大規模修繕に伴う汚水(排水)設備の修繕!排水方式と工事内容紹介

汚水(排水)設備の修繕!排水方式と工事内容を解説

大規模修繕に伴う汚水(排水)設備の修繕!排水方式と工事内容紹介

マンションに限らず、普段の生活の中で”水”は絶対に欠かせません。
そこで、使った水を外部に出す役割をしているのが「汚水(排水)設備」になります。

マンションでは給水および排水管が建物内に張り巡らされており、汚水(排水)管も経年劣化が進みます。
劣化が進行した状態をそのまま放置していると、雑排水共用堅管、雑排水専用管、屋内汚水管などの排水・汚水管の詰まりによる漏水や異臭の原因になってしまいます。

そこで、大規模修繕工事に合わせて排水・汚水管を含めた改修工事が必要になるのです。

ここからは、マンションの汚水(排水)設備の排水管の種類や排水方式のご説明と、大規模修繕に伴う排水設備の改修工事についてご紹介いたします。

1.マンションの汚水(排水)設備!排水方式の種類と排水管の修繕目安

マンションの汚水(排水)設備!排水方式の種類と排水管の修繕目安

どのような建物でも使った水は外に出さなければなれません。
マンションも各家庭で使った水を排水するための排水管が張り巡らされており、経年劣化によって管内に汚れが溜まり、漏水や悪臭の原因になります。

ここからは、マンションの汚水(排水)設備の種類や排水方式と、耐用年数および修繕目安をご紹介いたします。

1-1.マンションの汚水(排水)設備の種類と排水方式

単に汚水(排水)設備といっても種類や排水方式があるのはご存知ですか?

まず、マンションの汚水(排水)設備は大きく以下4つに分類されます。

マンションの汚水(排水)設備

・汚水管:トイレの排水
・雑排水管:台所、浴室・洗面などからの排水
・雨水管:屋根やベランダの雨水を排水
・汚水処理施設:浄化槽

このように排水する場所によって繋がっている排水管が異なり、「汚水処理施設」に関しては公共下水道がない地域のみで設置が義務付けられています。

そこで、雨水に関しては生活排水とは別系統で排出されますが、汚水や雑排水は大きく以下の2つの排水方式で外部に排出されます。

マンションの2種類の排水方式

・合流式
・分流式

マンションなどの共同住宅の排水方式として、汚水と雑排水を同一の排水管で排水する「合流式」と、汚水と雑排水を別系統の排水管で排水する「分流式」があり、いずれかが採用されています。

1-2.マンションの汚水(排水)設備でよくあるトラブル

マンションに限らず、汚水(排水)設備のトラブルといえば何といっても「排水管の詰まり」です。
詰まりが最も多いのは、主に台所や洗面所、浴室などの油分を含んだ生活排水を流す雑排水管です。

中でも台所の排水には油分が多く含まれるため、長年使っていると管の内部に油分が付着して口径が細くなり、簡単に詰まる状態になってしまいます。また、浴室の排水も毛髪や垢などで詰まるケースが多いです。

このような排水管の詰まりを放置していると、悪臭が発生するほか排水が逆流して漏水するケースもあり、万一階下の部屋に漏水が発生したときは、復旧費や賠償などのトラブルが発生する危険があります。

1-3.汚水(排水)設備の耐用年数及び修繕目安

法的に汚水(排水)設備は「建物付属設備」に該当し、耐用年数は「15年」と定められていますが、排水管の一般的な修繕(交換)目安は以下のようになります。

排水管の修繕(交換)目安

・硬質塩化ビニル管:配管場所で異なり、おおよそ20年~30年
・硬質塩化ビニルライニング鋼管:20年~25年

現在ではこの2種類の排水管が主に使われ、以前使われていた「亜鉛メッキ鋼管」「鋳鉄管」は現在使われていません。

排水管が詰まると、先程も説明した通り悪臭や漏水の原因になります。 そのため、流す排水に注意するのはもちろん、一般的な12年周期で大規模修繕工事を計画しているマンションでは、2回目(築24年目)の大規模修繕の際、排水管の修繕もしくは交換を視野に入れた計画を立てておくようにしましょう。

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2.大規模修繕の汚水(排水)設備の改修工事内容

大規模修繕の汚水(排水)設備の改修工事内容

前項では汚水(排水)設備の排水方式やよくあるトラブルをご紹介しましたが、排水管も経年劣化は避けられません。
一般的に利用される「硬質塩化ビニル管」「硬質塩化ビニルライニング鋼管」は20~30年が耐用年数であり、劣化を放置していると悪臭や漏水の原因になるため、大規模修繕工事に合わせて改修工事が必要になります。

2-1.排水管の劣化診断で劣化状況を把握する

築年数が15年を超えると排水管の劣化が懸念され、2回目の大規模修繕に合わせて、まずは排水管の劣化診断を受けて劣化状況を把握し、劣化している配管の改修工事を行わなければなりません。

劣化診断は実施する調査会社で調査項目などに違いはあります。
一般的な調査は、専有部分やピット(配管のメンテナンスのために作られた空間)の排水管に対して外観を確認する「目視調査」、排水管の一部抜き取って調査する「抜管調査」、排水管内を専用の内視鏡で調査する「内視鏡調査」が行われます。

そこで、劣化診断の結果をもとに、排水管の種類や配管ルートなどのポイントを考慮して、大きく以下の2種類のいずれかの工法で改修工事が行われます。

排水管の改修工法

・排水管の更新工事(新しい排水管に交換)
・排水管の更生工事(既存の排水管の改修)

それぞれの工事の特徴を見ていきましょう。

2-2.排水管の更新工事

更新工事とは、既存の排水管を撤去して新しい排水管を設置する工事になります。

現在、マンションの排水管は「床スラブ上配管方式」が採用されています。
これは、床スラブ(コンクリート)と室内床の間に排水管が配管される方式になり、更新工事に際しては一度室内の床面を剥がしてから排水管の交換を行います。

そのため、費用とともに工事に手間は次に説明する更生工事よりもかかりますが、排水管のトラブルはすべて解消されます。
注意する点は、各部屋での更新作業はトイレや台所が使えなくなる時間が発生するため工程調整が重要になります。

2-3.排水管の更生工事

排水管の更新は大掛かりな工事が必要になるため、劣化状況によっては更生(ライニング)工事が行われます。

こちらは、既存排水管が腐食している場合、腐食の進行を止める防腐処理を行う工法です。
対象の排水管の内部クリーニングを行い、エポキシ趣旨を流し込んで塗膜を形成します。この塗膜が水との接触を断ち、腐食の進行を抑えられるとともに、排水管の寿命を延ばすことができます。

排水管の改修にあたって更新する場合は大がかりな工事が必要になるので、まずは劣化診断を受け、劣化状況や予算などを施工業者と協議した上で、どちらの工法を採用するのか慎重に決める必要があります。

3.まとめ

マンションに限らず、建物での給水・排水設備は欠かせない必備の一つです。
今回は汚水(排水)設備に関してご紹介しましたが、建物などと同じように経年劣化は避けられません。

汚水(排水)設備で最も厄介なトラブルが「詰まり」であり、放置していると悪臭や漏水の原因になるため、定期的なメンテナンスとともに、大規模修繕工事に合わせて改修工事を行う必要があります。

マンションで使われている排水管は20年~30年が交換目安になるので、12年周期で大規模修繕を計画しているマンションでは、2回目以降の大規模修繕のときに排水管の交換を視野に入れた計画を立てるようにしましょう。

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