大規模修繕工事の受水槽とは
大規模修繕工事の受水槽(じゅすいそう)とは、マンションで使用するために水道局から送られてきた水を、いったんためておくための水槽のことです。4階建て以上のマンションでは、給水管から直接各戸へ水を送るための水圧が足りない場合などに、一度受水槽に水をため、揚水ポンプで屋上にある高置水槽に水をくみ上げ、重力を利用して各階へ給水する、という仕組みになっています。
水道局から受水槽までは水道局の管轄ですが、受水槽から各戸の蛇口までは建物の管理者の責任です。よって、受水槽のメンテナンスが、住民の健康にも影響する大事な作業であることを考えますと、管理者の責任は重いといえます。
10立方メートルを超える受水槽は簡易専用水道として、1年に1回水槽の清掃をすることや、厚生労働大臣の指定する検査機関で定期的に検査してもらうことが、水道法で義務付けられています。10立方メートル以下の受水槽では、地方自治体の条例により、保健所などへの届け出や、定期清掃の実施が定められています。
そして、遊離残留塩素の検査は7日に1回、水質検査は6カ月に1回、貯水槽の掃除は1年に1回しなければなりません。
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1.大規模修繕工事における受水槽のまとめ
受水槽には大きなメリットがあります。断水時や停電時、災害時にも受水槽にたまっている分の水は使用できるという点です。
しかし、受水槽にはデメリットもあります。大きなデメリットとしましては、設置、維持、管理に相当のコストがかかるという点です。
たとえば、300戸を超えるマンションで、老朽化した受水槽その他の給水設備の交換に、1億円以上の支出が見込まれるケースさえありました。さらにこのケースでは、受水槽の維持、管理に年300万円を費やしていました。
そこで、このマンションでは、給水方式を受水槽方式から増圧直結方式に切り替えたのです。災害時の水の確保ができないことや断水時の不便さというデメリットは出ましたが、受水槽に投じていた多額のコストを削減でき、受水槽跡地を駐車場にして管理組合の収入が増え、住民には新鮮な水を供給できるようになりました。
以前は許されていなかった増圧直結方式も、規制緩和で許される自治体が増えてきました。
大規模修繕工事の際には、受水槽にかかるコストを計算し、メリット・デメリットを比較検討したうえで、受水槽を維持し続けるか否かを決定することをおすすめいたします。
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