大規模修繕工事の劣化診断とは
大規模修繕工事の劣化診断(れっかしんだん)とは、建物の機能や美観を保つうえでどれくらい耐久性が残っているのか、修繕しなければならない箇所はどこなのかを見極め、建物の長期的な維持・管理に役立てる資料を作ることです。現状の建物の不良箇所やどれほど劣化が進んでいるのかを、物理的・化学的なテストを行って診断します。
このページの目次
1.劣化診断の種類
劣化診断をするにあたり、さまざまな種類の場所を調査します。その例を以下に挙げます。
1-1.劣化診断の種類1:躯体部分
ひび割れ、欠損、爆裂、発錆がないか確認します。また、コンクリートがどれだけ中性化しているかのテストを行います。コンクリートの圧縮強度も測ります。
1-2.劣化診断の種類2:屋上防水
屋上やルーフバルコニーの防水機能の劣化を調べます。屋上でしたら、平場、立上り、笠木などの部位の状態を診断します。臭気筒周りのコンクリートが劣化して漏水するケースもありますので、屋上全てを調査します。
1-3.劣化診断の種類3:外壁タイル
外壁のタイルは、浮きや剥離(はくり)が生じやすい素材です。打診や目視で修繕すべき場所を探します。機器を使ってタイルの付着力試験も行います。
1-4.劣化診断の種類4:シーリング
外壁、タイルの目地、サッシ廻りなど、シーリングに亀裂が生じていないかを調べます。防水に関わるところなので丁寧な診断が望まれます。
1-5.劣化診断の種類5:給排水管
内視鏡調査や抜き取り調査により、配管内部がサビて詰まっていないか、腐食して穴が空いていないかなどを調べます。
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2.大規模修繕工事における劣化診断のまとめ
劣化診断には無料の簡易診断と、有料のしっかりした診断とがあります。
無料診断でも、修繕における優先すべき部分は診断してもらえますし、調査報告書もまとめてもらえます。
しかし、コンクリートがどれだけ中性化しているか、鉄筋がサビているかどうか、専有部分の配管に異常があるかどうかまでは診断できないのです。
また、簡易診断を請け負う業者の中には、無料ではなく、診断料を請求するところもありますので、事前に業者に費用の有無を確認しておきましょう。
有料の劣化診断では、機械や機器を使って丁寧に調査してくれますし、専有部分も調べてくれます。配管設備はライフラインに関わりますので、そこも調査してくれるのは有料診断のメリットです。ただし、修繕費用とは別に、診断費用が数十万円かかります。
大規模修繕工事の際、劣化診断を無料診断にするか有料診断にするかはケースバイケースです。しかし、どちらにせよ、修繕箇所を見極めるために、劣化診断が不可欠なステップであることは間違いないでしょう。