大規模修繕工事の誘発目地とは
大規模修繕工事の誘発目地(ゆうはつめじ)とは、コンクリートのひび割れ部分を集中させることを目的として、意図的に設けられた切り込み、目地のことです。
コンクリートは、セメントの水和熱や、気温の変化にともなう温度の変化、乾燥して縮むことなど、変形の元となる要素を抱えています。この変形が拘束されると、ひび割れが生じます。そこで、あらかじめ一定の間隔で切れ目を入れておき、その部分にひび割れを集中させるようにコントロールするのです。どのみちコンクリートがひび割れることは避けられないのだから、初めからひびの入る位置を決めてしまえば、見た目にも良いし、修繕も手間が省けるから、というのがその考え方です。
誘発目地の間隔は、だいたい3メートル毎が一般的です。
誘発目地の幅は10~30㎜、誘発目地の深さは20~50㎜が多くあります。
誘発目地は、正方形に近い形の間隔で設けられます。
コンクリートの上にタイルが張られる外壁の場合は、誘発目地とタイルの目地とを合わせる必要がありますので、きちんとした設計図を作成することが大切です。
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1.大規模修繕工事における誘発目地のまとめ
建物によっては、新築時に誘発目地を入れていないものもあります。そういったケースでは、大規模修繕工事の際、後付けで誘発目地を入れることがあります。誘発目地を入れないと、何度改修工事を行ってもひび割れが多発するからです。
また、誘発目地に充填したシーリング剤も、月日とともに劣化しますから、大規模修繕工事のタイミングで、シーリングの打替えを検討に入れる必要が生じるかもしれません。つまり、古くなったシーリング剤を全て取り除き、新しいシーリング剤を充填するのです。そうすることで、シーリング部分から漏水してしまうことを防げます。
コンクリートのひび割れは、建物にとって致命傷となる可能性が高いものです。ひび割れから雨水が染み込み、鉄筋部分にまで達すると、鉄筋がサビてしまい、そこから急速にコンクリートの劣化へとつながるからです。
実際、大規模修繕工事において、おもな修繕項目は防水関係の部位です。
ですから、大規模修繕工事の際には、誘発目地がないなら誘発目地を入れるかどうか、誘発目地があるならその部分の修繕をどうするかを決めることになります。コストとの兼ね合いも考えつつ、躯体をしっかり守る大規模修繕工事にしましょう。
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