大規模修繕につながる老化(劣化)を抑制するための確認ポイント

老化(劣化)を抑制するための確認ポイントを解説

大規模修繕につながる老化(劣化)を抑制するための確認ポイント

マンションなどの建物は時間の経過とともに老化していきます。

鉄筋コンクリート製の頑丈な建物でも、経年による汚れや劣化は避けられません。
そのためマンションでは長期修繕計画が立てられ、居住者に修繕積立金を納めてもらい、老化(劣化)が進行したときは大規模修繕工事を行っています。

そこで、マンションは何もしないと老化(劣化)が進行するばかりなので、進行を抑えるためには定期的に建物をチェックしてメンテナンスすることが重要なのです。

ここからは、マンションが老化(劣化)の進行を抑制するための確認ポイントを「管理面」と「建物」に分けてご説明いたします。

1.マンションが老化(劣化)しない様にするための修繕確認ポイント

マンションが老化(劣化)しない様にするための修繕確認ポイント

マンションの老化(劣化)の基準は難しく、単純に築年数だけで判断するのは危険です。

まず、マンションの立地環境によって建物の老化の進行速度に違いがあります。
寒冷地や海沿いのマンションでは、一般的な環境のマンションよりも建物の老化(劣化)の進行速度は速いといえます。
また、居住者の質やマンションを管理する管理組合が機能していないと、正常なマンションよりも老化(劣化)の進行は早くなってしまいます。

そこで、マンションが老化(劣化)の進行を抑制するためには、管理組合などの「管理面」と建物の「劣化」の定期的な確認が重要になるのです。

ここからは「管理面」と「建物劣化」に分けて、修繕確認ポイントをご説明いたします。

1-1.管理面の老化(劣化)確認ポイント

マンションのほとんどには管理組合があり、管理が疎かになってしまうと建物の老化(劣化)の進行は早くなってしまいます。
ここでは、管理面での確認ポイントを5項目ご紹介します。

管理面確認ポイント1:コミュニティ不足の確認

マンションが老化(劣化)する一番の要因は、マンション内のコミュニティ不足にあります。
管理組合が率先してイベントなどを定期的に開催することで、住民同士の意思疎通ができ余計なトラブルが回避できます。

しかし、コミュニティが不足しているマンションでは、管理組合と住民、住民同士の意志疎通ができなくなります。
結果として、共用設備を大事に使用して快適に住もうという気持ちが薄れてしまうことで、建物の老化も早まる上に住民同士のトラブルも起こりやすくなります。

管理面確認ポイント2:長期修繕計画書の不備・更新の確認

一般的なマンションでは長期修繕計画を作成しています。
長期修繕計画を作成する目的は、住民から納められる修繕積立金の使い道を決めるためです。

この長期修繕計画に関して国土交通省のガイドラインでは、5年で更新するように定められています。
そこで、築年数が長いマンションでは5年ごとに更新されているのか確認して、大規模修繕で積立金の不足などのトラブルが発生しないようにしなければなりません。

管理面確認ポイント3:修繕履歴の有無・記載内容の確認

マンションは経年によって部分的に修繕が必要な箇所がでてくるのでその都度修繕を行い、修繕履歴として記録されます。
その修繕履歴を残す目的は、マンションの補修程度や問題点を把握しやすくするためです。

一般的に管理組合または管理会社で作成されますが、まずは修繕履歴の有無の確認を行います。
無ければ管理会社に作成を依頼し、修繕履歴がある場合は抜けがないか、詳細まで書かれているか確認しておきましょう。

管理面確認ポイント4:管理組合の体制の確認

マンションを快適に生活するためには管理組合の力が必要不可欠です。

管理組合に正常に機能していないと、上記のコミュニティや長期修繕計画にまで問題が発生してしまいます。
まずは管理組合が円滑に運営されているのか確認して、問題があるときは体制を見直す必要があります。

管理面確認ポイント5:掲示板の掲示状況の確認

掲示板は一般的にマンションのエントランスホールにあり、管理組合が連絡やお知らせを掲示しています。
実はその掲示板の状態を見れば、そのマンションの管理組合の状況が把握できるのです。

正常に掲示物が貼られておらず荒れているようなら、管理組合の運営体質に問題があると考えられます。
もし掲示板が荒れている状態なら、管理組合の体制を見直してもらう必要があります。

ここまでマンションの管理面での確認ポイントを5項目ご覧いただきましたが、管理組合が正常に機能しているか否かでマンションの老化(劣化)の進行速度が変わってきます。まずは管理組合の運営体制からチェックしてみましょう。

