住居者アンケートテンプレートダウンロード
修繕委員会・管理会社ご担当者向け
大規模修繕時に必要となる住居者アンケートを一から準備をするのが大変なので便利なWordファイルテンプレートを作成しました。
「居住者(住民)アンケート」を実施する目的と作成ポイント
マンションでは一般的に12年周期で大規模修繕が実施されますが、事前に劣化状況などを把握して適切な修繕設計を行う必要があります。修繕設計とは「マンションをどのように守っていくのか」という大規模修繕の実施計画を考えることを意味しています。
通常、工事が着工する3~4ヶ月前に第三者機関に建物診断を依頼して建物の劣化状況の調査を行います。
そして、その建物診断の調査の一環として行われるのが「居住者(住民)アンケート」です。
実際にマンションで生活している居住者を対象にしたアンケートになりますが、何のためにアンケートを実施するのか疑問がある方もいるのではないでしょうか。
ということで今回は、大規模修繕工事に伴う「居住者(住民)アンケート」を実施する目的とアンケートを作成するときのポイントをご紹介いたします。
このページの目次
1.大規模修繕に伴う「居住者(住民)アンケート」とは?アンケート調査を実施する目的
大規模修繕工事は管理組合が作成する長期修繕計画の中で概ね12~15年で計画されるマンション最大のイベントです。
その計画されている時期の早くて2年前から遅くても1年前にはマンション内の体制を整えて、パートナーとなるコンサルタント会社の選定を行います。
それから大規模修繕の着工3~4ヶ月前を目安に建物診断を実施するとともに「居住者アンケート」も実施します。
中には、建物診断を実施するのは分かるけど何で居住者アンケートを行う目的が分からない?と疑問をお持ちの方もいるかと思います。
1-1.大規模修繕に伴って「居住者(住民)アンケート」を実施する目的とは?
居住者アンケートは文字通り、マンションを購入して区分所有者になった実際に生活している居住者の方を対象にしたアンケートになります。そのアンケートを実施する目的は、建物診断では判明できないような劣化や不具合を把握するためです。
マンションの居住者が日頃の生活の中で感じている住戸内や共用部分の不具合を把握するために行われ、建物診断を依頼する専門家が発見できないような不具合を発見する有益な情報源になります。
また、アンケート調査を実施することで居住者の方に大規模修繕工事に対する意識を持ってもらうことも目的の一つになります。
大規模修繕は基本的に日常生活をしている中で行われる工事なので、関係者だけでなく居住者を含めてマンション全体で取り組まなければなりません。そこでアンケート調査を実施することで工事に対して意識してもらえるようになるのです。
1-2.アンケート結果を踏まえて調査を実施する!
居住者アンケートを実施しただけではアンケートを行う意味がまったくないので、修繕が必要な項目をまとめて実際に建物内を調査します。
共用部分はもちろん特に各住戸で発生している不具合に関しては、実際に詳細な調査を行う必要があります。
例えば、雨漏れがするというお宅には実際に立ち入り調査を実施するなど、アンケート結果を基に修繕が必要な項目を洗い出していきます。
このアンケート結果から抽出した修繕項目と建物診断で算出される数量を合わせて、最終的な大規模修繕で行う各工事の数量を算出していきます。
このように、建物診断だけでも建物の劣化状況は把握できますが、居住者アンケートを実施することで建物診断では発見できないような修繕ポイントが見えてくるのです。
2.大規模修繕の居住者(住民)アンケートを作成するポイント
居住者アンケートは建物診断では発見できない劣化や不具合を把握するとともに、居住者に大規模修繕に対して意識を持ってもらうことを目的に実施されます。
この項では居住者アンケートを作成するときのポイントと実際の作成例をご紹介いたします。
作成に関しては基本的にパートナー契約しているコンサルタント会社が中心になって作成しますが、マンション側も必要な項目が入っているかを確認しなければなりません。
2-1.居住者(住民)アンケートを作成するときのポイント
居住者アンケートはマンション居住者に対して実施するアンケートということで、以下のポイントは押さえておくことが重要になります。
2-1-1.誰でも分かるような選択肢で回答してもらう
アンケートに回答する居住者は主婦の方がメインになるので、分かりやすい選択方式で作成するのが基本になります。
例えば、「室内に雨漏れがあるか? ある ・ なし」など誰でも簡単に回答できるように作成します。
