできません。そこで最もおすすめなのが、住宅金融支援機構が提供する「マンション共用部分リフォーム融資」です。
「150万円(耐震改修を伴う場合は500万円)× 住宅戸数」という融資を受けられるだけでなく、全期間固定金利なので返済計画が立てやすく管理組合の合意形成がしやすくなります。
詳しくは、「マンション共用部分リフォーム融資」こちらで確認して下さい。
3-1-2. 居住者から一時金を徴収する
修繕積立金の不足が発生したとき、マンション居住者から一時金を徴収する方法もあります。
しかし一時金の徴収にあたって、管理組合の総会決議が必要になるのはもちろん、徴収する金額によっては居住者の負担が大きくなるので反対は避けられません。
そして、一時金の徴収に反対する居住者が多く、徴収が困難なときは工事の延期も含めて検討する必要があります。
3-1-3. 工事範囲を見直す
最終的な手段として、工事範囲を見直して最低限の修繕のみ行う方法があります。
しかし、修繕が必要な箇所まで工事を見送ってしまうと、建物の耐久性に悪影響を与えてしまうので、工事の必要性の見極めが重要になります。
以上のように、修繕積立金が不足すると様々な弊害が発生するので、しっかりした資金計画を立てることも、管理組合および理事会の重要な役割になります。
マンション大規模修繕の費用や修繕積立金については「マンション大規模修繕の費用目安とできるだけ安く抑えるポイント」こちらで詳しく解説しているので、これから大規模修繕を計画しているマンションの関係者の方は是非参考にご覧ください。
4. まとめ
分譲マンションを購入した管理区分者は、自動的に管理組合に加入することになり、その管理組合の代表で組織する理事会とともに、大規模修繕工事では大きな役割を果たします。
大規模修繕工事の計画や実施は、修繕委員会の委員を募って立ち上げれば、管理組合および理事会の負担は減らせますが、最終的な判断はしなければならないので、組織内での体制作りが重要になります。
その中で、本文中でも説明しましたが、施工業者の選定が特に重要なポイントになるので、コンサルタントの助言を仰ぎながら、安心して依頼できる施工業者を選定するほか、修繕積立金が不足すると様々な弊害が発生するので、長期修繕計画の中でしっかりした資金計画を立てるようにしましょう。