外部金物(鉄部)の種類と修繕目安&塗装工事の流れを解説
マンション大規模修繕は外壁や屋上、床面に生じた劣化や損傷の修繕を行いますが、外部金物の修繕も行います。
外部金物は大規模修繕で「鉄部」と呼ばれ、建物内部・外部の鉄部の劣化に対して主に塗装工事を施していきます。
鉄の劣化といえば「錆(さび)」です。
外部金物も経年劣化によって塗装が剥がれ錆が発生するほか、変退色(変色や退色)が発生すればマンションの美観が損なわれてしまいます。
そこで今回は、マンションの外部金物(鉄部)の種類と大規模修繕に伴う鉄部塗装工事の流れなどをご紹介いたします。
このページの目次
1. 大規模修繕の外部金物塗装の必要性と施工箇所及び内容
2. まとめ
1.大規模修繕の外部金物塗装の必要性と施工箇所及び内容
マンション大規模修繕は、建物に生じた経年劣化や損傷の補修および修繕を行います。
共用部の外壁や屋上、開放廊下や階段の床面、専有部のバルコニーの床面などのほかに、共用部および専有部の「外部金物」も劣化状況に応じて修繕が必要です。大規模修繕では一般的に「鉄部」と呼ばれ、主に「塗装工事」を施していきます。
ここからは、大規模修繕で塗装工事を行う外部金物(鉄部)の種類と、塗装工事が必要な理由と実際の塗装工事の流れをご紹介していきます。
1-1.外部金物(鉄部)の種類と修繕目安
マンション共用部および専有部の外部金物といっても、どの部分を指しているのか分からない方もいるのでは?
単純にマンションの「鉄」でできている部分を指し、主に以下の部分が該当します。
マンションの外部金物(鉄部)
【共用部】
・鉄骨階段
・屋上 脱気筒
・エレベーター扉
・受水槽架台
・消火栓、消火器ボックス
・非常階段扉
・屋外照明器具
・外構フェンス
・自転車置き場 など
【専有部】
・玄関扉枠
・メーターボックス(MB)扉
・バイブスペース(PS)扉
・バルコニー竪樋
・バルコニー手摺および隔て板 など
以上のように、鉄でできている部分が該当し、いずれの箇所も経年劣化による「チョーキング(チョークのような粉が付着する劣化現象)」や「変退色(変色または退色)」が発生するほか、塗装が剥がれた部分に「錆(さび)」が生じてきます。
その外部金物(鉄部)の修繕目安は「4年」と言われており、実際4年が経過すれば外部金物の各所に上記のような劣化症状は現れてきます。
そこで、一般的な12年周期で大規模修繕工事を計画しているマンションでは、少なくとも12年周期の中間に一度か二度は塗装工事をしておく必要があります。基本は外部に面しているので立地環境によって劣化の進行程度は異なりますが、錆が目出ってきたときは塗装工事を実施するようにしましょう。
1-2.外部金物(鉄部)塗装工事が必要な理由
外部金物に塗装工事が必要な一番の理由は、鉄部の劣化をそのままにしているとマンションの美観が損なわれ、資産価値が低下してしまうからです。
マンション各所の鉄部にチョーキングや変退色、錆が発生していれば、誰でも古いマンションのように感じてしまうでしょう。
そこで、大規模修繕などの機会で塗装工事を実施することで、マンションの美観が回復できるのです。また、塗料の被膜によって鉄の劣化が抑えられる効果もあります。
1-3.外部金物(鉄部)塗装工事の流れ
マンションの外部鉄部の種類や修繕目安などご紹介しました。
ここでは実際に大規模修繕で行われる一般的な鉄部塗装工事の流れをご紹介いたします。
1-3-1.外部金物(鉄部)塗装工事の流れ
➀ケレン作業(錆落とし)
ケレンとは錆を落とす作業です。ケレン業は1種ケレン~4種ケレンの4通りに分けられ、数字が大きくなるほど鉄部の錆の状態がひどく作業内容が多くなっていきます。
塗装面の傷や錆、汚れなど状態に合わせて、ディスクサンダーと呼ばれる工具やワイヤーブラシ、研磨紙を使って錆などを落としていきます。鉄部塗装では、このケレン作業が塗装の耐久性を高めるための重要な工程になります。表面を平滑にすることで塗装の仕上がりも良くなるのです。
➁錆止め塗料(下塗り)の塗布
ケレン作業が完了したら、下塗りとして錆止め塗料を刷毛やローラーを使って塗布していきます。
錆止め塗料は金属の腐食を防ぐ効果がある塗料を指します。塗布することで金属の表面に塗膜を形成し、錆の原因となる水や酸素を遮断して錆や腐食を防いでくれるのです。また、塗布量や塗布回数によって耐久性を上げることもできます。
➂中塗り
錆止め塗料は密着力や錆の抑制効果は優れていますが、紫外線に弱い特性を持っています。
そこで、その錆止め塗料を保護するために上塗り塗料を塗っていきます。 基本的に上塗り塗料は2回塗ることで塗料性能が発揮できるので、上塗り1回目の工程を「中塗り」と呼んでいます。
➃上塗り
中塗りが乾いたら、中塗りと同じ塗料で上塗りを行います。
上塗り塗料を2回塗ることで適切な塗膜厚が確保できるようになります。
以上、ケレン作業を丁寧に行い、下塗り~上塗りまでの3層の塗装を行うことで適切な塗膜厚が確保でき、塗料の耐久性を十分に発揮することができるのです。使われる上塗り塗料は一般的にウレタン樹脂塗料が使われます。
また、塗装工事では塗料やシンナーなどの「臭い」が発生します。
そのため、塗装作業に当たっては事前に施工業者から工事の案内はされますが、専有部の玄関扉やバルコニー部の塗装の際は、サッシを締めるなどの対策は確実に行いましょう。
2.まとめ
マンション大規模修繕では、鉄でできた外部金物の塗装工事を行います。
鉄部の修繕目安は4年ということで、12年周期で大規模修繕を計画しているマンションは、12年の間に1度かに2度は塗装工事をしておくことが望ましいです。
塗装の剥がれや錆が目立てばマンションの美観を損ねてしまうので、大規模修繕の機会に限らず外部金物の劣化が目立つときは塗装工事を実施しましょう。