TV受信設備の交換目安と4K・8Kを視聴する方法を解説
マンションやアパートなどの共同住宅でテレビが見られる仕組みはご存知ですか?
一戸建は各世帯でTVアンテナを設置しますが、マンションなどの共同住宅は屋上に電波を共同で受信するアンテナを設置して
各家庭でテレビを視聴しています。そのようなTV受信設備を一般的に「テレビ共聴設備」と呼んでいます。
そのテレビ共聴設備に関係する機器にも耐用年数があり、大規模修繕に合わせて機器の修繕や取替を行う必要があります。
ここからは、マンションのTV受信設備(テレビ共聴設備)の仕組みと交換目安をご説明いたします。それに合わせて、今後主流になる4K・8Kテレビをマンションで受信する方法をご紹介いたします。
このページの目次
1. テレビ共聴設備とは?大規模模修繕に伴うTV受信設備の交換目安
2. マンションのTV受信設備で4K・8K放送を受信する方法
3. まとめ
1.テレビ共聴設備とは?大規模模修繕に伴うTV受信設備の交換目安
マンションなどの共同住宅では各家庭でTVアンテナを設置するわけではなく、屋上に電波を共同で受信するアンテナを設置するほか、今ではケーブルテレビを導入しているマンションが増えています。
この項では、マンションのTV受信設備(テレビ共聴設備)の2種類の受信方式の仕組みと、使われる設備機器の修繕(交換)目安をご紹介いたします。
1-1.TV受信設備(テレビ共聴設備)とは?2種類の受信方式の仕組みを解説
マンションでテレビが視聴できる設備を「テレビ共聴設備」と呼んでいますが、屋上に共同のアンテナを設置して、受信した電波は「同軸ケーブル」を通じて「増幅器(ブースター)」と「分配器」を経由して各家庭のテレビ端子に繋げられます。
一般的に受信するTV電波は「UHF」、「BS」、「CS」といった3種類があり、近年では後で紹介する4K・8Kも受信できるマンションが増えています。
このようなマンションのテレビ共聴設備には、以下の大きく2つの方式があります。
マンションのテレビ共聴設備
・アンテナ方式
・ケーブルテレビ方式
そこで、上記の2つの受信方式の仕組みを見ていきましょう。
1-1-1.テレビ共聴設備「アンテナ方式」の仕組み
アンテナ方式は、マンション屋上に「地上デジタル放送用UHFアンテナ」と「衛星放送用BS・110度CSアンテナ」を設置します。 そして、それぞれのアンテナで受信した電波を信号に変換し、「同軸ケーブル」を通じて「増幅器(ブースター)」から「分配器」を経由して、映像データが各家庭の「テレビ端子」に送られる仕組みになります。
アンテナ方式では、説明にある通り以下の機器が使われます。
アンテナ方式のテレビ共聴設備
・地上デジタル放送用UHFアンテナ
・衛星放送用BS・110度CSアンテナ
・同軸ケーブル
・増幅器(ブースター)
・分配器
・テレビ端子
1-1-2.テレビ共聴設備「ケーブルテレビ方式」の仕組み
ケーブルテレビ方式は、ケーブルテレビ会社が地上デジタルやBS・CSの電波を受信して、それを信号に変換して各地に送信しています。
マンションでその送信された信号を受信するためには、建物から近い電柱に設置してあるタップオフと呼ばれる「分岐器」からケーブルを引き込みます。その際、落雷による異常電圧から機器を保護するための「保安器」を設置します。
その後の接続はアンテナ方式と同じように、「同軸ケーブル」を通じて「増幅器(ブースター)」から「分配器」を経由して、映像データが各家庭の「テレビ端子」に送られる仕組みになります。
ケーブルテレビ方式では、以下の機器が使われます。
ケーブルテレビ方式のテレビ共聴設備
・保安器
・同軸ケーブル
・増幅器(ブースター)
・分配器
・テレビ端子
アンテナ方式が一般的に採用されていますが、近年はケーブルテレビ方式をマンションが増えているといいます。
その理由として、ケーブルテレビは近隣に高層ビルが建設されても電波障害になる心配がなく、台風などの天候に影響されない点にあります。ただし、ケーブルテレビを視聴するにはケーブルテレビ会社と契約しなければならず、別途月額料金が必要になります。