1-2.建物老化(劣化)の確認ポイント

引き続き、建物自体の老化(劣化)の確認ポイントを8項目ご紹介します。
マンションの老化(劣化)を抑制するためには日ごろのチェックとメンテナンスが大切です。

見た目で判断できるポイントを確認して、写真を撮影して記録に残しておきましょう。

建物確認ポイント1:外観(外壁)のひび割れ・汚れの確認

マンションの顔ともいえる外壁は、常に雨風や気候の変化にさらされているので、どんな建物でも年数に伴って劣化していきます。
外観の確認ポイントは、外壁のひび割れと汚れです。

基本はコンクリート製なので、経年によって外壁にひび割れが発生します。
そのひび割れを放置すると、そこから雨水が浸水して内部の鉄筋や鉄骨が腐食してしまい、最悪その部分が剥がれ落ちる危険があります。赤いサビ汁が流れている場合は鉄筋が錆びている証拠になります。

また、さび汁の他にも換気口や窓下が経年によって汚れがでてきます。程度によっては建物全体の景観の低下を招きます。

建物確認ポイント2:屋上の防水層・保護コンクリートの劣化確認

屋上は防水が施されていますが、経年によって防水層も老化(劣化)してきます。
屋上の確認ポイントは、防水層と周囲の保護コンクリートです。

屋上の防水層に膨れや破損の有無を確認して、特に破損があれば雨漏りの原因。また、周囲の防水コンクリートのヒビ割れや目地部分が捕食していないかの確認をします。

建物確認ポイント3:タイルのひび割れ・剥がれの確認

外壁や各所のタイルの割れや剥がれを確認していきます。

タイルに割れや剥がれがあると、そこから雨水が浸水して内部構造が腐食して損傷が広がる可能性があります。
結果、外壁が剥がれ落ちるなどの落下事故の危険が生じてしまいます。

建物確認ポイント4:共用部分 天井面のコンクリート爆裂・塗膜剥離の確認

共用の廊下や階段を中心に、天井面のコンクリートの爆裂や塗膜の剥離などを確認していきます。

コンクリートの爆裂とは、ヒビ割れからの水の浸入やコンクリートの中性化によってコンクリート内の鉄筋に錆が生じ、その部分が膨張してコンクリートが押し出された状態を指します。放っておくと鉄筋が露出した状態になり、コンクリートが落下する危険があります。

また、共用廊下や階段、バルコニーの天井面の塗膜に剥がれを確認していきます。
天井面塗膜の剥がれの原因は上部からの雨水侵入が考えられ、放っておくと劣化が徐々に進行していきます。

建物確認ポイント5:駐車場のアスファルト舗装・機械式駐車場の確認

マンション内の駐車場の状態も確認していきます。

アイファルト舗装では、アスファルトの陥没や駐車ラインの欠損を中心にチェック。
機械式駐車場があるマンションでは、メンテナンスが定期的に行われているはずなので、鉄部の錆を中心にチェックをしていきます。

建物確認ポイント6:植栽の枯れ・枝折れの確認

敷地内に植栽を植えているマンションは、枯れや枝折れなどがないか確認していきます。

植栽はマンションの景観に大きく影響しているので、枯れていたり枝が折れていたりすると景観を損ねてしまいます。
景観はマンションの資産価値にも影響するので、特に枯れている植栽がないかチェックしていきましょう。

建物確認ポイント7:自転車置場の鉄部・放置自転車の確認

自転車置場はほとんどのマンションにありますが、主に鉄部の錆を確認していきます。

また、クモの巣があるような放置自転車がないかも合わせてチェックしていきましょう。

建物確認ポイント8:物置の扉・不用品の確認

マンション内に共用の物置がある場合は、扉に錆などの腐食がないか確認します。

また、置かれている物の中には不要なものが入れられているケースが多いので、必要なものと不要なもの分別する機会にもなります。

以上8項目の建物劣化の確認ポイントをご覧いただきましたが、1年に1度ないし2度定期的にチェックして、修繕が必要と思われる箇所をその都度修繕していくことで、建物全体の老化(劣化)が抑制できるのです。

ただし、大規模修繕を実施するときは、建物の劣化診断を実施して劣化状況の確認が求められため、その際は専門機関に依頼して正確な劣化状況を調査してもらう必要があります。

2.まとめ

マンションも人間と同じように老化していきます。雨風や経年による劣化はどんな建物でも避けられません。

マンションなどの建物は何もしなければ老化(劣化)が進行するばかりです。
そこで、管理組合や管理会社とともに管理体制や建物の劣化を定期的にチェックして修繕していくことで進行を抑えることができます。

そのためには、管理組合が正常に機能しているかが重要になります。管理体制を定期的に確認して、機能していないようなら管理体制の見直しを行いましょう。

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