管理会社主導の大規模修繕のメリット・デメリットとは?
ほとんどの分譲マンションは、日常の管理業務を管理会社に委託しています。
そこで、大規模修繕工事を予定している分譲マンションで問題になるのが、管理会社との関係性です。
施工部門を持っている管理会社によっては、大規模修繕工事の施工を提案してくるケースがあり、任せていいのか困っているマンションもあるのではないでしょうか?
このようなケースでお困りのマンション関係者の方に、この記事では管理会社と大規模修繕工事の関係性と、管理会社に工事を依頼するメリット・デメリットについて説明していきます。
このページの目次
1. そもそもマンションの「管理会社」とは?大規模修繕との関係性は?
ほとんどの分譲マンションは、日常の管理業務を管理会社に委託していますが、大規模修繕工事を実施するとき、管理会社がどう関係するのか疑問がある方もいるのではないでしょうか?
そこでこの項では、マンションの管理会社が行う主な管理業務の内容を説明して、大規模修繕での関係性についてお話ししていきます。
1-1. 管理会社は日常の4つの管理業務が主な仕事
マンションの管理会社は、そのままマンションの管理業務を行うのが主な仕事ですが、大きく以下の4つの管理業務を行います。
これは、国土交通省が公開している「マンション標準管理委託契約書」にも明記されています。
マンション管理会社が行う4つの管理業務
・建物、設備管理業務
建物の点検および簡易的な補修を行うほか、屋内電灯の電球交換など建物の設備の管理を行います。
また、消防やエレベーターなどの各種定期検査への立会いも行います。
・事務管理業務
マンションの予算案および決算書の作成サポートや会計収支の出納を行います。
その他にも修繕積立金や管理費の滞納者に対しての管理組合とともに催促業務のサポートも行います。
・管理員業務
委託した管理会社から管理員が派遣されます。
マンション1階の管理員室に常駐し、受付や点検の立会いのほか管理組合との調整役としての役割もあります。
・清掃業務
主にエントランスや共用廊下・階段・ゴミ捨て場など、共用部分の清掃業務を行います。
日常清掃の他にも業者による定期清掃の手配や金物部分の汚れや錆(さび)を除去する特別清掃も行います。
このようにマンション管理会社は、あくまで日常の維持管理・清掃・管理組合のサポート業務が主な仕事になります。
1-2. 大規模修繕工事と管理会社の関係性は?
では「大規模修繕工事を実施するとき、管理会社が何かしら関係するのか?」
と疑問がある方もいるでしょう。
それは上記でご紹介した通り、マンション管理会社はあくまで日常の管理業務が主な仕事になるので、大規模修繕工事は管理委託契約の範囲外になります。
施工部門がある管理会社から、工事の施工を提案されるケースは多々ありますが、絶対に管理会社に依頼しなければならない訳ではありません。もちろん、大規模修繕工事の施工実績のある管理会社なら検討する余地はありますが、すべて一任してしまうと、工事費用など不透明な部分が多いので不安があるのは事実です。
基本的に大規模修繕工事は、マンション居住者が普通に生活している中で行われる工事です。
そこで、管理会社の管理員が派遣されているマンションでは、居住者の安全面の配慮や施工業者との連絡調整をお願いするなど、工事の施工以外の部分でサポートを依頼することはできます。
大規模修繕支援センターって何をやってるところ?