1-2.テレビ共聴設備の交換目安
テレビ共聴設備も月日の経過とともに劣化していくので、決められた耐用年数に基づいて交換する必要があります。
劣化が進めばテレビの映りが悪くなるなどの影響ができるので、マンションの環境にもよりますが、少しでも映りが悪いなどの苦情があれば機器を交換するようにしましょう。
ここでは、上記でご紹介したアンテナ方式とケーブルテレビ方式で使われる機器の交換目安をご紹介いたします。
テレビ共聴設備の交換目安
・UHF、BS・CSアンテナ:10年~15年
・同軸ケーブル:15年~20年
・増幅器(ブースター):10年~15年
・分配器:10年~15年
・保安器:10年~15年
・テレビ端子:10年~15年
あくまで目安ですが、テレビ共聴設備機器については10年~15年が交換目安とされています。 そこで、一般的な12周期で大規模修繕工事を計画しているマンションでは、2回目の大規模修繕の機会にテレビ共聴設備のアンテナなどの機器の取替を視野に入れて計画しておきましょう。
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2.マンションのTV受信設備で4K・8K放送を受信する方法
4K・8K衛星放送が2018年12月から開始されたのはご存知ですか?
最近よく聞く言葉ですが、4K・8Kは超高精細度テレビジョン(スーパーハイビジョン)放送とも呼ばれ、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れて国をあげて普及が進められています。
現状の2Kハイビジョンと画素数を比較すると、従来の2Kが約207万画素なのに対し、4Kは約829画素、8Kは約3,318万画素と、2Kの4倍、16倍の画素数を誇り、まるでその場にいるかのような臨場感あふれる映像が見られるようになるのです。
2-1.マンションで4K・8K衛星放送を受信する方法
まず、衛星放送の電波の仕組みを説明しておくと、従来のBS、110度CSは放送衛星から右旋(うせん=右回り)で電波が送られています。それが4K・8K衛星放送の場合、左旋(させん=左回り)で電波が送られ、4K放送は一部右旋で送られている電波があります。
そのため、現在マンションに設置してあるBS・110度CSアンテナが右旋と左旋の両方に対応したアンテナであれば全ての放送が視聴可能。しかし、右旋しか対応していないアンテナは一部の番組しか視聴できず、アンテナなどの改修(交換)をしなければ全ての放送を視聴することができないのです。
そこで、全ての4K・8K衛星放送を視聴するには、現在設置しているBS・110度CSアンテナが左旋にも対応しているのか確認します。そこで、対応していなければ4K・8K衛星放送対応パラボラアンテナとともに、増幅器(ブースター)、分配器、テレビ端子なども合わせて改修(交換)が必要になります。
また、ケーブルテレビを契約しているご家庭では、ケーブルテレビ会社の設備で異なるので、4K・8K衛星放送に対応しているのか問い合せてみましょう。
今後のテレビはこれから4K・8K放送時代になるので、大規模修繕に合わせて現状のテレビ共聴設備から4K・8K衛星放送対応設備への変更を検討してみてはいかがですか。
3.まとめ
マンションなどの共同住宅では各家庭でテレビアンテナを設置している訳ではなく、屋上に共同アンテナを設置するほか、最近はケーブルテレビが利用されています。
そのような設備はテレビ共聴設備と呼ばれ、使われている機器に関しては10年~15年が交換目安になります。
また、2018年12月からは4K・8K衛星放送も始まり、全ての放送を視聴するには4K・8K衛星放送対応アンテナや機器の設置が必要になります。
そこで、一般的な12周期で大規模修繕工事を計画しているマンションは、従来のテレビ共聴設備の改修(交換)に合わせて4K・8K衛星放送対応設への刷新を検討してみてはいかがでしょうか。