その際、建築に関する専門用語はできるだけ避けて、用語を使うときは補足説明を追記しておきましょう。
2-1-2.不具合箇所など細かい点が分かるような質問を用意する
簡単な選択方式のアンケートでも、不具合が具体的に把握できるように作成するのもポイントの一つです。
例えば上記の漏水に関する質問なら以下のように作成します。
居住者アンケートの質問例
「室内に雨漏れがあるか? ある ・ なし」
「ある」とお答えの方への質問
・雨漏れが発生する場所 天井 ・ 壁 ・ 床
・雨漏れが発生した時期 現在 ・ 過去(いつ頃: )
このように、ただ「ある・なし」では調査のとき手間がかかるので、具体的に分かるように作成します。
2-1-3.記入してもらう箇所は解答例を入れる
アンケート調査も選択肢だけでは限界があるので、実際に記入してもらう質問も当然あります。
その際は解答例を入れてあげると親切です。
例えば、「過去のリフォーム歴」という質問があれば、解答例として「例:2013年5月頃 洋室の壁と天井のクロスを貼り替え」など明記しておくと、居住者の方も回答しやすくなります。
以上のポイントの中でも特に上の2つのポイントは居住者アンケートでは必須のポイントになるので、選択方式で具体的に分かるような質問で作成するようにしましょう。
2-2.居住者(住民)アンケートの主な質問項目
次に居住者アンケートで実際に質問する項目として以下のような項目が挙げられます。
当然、マンションによって質問内容は異なるので、コンサルタント会社に調整しながら作成を進める必要があります。
2-2-1.各住戸の状況が把握できる質問
まずは各住戸で発生している不具合などを把握するための質問を用意します。
具体的には以下のような項目が挙げられます。
居住者(住民)アンケートの各住戸の不具合に関する質問項目
・各部屋の不具合に関する質問:漏水、結露、換気など
・建具の不具合に関する質問:玄関ドア、窓サッシのガタツキや錆など
・バルコニーの不具合に関する質問:漏水、ひび割れ、塗装の剥がれなど
・設備関係の不具合に関する質問:電気設備、給排水設備、ガス(給湯)設備などの不具合
各家庭への質問として概ね以上の項目の中で必要と思われる項目を考えながら作成を進めます。
2-2-2.共用部分での不具合などの質問
各住戸以外のエリアはすべて共用部分になります。
居住者が直接関係する共用部分として、廊下、階段、エレベーター、駐車場、駐輪場、集会場、緑化施設などが挙げられます。
共用部分は選択方式の質問は無理なので、各家庭で感じている共用部分の不具合を明記してもらいます。その際、前項で説明した解答例を入れておくと書きやすくなります。例えば、「記入例:2階から3階に上がる階段から雨漏りしている」などの解答例を入れておくと親切です。
2-2-3.その他に生活の中で気付いたことを記入してもらう
アンケートの最後は居住者が普段の生活で感じていることを自由に記入してもらう欄を用意します。
「その他に管理組合へご意見やご要望などありましたら下記の欄に記入してください。」など明記して、居住者に自由に記入してもらいます。
基本的に居住者アンケートは不具合の発生状況を把握するためのものなので、各住戸と共用部分の部位ごとに質問事項を用意する必要があります。
2-3.居住者(住民)アンケートの作成例
ここまで居住者アンケートを作成するポイントを説明してきましたが、最後に実際の居住者アンケートの作成例をご紹介します。
あくまでも参考例なので、マンションごとに必要なポイントをコンサルタント会社と調整しながら作成していきましょう。
住居者アンケートテンプレートダウンロード
修繕委員会・管理会社ご担当者向け
大規模修繕時に必要となる住居者アンケートを一から準備をするのが大変なので便利なWordファイルテンプレートを作成しました。
3.まとめ
マンション大規模修繕にあたって実施する居住者アンケートをご紹介しました。
居住者アンケートは、建物診断では判明できないような劣化や不具合を把握する目的で実施されます。
マンション居住者が感じている住戸内や共用部分の不具合を把握するために行われ、建物診断を依頼する専門家が発見できないような不具合を把握するための有益な情報源になります。
今回は居住者アンケートを作成するポイントをご紹介しましたが、一番のポイントは「簡単な選択方式で具体的に分かるような質問で作成する」ということです。合わせて作成例をご紹介しましたが、あくまで参考なのでコンサルタント会社とともに一緒に作成を進めていきましょう。