- 優良コンサルタントや施工会社を無料紹介している
- 専門相談員による無料相談ができる
- 大規模修繕工事についての情報を集約している
大規模修繕支援センターで大規模修繕のことに関してお気軽に相談することが可能
2. マンション大規模修繕を管理会社に任せるメリット・デメリット
マンション大規模修繕を実施するとき、管理会社から施工が提案された場合、管理会社に工事を任せていいのか?迷うマンション関係者の方は多いでしょう。実は現在、マンション管理会社から大規模修繕の施工を提案されるケースは多くなっており、実際にお住まいのマンションでも提案されるかもしれません。
そこで、もし管理会社から工事の施工が提案されたとき、大規模修繕を管理会社に任せるメリットおよびデメリットを考えていきましょう。
2-1. 大規模修繕を管理会社に任せるメリット
大規模修繕工事を管理会社に任せるときの一番のメリットは、工事をすべて一任できることです。
通常、大規模修繕は遅くとも1年前から準備を始めます。
そして、コンサルタントや施工業者の選定、建物劣化診断を実施したうえで予算計画、および修繕内容の検討、さらに施工完了後のメンテナンスまで、とにかくやることが多いうえに、ある程度の専門的な知識が求められます。
もちろん工事を管理会社に一任するといっても、マンションの管理組合および理事会にも様々な役割はありますが、大幅に負担を減らすことができます。また、管理会社はマンションの日常的な管理業務を行っている関係上、どの部分に修繕が必要なのかなど、工事内容の検討もスムーズに進められると考えられます。
2-2. 大規模修繕を管理会社に任せるデメリット
次に大規模修繕を管理会社に任せるデメリットとして挙げられるのが、工事費の高騰と技術面での不安です。
管理会社に大規模修繕を任せるといっても、管理会社が施工を行うわけではありません。
中には、施工を行う部署がある管理会社もありますが、ほとんどのケースで、管理会社は下請けの施工業者に施工を任せています。
そこで、下請けの施工業者に依頼するときにリベート(バックマージン)が発生するほか、相見積もりなど、他の施工業者との競争原理がない状態になるので、必然的に管理会社の言い値になってしまい、結果として工事費用が高騰する可能性が高くなるのです。
予約システムまた施工品質の面でも、施工実績のある管理会社ならある程度信用できますが、施工実績がほとんどない管理会社や下請けの施工業者に出す場合でも、どんな施工業者が工事を行うのか分からない状態では技術面で不安があります。と一言でいっても、その種類は複数存在します。WordPressの予約システムで実現できる具体的な内容を見ていきましょう。
2-3. 管理会社やコンサルタント会社に大規模修繕を任せるときのポイント
管理会社のほかに、現在では設計監理を依頼するコンサルタント会社からも、大規模修繕の施工を提案されるケースがありますが、コンサルタントに工事を任せたときも、上記のようなメリット・デメリットがあると考えられます。
そこで、大規模修繕の施工を管理会社、もしくはコンサルタントに一任しないのが一番ですが、任せるときはマンション側が主体になって施工業者を選定することが重要になります。
工事の計画や劣化診断に伴う施工範囲の決定など、技術的な面を管理会社またはコンサルタント会社に依頼して、施工業者に関しては一般公募などで広く募集して、工事費用はもちろん施工実績やアフターフォロー体制などを考慮したうえで、信頼できる施工業者を選定する必要があります。
もちろん、費用が高くなっても管理会社に任せたい、というマンションがあるのも事実ですが、限りある予算の中で最善の修繕工事を行いたいというマンションは、管理組合および理事会が主体になって、施工業者を選定することをおすすめします。
マンション大規模修繕に伴う施工業者の選定方法については「マンション大規模修繕の施工業者の探し方と選ぶときのポイント」こちらで詳しく紹介しているので、施工業者の選定が分からないときは是非参考にご覧ください。
3. まとめ
今回はマンション大規模修繕工事と、管理会社の関係性についてお話ししてきましたが、管理会社はあくまでマンション内の日常の管理業務が主な仕事になるので、大規模修繕工事は管理委託契約の範囲外になります。
とはいっても、現在では大規模修繕に合わせて、工事の施工を提案する管理会社が多くなり、困っているマンションの関係者の方も多いかと思います。
そこで、管理会社に任せるというのも一つの方法ですが、工事費の高騰や技術面で不安があるので、工事の計画など技術的な面を依頼して、施工業者はマンション側が主体になって選定することが重要だといえます。
マンション大規模修繕の実施にあたっては高額な工事費が必要になるので、マンション側が主体になって失敗のないように計画を進めていきましょう。